M&Uスクール

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今週の喝 第393号(2012.10.29〜2012.11.4) この世は全て催眠だ(135)〜催眠を知ることは、人間を知ること!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(135
〜催眠を知ることは、人間を知ること!

 「すべてのコミュニケーションは、催眠パターンである」
近代催眠の始祖である、エリクソン博士のこのように喝破し、
 (1)相手の無意識のリズムにペースを合わせる。
 (2)相手が今体験していることに、こちらの感心を副わせてゆく。
ことから始めよと提唱しています。
 人と人とのコミュニケーションを研究したことがある人は、このエリクソン博士の名言が本当であることを知っています。

 1980年代前半、豊田商事の金を用いた集団詐欺事件がありました。その時、私は偶然にも大阪南港に停泊中の豪華客船で行われた金商取引の現場に居合わせたのです。そこで、主犯の長野一男会長とも面談したのです。ちょうどその頃、私は潜在意識や催眠法の研究を始めた頃であったため、豊田商事の在り方には胡散臭さを感じたのですが、詐欺に掛かった被害者達は、みな一様に「まるで催眠に掛かったようだ」ともらしていました。
 それもそのはず、知ってか知らずか豊田商事の長野会長は、この原理をしっかり活用し、多くの被害者を生みました。

 少し当時を振り返ってみましょう。ある日突然、私は豊田商事からダイレクトメールを受け取ったのです。それには、金地金取引の案内と同時に豪華客船(船名は忘れました)で行われる「北島三郎ショー」の招待券が入っていました。当時、原田のり子という演歌歌手(現在も活躍中)をレッスン中で、大御所、北島三郎さんの前歌を大阪梅田のコマ劇場で歌ったこともあり、親近感からつい応募しました。

=口を開けた、巧妙な手口!=
 実は、ここにも既に催眠の要素は含まれていたのです。豪華客船の観光客が京都や奈良に出かけている間を見計らって、丸一日レセプションルームを借り切り、そこにカモになる客を通す。いかにも豊田商事と豪華客船の船主が懇意であるような印象の下に、案内されたエントランスルームには、直径3メートルくらいの緋毛氈(ひもうせん)を敷いたテーブルの上に1kgの金の延べ板が山積みされ、スポットライトに輝いています。当時はバブル全盛期であることも相まって、自分の資金運用に世界で価値が変わらない「金」を持つこで安心できるという気運をテレビや新聞の広告でイヤというほど宣伝したあとのDMです。多くの人が誘いに乗って、しかも「私は騙されない」という自負とともに乗船してきたのです。
 その眼前に、突然金塊の山が出現したのですから、
 「これは信じられる」
と思ったのも至極当然のことだと思います。
 そして、ウェルカムドリンクで気分を良くしたあと、早速北島三郎ショーが始まり、そして終了とともにホール出口では、長野会長と北島三郎さんが立礼して見送ってくれるのです。
 今考えると、ギャラを払っているのだからこれぐらいのことはタレントならば誰でも引き受けるでしょうが、素人目には、二人は懇意であると見えました。ココで、より長野会長に対する信頼が増したのは言うまでもありません。
 次に、待ち構えていたように、別の部屋で営業マン達が金を資産運用するメリットやこれからの世界の経済情勢などを専門家はだしで説得し、契約を結んでゆきます。私も現金取引で1kgの契約をしました。その金は、確かに本物です。多い人は10kgくらいを購入していたようです。
 そして、美しい化粧箱に入った金の延べ板を持って帰ろうとした時に、突然関係者の一人が
 「みなさま、今日はお買い上げ有り難うございました。大切にして頂ければ嬉しいです。ただ、一つだけご注意申し上げます。今取引成立したばかりのこの地金は、何の保険にも入っておりませんので、盗難や紛失には弊社は一切責任を持つことが出来ませんことをあらかじめご承知おきください」
と言うアナウンスのあと、
 「この辺りは夜も深まりますと、何かと物騒ですのでどうか気をつけてお帰り下さい」
と追い打ちを掛けます。
 出席者のほとんどが60歳以上の高齢者で、退職金や遺産の利殖にと考えている人ばかりです。
 「もしご心配ならば、我が豊田商事にはファミリー証券という制度が有り、今ご契約頂けますならば、お持ちの地金を責任を持ってお預かりします。その証としてここに証券を発行し、それをお持ち頂ければ、いつでも地金の現品と交換させて頂きます……!」
 こうして、多くの人が金地金をファミリー証券に引き替え、下船してゆきました。当の私は、大阪の放送局であるABC朝日放送の朝の番組に不定期で出演しており、その中で、「金1kgと、綿1kgは、どちらが重いか?」という、たわいもない実験を道行く人を対象に大阪駅前でやろうと提案したため、金がたちまち必要だったため持ち帰えり難を逃れたのです。(余談ですが、同じ重さにもかかわらず、金の方が重いと答えた人が70%もいました。これは自分が重要と感じた方を重いと感じるからです。これもまた催眠なのです)
 話をもどします。
ファミリー証券の効果は、豊田商事に金を販売したお金と、販売した地金の現物が残っているという絶妙な事象を生んだのです。そして、豊田商事はその地金の現物を再び流用し、同様の手口でファミリー証券に変えることを繰り返し、結局、限られた金地金の現物で、多くの金を集めたのです。
 これらはすべて催眠です。こんな催眠法の悪用の所為で、催眠商法という言葉が生まれ、本当は素晴らしい効果を生むはずの催眠が、悪の代名詞になったのです。さて、どこが催眠なのでしょうか……?!


この解説は、来週のお楽しみ……('-^*)/