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今週の喝 第940号(2023.05.29~06.04)この世は全て催眠だ(680)〜世紀の大指揮者、朝比奈隆先生は初めは電車の運転!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(680
世紀の大指揮者、朝比奈隆先生は初めは電車の運転!

 大阪フィルハーモニー管弦楽団を創設したことで有名、そして世界最長寿の指揮者としてギネスブックに載っている朝比奈隆先生は、我が得津武史先生の師匠でもあります。
 朝比奈先生は、京都大学を卒業後、阪急電気鉄道株式会社(現:阪急電鉄)に入社しました。阪急の創業者は皆さんよくご存じの小林一三氏です。小林一三氏のお孫さんで小林公平さんとは懇意にさせて貰っていましたから、色々な裏話を聞くことができました。一三氏は、日本の経営にとても斬新な革命を起こしました。その中には学歴がどうであれ(例え京大卒でも)、阪急に入社し幹部候補生になった者(朝比奈先生はこれに該当)は、全ての業務を覚えなければならないという鉄則を作り、その中には、新入社員は阪急百貨店の売り場から阪急電車の運転まで全てを履修しなければならないという社則がありました。
 朝比奈隆先生の京大時代の学友で、後に関西の音楽評論家として高名になる吉村一夫さんから伺った話ですが、朝比奈先生が阪急電車の運転実習をしていた電車に、偶然にも芦屋駅から乗り合わせたのです。二人は悪友の関係ですから、吉村さんは最前方の運転席のすぐ後ろに陣取り、大声で(聞こえるように)朝比奈先生に対して、
 「この男が運転するなど、阪急も世も末だね」
などと言った内容をもう一人の友人と共にジョークを言っていました。
 その時、朝比奈先生は関西で超一流の会社に入社できたにも関わらず、京大出身の者に電車の運転をさせることに我慢ならない心の状態だったようで、運転に集中しようと思えば思うほど吉村さんの言葉が耳に届き、運転に集中できない心持ちになり、各停の運転でしたので、芦屋の次の駅である夙川駅を止まらずに西宮北口駅に行ってしまったそうです。もちろん乗客からは大クレーム、先生も上司から大目玉を喰らったと笑いながら若き日の大失態を話しておられました。ここまでは、まだ良いのですが、次に配置換えになった時は、何と阪急百貨店の女性下着売り場だったそうで、プライドの高い朝比奈先生は、そそくさと辞表を提出し、かねてより夢を抱いていたオーケストラの指揮者の道を歩む決心をされたのです。

 

★★クラシック界では初めての大阪文化祭賞受賞!★★

 宇宿允人先生はそんな経歴を持つ朝比奈隆先生から、自分が手塩にかけて創り、育んできた「大フィル(大阪フィルハーモニー交響楽団)の専任指揮者に招くから帰国するように」という招聘が掛かったのです。
 宇宿先生は、N響の理事長に相談を持ちかけてみましたが、
 「この世界は、一度ポストを離れたら、若い人が次から次へと出てくるから、もう戻れないよ」
というすげなく言われたので、先生は奥様(この方もピアニスト)に手紙を書きました。その返事は、
「指揮者になるために勉強しているんでしょ。自分の思うとおりにすれば」との返事でした。この一言で、先生の肚は決まりました。
「そうだ、大阪に行こう。そして、指揮者としての道を歩み出そう」
このようにして先生は日本に戻り、単身、大阪へ来られたのです。給料はN響の三分の一。指揮者になろうと心すると、このように天は道を拓いてくれるのです。そして、だんだん私との出逢いが近づいて参ります。先生にはもう何の迷いもありませんでした。

 大阪フィルでの専任指揮者の活動を始めて一年目のある日。アパートのポストに差出人が「大阪府文化振興室」と書かれた大きな茶封筒が届きました。封を開けてみると、「貴君に大阪府文化祭賞を授与する」という通達の手紙が入っていました。
 
 先生はそういった賞があることも知らなかったので、「そうか」と思ったくらいで特に気にも留めなかったのですが、それでも上司である朝比奈先生には報告しなければと、丁度来阪していた奥様と二人で朝比奈先生のお宅を訪問しました。玄関先に立った朝比奈先生の表情は硬く、
「おう、そんなもん誰でももらえるよ。やるというものは貰っときゃいいんだ。じゃぁな」
と玄関先であしらわれ、家にも上げてさえ貰えませんでした。今迄は、家にお邪魔すると、
「やぁ、宇宿さん。上がれ、上がれ。僕が作ったカレーライスを食べてくれよ」などといつも歓待してくれていたのに、この態度の急変に宇宿先生はビックリし、戸惑わざるを得なかったと述懐しておられました。
 後に分かったことですが、大阪文化祭賞の個人受賞は、大阪クラシック界では宇宿先生が初めてだったそうです。
 そして後日、事務局長の野口幸助さんに呼び出され、
「うちの財政は困窮しているので、来年の契約はできない」
と通達されたのでした。

 

  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/