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今週の喝 第934号(2023.04.17~04.23)〜厭世(えんせい)気分では自分を律することはできない!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

成功への道しるべ!この世は全て催眠だ674

 

厭世(えんせい)気分では自分を律することはできない!
                                        
  さてさて、我が師宇宿允人先生は、思春期に体験した恋心から、
「人間はなぜ欲望というものが起こるのか、また諸々の雑念に振り回されるのか……」
という疑問が沸き起こり、その疑問に正面からぶつかっていった結果、
「先人の中の聖者と言われる人々を研究し、仏門に入って修行すること。すなわち、信仰の力によって自らの欲望は克服できるかも知れない」
と、いう結論にたどり着きましたが、同時に疑問も湧き上がり、「本当に、このような厭世の心で良いのだろうか。俗世間に身を置いて、生きていきながらも、人間の正しい生き方を追求し、影響を人々に与えてゆくことはできるのではないだろうか?
 永井荷風が女の膝枕で寝て、酒を飲みながらでも、世に名作を残したように、欲望を否定せず、良い方向に生かしながら、そして色々な喜怒哀楽の中で生きていった方が人間らしいのではないか」
という考えに至ったと伺いました。
 丁度その頃、松尾芭蕉小林一茶与謝野蕪村等の俳句に興味を感じ、芭蕉に比べると蕪村は秀才だけれど、芭蕉は天才だと感じたそうです。そのような天才たちの感化を受けて、先生が中学一年生の時に詠んだ俳句があります。

   とんとんと 樋(とい)打つ音や 春の雨

 こんな少年期を過ごしながら、京都の町で先生はスクスクと成長してゆきます。京の自然の中に身を置き、その呼吸を感じることをこの上なく愛する、そんな性質が育まれてゆきました。すると、欲望やつまらない悩み、周囲の有象無象(うぞうむぞう)の出来事が霧が晴れるように消えてゆくのです。そして、精神のバランスを保つことができる自分を感じ取ることができ、自分の存在を感じとることができたと、少年の頃を思い出しながら目を輝かせて語っておられたのが、今も印象に残っております。

 

★★“熱情ソナタ”の中に、何かを予感させるような感情の動きに気付いた★★
 いつぞや、弟子の特典で宇宿先生に、「先生の音楽の原点は……?」
と尋ねたことがあります。
「人間に溜まり巣喰う欲望や苦しみといった、ドロドロした汚いものの中から、勇気と希望を生むことだよ。そして、これらの苦しみや悲しみを音楽という芸術の力で昇華させることができる……これが私の信念であり、イディー(理念)なんだよ」
と、明快な回答を頂戴しました。
 「音楽は宗教とは異なるけれど、精神を浄化し、精神のバランスを保ち、人間としての生きる活力をもたらすことができると私は信じている。故に、音楽活動を続けてきた」
と付け加えられました。
 さて、宇宿先生とクラシック音楽との出逢いは、中学の時、音楽の先生に吹奏楽部に入らないかと誘われたことが切っ掛けで、歯並びのきれかった先生はブラス(金管:トランペット、ホルン、トロンボーンなど)楽器を色々吹かされた結果、最終的にトロンボーンに落ち着いたのです。
 中学の吹奏楽部顧問をしていた先生は、東京音楽学校(現:東京芸術大学)の師範科(楽理)を出た方でしたが、とても練習熱心で朝6時頃から学校に来て先生自身から進んでピアノの練習を重ねておられました。
 そんなある日のこと、いつものようにピアノの音が音楽教室から聞こえてきます。そして、先生の奏でるピアノのメロディーに足が止まりました。
 低音で、少し不気味な響きに、心を揺さぶられるような気がしたので、山口(後の宇宿)少年は、音楽教室の扉を開け、練習する先生に近づき、唐突にその楽曲の曲名を尋ねました。先生は、
「なんだ知らないのか。ベートーヴェンの“情熱ソナタ”だよ」
山口少年は、
「先生、ボクにその最初のテーマを弾かせてください」
とそのフレーズをピアノで弾かせて貰いました。
 その時、ピアノから呻くように出てきたその響きは、自分の感情に不思議な力をもって迫ってくるのを感じたのです。
 宇宿先生の音楽環境は、(10人兄弟の)お姉さんの一人が学校の教師をしておられたので、家には足踏みオルガンが一台ありました。こんな中で、先生の音楽の扉は、開かれていったのです。
「なんだろう、この不安にかられるような、そして、何かを予感させるような感情の揺らぎは……」
山口少年は、この“熱情ソナタ”の冒頭のテーマから、確実に自分を揺り動かす何かを感じ取った瞬間でした。
 生意気ですが、この感覚は、私が小学4年の時に、ドヴォルザーク作曲の“新世界交響曲第4楽章”の第1テーマから受けた触発と酷似しています。

 

  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/