潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
成功への道しるべ！この世は全て催眠だ710
〜クラにあった質草、クラリネット〜
私がこの潜在意識の世界に入る切っ掛けは、今迄話してきましたように水口清一先生との出逢いですが、その遠因は大川進一郎さんとヴィエール・フィルハーモニックでの出逢いがあった故ですので、今は亡き大川進一郎さんについて少し話しましょう。
もの凄く面白い人で、「アイ・ラブ・ユーモア」「なにわスッポン商法」などの著書もあります。そして、もちろん大の音楽好き！それも私たちとはスケールの違う（システムからの見地を以て）全て発想をするので、とても楽しくお話を聞くことが出来ました。それも社会事情も考慮してのことなので、我々世間音痴の音楽家の多くが、その支援の下に集まりました。
先ず、大川さんは音楽家が本当に技術があるにもかかわらず、貧乏であることの両極端に目を付けました。どうにかして、彼ら音楽家を豊かにする方法はないものかと考えたとき、自分の先祖が残してくれた土地に、ヘルスセンターのような温泉付き劇場を建設し、昼間は温泉、夜はオペラハウスに変身させることを考えました。そして夜にオペラの伴奏をするオーケストラのメンバーを昼間はヘルスセンターで雇用し、夜には自分達の最も得意とする楽器を演奏して貰う……という革新的なアイデアです。残念ながら、この発案は、色々な法的制約があり実現化しませんでしたが、頑張ればいずれ可能であろうと私も賛同したのを覚えています。
また彼の一家が質屋を営んでおり、その蔵には色々な質草が置いてあり、子供の時は相当ヤンチャで不良じみた少年であったことに、父上が手を焼き、進一郎少年をなだめるために、
「蔵にあるものでお前が気に入った物があれば持って行ってもエエからおとなしい人間になれ！」
と、言われて蔵に探しに行って見つけたのがクラリネットでした。生前“クラにあったクラリネット”と講演の時に駄洒落を飛ばされていたのが印象的でした。
★★ボーリング場の音は、地獄の叫び★★
楽器を手にした進一郎少年は、あらゆることに興味を示し、とにかくそれをモノにするまで止めないという“粘着性癲癇質(ねんちゃくせいてんかんしつ)”という精神の持ち主でした（この名は本当に精神病の形態にあります）ので、これが幸いして、上手く演奏できないクラリネットと格闘を決めました。すると、一つのことに執着すると他のことはお留守になるので、家の人（得に自分の父親）からは「進一郎は楽器で人が変わって良かった！」と高評価を受け、また人間の情動の一つである“一事が万事”の法則が働いて、クラリネットに集中することで、勉学にも集中力ができて、大学は大阪大学工学部に見事に入学できたのです。
そして、負けず嫌いのその持ち前で就職も一流企業を目指し、父の家業である質店ではなく、当時松下電器の子会社的に生まれた“三洋電機”（今は倒産しましたが）の、新製品の開発部門に入社したのです。そこでも、当時の電気冷蔵庫は、扉が一枚でしたが、扉開閉の度にその熱効率の悪さが出る事に着眼して、先ずは２枚扉の冷蔵庫を提案（今では普通）、それが採用され、いよいよ才能に拍車が掛かり、冬には必要だけれども夏になると邪魔になる“電気炬燵(でんきごたつ)”に着眼し、夏にしまい込むときにテーブル天板が３分の１になる折りたたみ式の電気炬燵をヒットさせました。
このように三洋電機でも奇人変人の発明家として活躍していましたが、
父が亡くなったので質店を継ぐことになりました。堅実な父親でしたので、質店は大繁盛し、相当な財産を残してくれた“大川創業”が今も大阪の東の地・大東市でポップタウンという大ショッピングセンターの碑(いしぶみ)となったのですが、何せ、進一郎青年は、人と同じ事をするのが嫌い！丁度家督を引き継いだ頃、巷(ちまた)に大流行していたのがボーリングでしたので、早速ボーリング経営に乗り出したのです。100レーンもあるビッグなものを建て、いざオープンした日には、地下の駐車場は車がぎっしり詰まっており、幸先の良いスタートだったのです。
ところが、開場から数日が経過したときも、地下駐車場は満車に近い状態でしたが、いざ、ボーリング会場はというと、十数名の若者がボーリングを楽しんでいるだけです。さっそくその調査に入って分かったことは、みんなボーリング場の地下に車を置いて、自らは最寄り駅・住道(すみのどう)から電車で会社に通勤していたことが分かったのです。
その時の気持ちを大川進一郎さんは、
「駐車場で上のボーリングフロアから聞こえるたった十数レーンの、ゴー、ゴーという音が地獄の鬼の叫び声に聞こえ、鳥肌ものだった」
と語っていました。
この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/
