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今週の喝 第874号(2022.01.17~01.23)この世は全て催眠だ(615)〜自分の人生の述懐の大切さを知ろう〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(615
自分の人生の述懐の大切さを知ろう

 このコラムを執筆しているのは、1月16日。私の70才の誕生日です。海援隊の歌ではないですが「思えば遠くへ来たもんだ」という心境です。
 私がこの「今週の喝」を通してコラムを書いているのは、何も私の回顧録を残したいというような意図ではありません。人間の人生というのは、須(すべから)く「優先順位と選択肢」に、その人の持つ情熱度合いがバイブレーションを起こして“出逢い”が生じ、それをどのように対処してゆくかで、その人間の人生行路が決定されます。それ故、人生は全て“出逢いの法則”から決して離れることがないことを、これを読む皆さんに伝えたくて書き始めました。
 初めの頃は、世の中や人の心の法則を伝えていましたが、そんな時、得体の知れない内声が心に響き渡り、私自身の歩みの中から、これを読む人、我々のSCHOOLで学ぶ人に役立ててもらえたらと思い立ち、我が人生の内観を認(したた)めるようになりました。
 皆さんも、自叙伝的にご自分の半生を文字にしてみて下さい。面白いように、記憶の彼方へと追いやっていたことが、ついこの間のように思い出されますよ。そして、その述懐に正面から向き合う時、糾える縄の如く、成功や失敗を繰り返してきたことが、実は一つの法則の下にあることに気付くことでしょう。
 自分のみに特化すると、過去を取り戻すことは無理かも知れませんが、人間には「系譜」が存在します。我々が先祖から受け継いできた血筋に刻まれた体験や、その歴史から学ぶ教えによって、子孫に清濁併せもった遺産を示し、“何が成功への道なのか”を残すという重要な役割を果たすことができるでしょう。
 こんな思いを込めて、これからもこのコラムを書き続けますので、皆さんの人生の役に少しでもたてて下されば幸いです。

 

★★異次元の味「ドン・ペリニョン」★★
 さて、23才の私はフルートを一途に吹き、我が師・宇宿允人先生に必死になってしがみついてゆきました。そして、その甲斐あって、ルーマニアから正式に招待され、我がヴィエール室内合奏団は海外演奏旅行を成功裏に終えることができたのです。そして、大阪厚生年金会館で凱旋コンサートをした後、後援会の一人の社長が、私を大阪北新地のナイトクラブに招待して下さいました。
 当時の私は、喫茶店に入るのですら不良の誹(そし)りを受けると心より思っていましたので、お店の前に立った時、正直に「あぁ、私の美しい青春時代はこれで終わりだ!」とマジで思いました。
 そして、ライオンのドアノブをノックして中に入ると、今迄嗅いだことのないセクシーな香りが私の鼻先をかすめ、30代前半のチーママと呼ばれる美人が我々を席へ案内し、50代とおぼしき物腰の柔らかい(オーナー)ママが丁寧におしぼりを渡しながら、私の素性を社長に尋ねます。社長は、私をこのクラブに誘った経緯(いきさつ)や私の経歴をママ初めホステス達に、今日のコンサートの感想も交えて紹介してくれました。すると、私と同年代とおぼしき一人のホステスが、
 「そんな素晴らしい方のフルートなら聴いてみたいけど、こんな処ではダメかしら……?」
と、甘えるような優しい声で、私を見つめながら話してきます。社長はそれを聞くや否や、
 「おいおい、今日はこの人を労うためにこの店に連れてきたんやから、ムリを言うたらアカンよ」
と、押しとどめます。その時、私は咄嗟にケースからフルートを取り出し、
 「他のお客様も聴いて下さるんなら、まだお酒も入ってへんし、笛を吹いても良いですよ。それに、このお店にはピアノの方もおられるようだし、そこには色々な名曲の楽譜もありますからね」
と気安く請け合いました。その時の私は、緊張に加えて恋心に似た熱い思いがこみ上げて笛を吹こうと思ったのを覚えています。すると、ママはスクッと立ち上がり、5~6組ほどいた他の席の客達に、私のことを説明し静聴を促すや、みんな水を打ったように私を注視し、そして拍手で迎えてくれました。その時、そのクラブ専属のピアニストも、自分のレパートリーを私に伝え、先ずはビゼーの「アルルの女」より“メヌエット”からミニコンサートがスタートしました。一曲終えると、他のテーブルの客人から私に、ドンペリ(ドン・ペリニョン)という高級シャンパンが配られ、
 「いやいや、素晴らしい音楽に接しました。今迄聴いたフルートの音色とは違う澄み切った心を感じました。この様な場所での所望に応えてくれはったことにお礼を言います」
と、丁寧に名刺を下さいました。そして、別のホステスが、グルック作曲のオペラ「オルフェウスとエウリディーチェ」の中のフルートの名曲“精霊の踊り”を演奏すると、目に涙を浮かべて、
 「私、池田の呉服(くれは)小学校の吹奏楽部でクラリネット吹いてました。昔、顧問の松平先生が『今津中学を日本一にした先生の一人や』と言うて、うちの学校に教えに来てくれはった梅谷先生やネ。思い出しました。あの時も“精霊の踊り”聴かせてもらいましたネ」
……いやはや、世の中は本当に狭い。後日談ですが、この若いホステスは、それから15年くらい後に、再び出逢った時には、10人ほどのホステスを抱えるクラブのママとなっていました。
 感動する感性、些細な出逢いを大切にする心を持つ人間の成功がこんな処にも窺われます。住む世界は違えど、真心の持つエネルギーは、どんな世界にも通用することを知った出逢いでした。

 

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/