潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの？
偉人に学ぶ……白隠禅師（２１）
よくよく考えてみると、我々人間は外界と交流して、その中よりエネルギーを体内に取り込み、それを自分の身体がどのように処理するかによって、健康や病気に分かれるのです。
外界から取り入れるエネルギーは、食事と呼吸によって取り入れられ、それを自律神経が自動的に健康な状態へと身体の各部へ配分してゆくのです。そして、人間の自律神経は、その人の心理状態や体調を反映して、食事と呼吸を適切な量や深さに調整し、身体に負担が掛からないようにしてくれます。
しかし、人間は知性を極度に発展させたため、時には、自分の自律神経の影響範囲を超えて、物事に関与しようとします。人間だけが持つ「根性」や「負けじ魂」など、俗に精神的な分野を鍛えた人や、逆に精神的な弱さで物事に耐えきれない時など、この自律神経（自動制御装置）が正常に働かなくなります。これが自律神経失調症です。
人間の身体は、心理状態と肉体と呼吸が常に平行移動しています。心理状態がマイナスに働くと（マイナス思考）、肉体のあらゆる部分の筋肉が硬くなり、呼吸は必然的に浅く、荒くなります。俗に「肩こりは万病の元」と言われるのは、身体が硬いと心理状態（精神）もマイナスになり、その結果、自律神経を失調状態へと追いやってしまい、身体全てのバランスが崩れ、器官の弱い部分から病んで行くのです。病気はある意味で、自分の精神の許容を超えたところまで、自分の肉体を追いやった証でもありますので、ここで、自分自身の考え方や生活習慣などを改善する良い機会でもあります。
同様に、心理状態がプラス思考にあると、肉体はリラックスし、呼吸は安定して深くなります。
＝呼吸が健康の要＝
女性の方には申し訳ないのですが、一般事例の話として聞いて下さい。女性が失恋すると、その胸の苦しさを打ち消すために、髪の毛を切ったり（ヘアースタイルを変える）、やけ食いしたり、必要でないものまでやけ買いしたりする傾向があります。都はるみさんの大ヒット曲「あんこ椿は恋の花」の歌詞にも「♪長い黒髪プッツリ切って」とあるように、自分の感情を超えてしまった行動に出ます。
これは、女性の身体特有の出産に起因すると言われています。女性が懐妊しますと、下腹が赤ちゃんに占領され、どうしてもその期間は呼吸が必然的に胸式呼吸になり浅い状態になります。従って、特別な訓練をしない限り、大体に於いて男性より呼吸が浅い身体になっています。ここに、感情抑制などの自制心の違いが現れているというのです。
ここに、大いなるヒントが隠されています。先ほどの＜心理状態＝筋肉＝呼吸＞の図式の内、心理状態と肉体はなかなか自分で制御することは難しい（いや、出来ないかも知れません）ですが、呼吸だけは訓練次第で深くなることは、白隠のみならず、ヨガであれ、あらゆる武道であれ実証されています。呼吸（＝息）が「自分の心」と書くのは、その呼吸の形がその人間の精神状態であり、体調であり、また人生の在り方までをも示していると言っても過言ではないのです。
息をすると言うことは、西洋医学的には、体内の血液に酸素を供給し身体の隅々に栄養分を運ぶための作業ですが、東洋医学的には、これ以外に「氣」を体中に行き渡らせることも同時に行っているのです。これを体系的にしたのが太極拳などで知られる＜気功法＞です。
白隠禅師は、七種類の仏法の真理（６月３０日号の軟酥丸の項参照）で練り上げられた、薫り高いヨーグルト状のもの（軟酥）が頭の上に乗っていると信じ、それを前回お話しした身体の中心線上の流れに沿って氣（旧字を使います）が流れているというイメージ療法を実践することを薦めているのです。百聞は一見にしかず……本当に足がじんじんして温かくなってくるのを感じられるはずです。このことからハッキリと言えることは、「氣を流す」ということは、自分の心の内にしっかりとしたイメージを描き、それを自分の目指す方向へ向けることで体現されるのです。
これらは、練習しなくては体得することは出来ません。いくらこの文章を読んでも、また夜船閑話を購入して研究しても、反復・実践しない限りは何も起こりません。現代人は、文明が軽薄短小を目指して全てを集中してきた結果、自分自身のことまで軽薄短小に出来てしまうという錯覚をしてしまいました。
いくら、文明が進んで世の中が便利になろうとも、自分の心の平穏と健康だけは、自分自身がしっかりとその統括法を学び、修得しない限り、人生に於ける幸福感を得ることは絶対に出来ないのです。
想像力は世界を支配する
ナポレオン
この続きはまた来週……('-^*)/
