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今週の喝 第935号(2023.04.24~04.30)〜ベートーヴェンのピアノの楽譜は真っ黒だ!〜

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成功への道しるべ!この世は全て催眠だ675

 

ベートーヴェンのピアノの楽譜は真っ黒だ!
  さて、我が師山口(宇宿)先生は、中学校でベートーヴェン作曲のピアノ曲・熱情ソナタに感化され、音楽への扉が開かれました。
 実を言うと、私も高校一年生の時、(女性)コーラス部に入部し、そこの指揮者になりました。その時、伴奏をするピアニストと楽曲の打ち合わせをしていたときのことです。初めてそのピアニストに誘われてピアノの前に座り、左手で低音の“ド”のオクターブ、右手はミ、ソ、ド(Cのコード)を思いっきり(f)フォルテで鍵盤を叩きました。その時、ズッシリとした力強いハーモニーがピアノの鍵盤、そしてペダル(足下にある)を通して私の身体全体に伝わり、今迄、全身全霊を傾けて練習に励んできたフルート1本とは違う“ハーモニー”という凄まじい感覚(響き)を感じたのを思い出します。その時、
「もっと、もっと音楽を学んでこんな感覚を味わうと同時に、この感動を多くの人に伝えたい」
と、感じたのです。
 きっと、宇宿先生も“熱情ソナタ”の冒頭の旋律を自分自身でピアノに向かって弾いたとき、音楽そのものが持つ荘厳さに気圧されたのだと思います。

 こんな音楽の感動を中学生の時に味わった先生は、仏門に入ることなどすっかり忘れて、京都府立の堀川高校に進みます。堀川高校は、普通課程と音楽課程があり、何と先生は普通課程に入学し、将来の未来図を描き出すと自分では何も決めていないことに気が付いたのです。
 そんな時、先生の心の中で音楽の存在が次第に大きくなってゆき、音楽課程に編入しました。しかし、編入後、周囲を見ると自分自身の音楽の技量は明らかに劣っていることに気付いたのです。
 必修科目のピアノで例えれば、同級生はベートーヴェンのピアノソナタなどサラサラと弾きこなすのです。翻(ひるがえ)って、先生の第一印象は、
「ベートーヴェンのソナタの楽譜は音符がたくさんあり過ぎて真っ黒だ」
が、第1印象だったそうです。

 

★★やはり“邂逅”が訪れた!★★
 私も先生にスカウトされて、初めてオーケストラのメンバーと出会ったとき、ブラバンでちょっと頑張ってきたと言う程度では太刀打ちできない世界だと感じたものです。それは、オケの皆さんの学歴や先生たちは錚々(そうそう)とした方の名が連なっていると同時に、生まれ育った家庭環境も私のように「文化果つる地・今津」とは比べものにならない高級街に住まう人達だったからです。
 宇宿先生は、「音楽で人を救っていく」……という、大それた人生目標を持った人間が、
「大義理念以前の技術の問題で挫折するわけにはいかない」
と思ったと同時に、先生の父・治三郎さんは“音楽をすることに、全く理解のない人”だったので、先生にしてみれば、とにかく実力を付けることが大命題でした。
 先生はオーケストラの練習中にも
「EVERYDAY EXERCISE, EVERYNIGHT EXERCISE!」が口癖でした。
私たち団員は、「エグイデー、エグイナー」と茶化しておりました。
 先生はまさに“克己(こっき)”……「必死になって勉強すれば、次第に実力が付いてくるのが自分でも実感できるようになる。よし、東京芸術大学(東芸)を目指そう!」
と決意を固め、苦戦しながらも見事にクリアし、東芸の門を叩くことができました。同級生の中には、「大きいことは良いことだ」で有名な作曲家の山本直純さんもおられたと伺いました。

 そして、先生にも邂逅が訪れます。それは嶋昇(しまのぼる)さんとの出逢いです。嶋さんは、近衛管弦楽団のトロンボーン奏者で、海軍軍楽隊で鍛え上げられた方でした。そして、トロンボーンのレッスンを受けると同時に、下宿の世話もしてもらいました。レッスンは海軍出身らしくとても厳しかったそうです。ある日のこと、嶋さんから、
「オーケストラの練習に行くが、お前も見学したいか?」
と、誘いを受け、プロのオーケストラの練習に初めて接することができたそうです。
 連れて行ってもらった先は、近衛管弦楽団で指揮者・近衛秀麿先生が私設で運営しているオーケストラでした。嶋さんは近衛先生に、
「こいつは、今年芸大に入ったんです」
と紹介してくださいました。宇宿先生は精一杯大きな声で、
「ハイ、今年東京芸大に入りました」
と挨拶したのですが、近衛先生から発せられた最初の言葉は、
「東京芸大?あの学校はダメですよ!」

 

  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/