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今週の喝 第947号(2023.07.17~07.23)〜交響曲を一曲演奏し終わると、心身共にヘトヘト!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
成功への道しるべ!この世は全て催眠688

交響曲を一曲演奏し終わると、心身共にヘトヘト!
                                        
 我が師・宇宿允人先生は、一歩足を踏み出すときも必ず前段階から準備をして掛からなければ、スムーズに足を運ぶことは出来ない!ことを我々楽員にしょっちゅう注意されました。音楽では、その前段階のことを「アウフ」(一つ前の意:ドイツ語)と言います。そして、一拍目を揃えることを指揮棒に会わせるので、「タクト」です。従って前段階から準備する(感じる)ことが重要です。音楽用語では、これを「アウフタクト」……私の奏でるフルートも息を吸わなければ吹くことが出来ないように、この世のあらゆる行動はアウフタクトの動作があって、初めてカウントが揃うのです。このカウントを揃わせることを「アインザッツを合わせる」と言って指揮者の呼吸と気構えを、オーケストラの“コンサートマスター”は感じ取って態度や気迫でそれを、オーケストラのメンバー全体に伝播させてゆくのです。
 コンサートマスターとは、第一(ファースト)ヴァイオリンの最前列のお客様側(右側)に座っている人間が勤めます。吹奏楽では、大体第一(ファースト)クラリネットの向かって左端の者が担当します。このコンサートマスターが優秀な楽団は、どんな指揮者がタクトを振っても、大差なくそれなりの演奏に仕上げるから凄い!
 プロのオーケストラの練習をご覧になった経験をお持ちの方は、このコンサートマスターがそれこそ全身全霊(心と身体、動作をフル動員)で、オーケストラ全員に“気”を伝え、また木管楽器、金管楽器、打楽器など全ての者に、自分達が今演奏しようとしている楽曲を指揮者がどんな演奏にしたいのかを感じ取らせる役目を担っているのです。(会社で言えば、専務と常務、二人の仕事を引き受けている、現場監督の役割です)。
 もちろん、合奏練習の時に“言葉”でシッカリと打ち合わせをしながら指揮者、コンサートマスター、楽団員の心を合わせるのですが、何せ音楽には言葉でのコミュニケーションが存在しない上、全体の雰囲気を感じ取って、その時、その場でキッチリと合わせてゆかなければなりません。在るときはダイアド(眼と眼を合わせるアイコンタクト)、またコンサートマスターのヴァイオリンの弓の扱い方(振り下ろし)で感じ取ることが必要になってくるのです。従って、指揮者は自分の思っている音楽の形を、あの細い指揮棒一本で楽員に伝えなければなりません。また、楽員も指揮者の眼つきや指揮棒を振る態勢を感じ取る“阿吽の呼吸”が必要ですので、交響曲のような大曲を一曲演奏し終わると、精魂共にヘトヘトになってしまいます。

 

★★その場の雰囲気を感じ取れ!★★
 これまで私は、こんなオーケストラでの経験を、何とか企業や集団で一つのことに向かうスポーツetc.に活用できないものかと考えて、「シンフォニック・オーケストラ内の行動」を基にした経営や集団行動を模索し、私の考え方に賛同して下さる方々にそのエッセンスを一所懸命伝えて参りました。それには、先ずオーケストラに対する認識、言い換えれば会社に対する認識を改めることから始めなければ成りません。
 大概、素人の方は、「100人の管弦楽団(オーケストラ)」といった認識でオーケストラなどの集団を見ていますが、管弦楽団は「ピアノ」同様、「オーケストラ」という“一台の楽器”なのです。ピアノは88の鍵盤が備わって一人の演奏者が、自分の思った通りの音楽を奏でるために、左右10本の指と右足を駆使して鍵盤を操作します。この演奏者にあたるのが指揮者ですが、ピアニストと違うのは、指揮者はいくら思念をオケに送ろうとも、残念ながら音を奏でることは出来ません。そこでコンマス(コンサートマスター)と綿密に打ち合わせをして、“気”を同じ方向に向けることが肝要なのです。「気とは、命の方向性!」と私が断言するように、人間は今から行なおうとすることに気を向けることで、何ごともスタートします。
 先ほども申しましたように、オーケストラは一台の楽器ですから、その中の演奏家達はそれこそ、指揮者のタクト一つでアインザッツ(100人が一斉に)をピタリと合わさなければなりません。タクトとは言わば仮の姿で、その指揮の裏にある指揮者の心、ヴァイオリン・コンサートマスターの弓使い一つから、その場の雰囲気を感じ取るのです。
 その為にも、人間の持つあらゆる能力(五感:眼耳鼻舌身意)を総動員して、それを聴衆の五境(色声香味触法)に訴えかけて全身全霊の感動を呼び起こすのです。“色(しき)”といってもCollarのことではありません。我々は他の器官(眼耳鼻舌身意)全てが、そこから出る感覚の元を自動的に(無意識に)探り、それを堪能します。
 例えば、オーボエとクラリネットはそのサウンドが違う故、同じメロディーを別の楽器で演奏するとその楽曲の雰囲気が全く変わってしまいます。強いて言えば私たちは「原因と結果」を無意識に探ろうとする性質から物事の“本質”を感じ取ろうとするのです。例えばヴィヴァルディ作曲の「四季」より“冬”の第二楽章の有名なソロは、ヴァイオリンで奏でるから「冬の暖炉」の感覚が我々の脳裏に閃きます。しかし、フルートで演奏すると「春の小川」を想起するから不思議です。これに気付いたときに私は「そうだ!作曲家になろう」「作曲家になって、一台のオーケストラという楽器を思う存分奏でてみたい」と思ったのが私が作曲家を志したその動機です。
 会社も同様に、社長という指揮者が、何をどのように、何のためにやりたいのかを明快にして経営すれば、本当に素晴らしいサウンド(売上げ、成績)を創り出すことが出来ます。「経営での素晴らしいサウンド」とは、いつも申しますが、そこに“満足感・達成感・充実感”が、経営者の心からほとばしり出るように湧き出なければ意味がありません。
 我が師・宇宿允人先生もこの快感を求めて一生音楽家であり続けられたのです。

 

  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/