M&Uスクール

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今週の喝 第875号(2022.01.24~01.30)この世は全て催眠だ(616)〜潜在意識に刻まれた新たな世界〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(616
潜在意識に刻まれた新たな世界

 高校生の頃より、「喫茶店に出入りするのは不良!」と親や学校から教え込まれ、喫茶店すら誰かと一緒でないと行かない超真面目な私が、ルーマニア演奏旅行から帰ってきた途端、後援会の一人の社長に色香の殿堂“大阪北新地”の高級ナイトクラブに生まれて初めて誘われたのです。
 音楽一筋にフルートを吹き続け、また作曲や編曲のセオリーこそ人間の情動を揺るがすシステムであると信じ、その事に邁進し続けてきた私にとって、何の努力もなしに(お金は必要ですが)、桃源郷のような快楽の世界に浸れることを知った私は、「これこそ、人の心を惑わせる欲望の最たるものだ」と感じました。
 そして、隣に座った呉服(くれは)小学校吹奏楽部でクラリネットを吹いていたという18~19才の女性から漂う色香は、どんな理性を持ってしても引き込まれてしまいそうになりました。彼女の所作、そして、どこで手に入れたのか私の官能をくすぐる匂い袋、全身から湧き出る優美な身のこなしは、今迄の私の住まう世界にはない、新たな感覚でした。
 こんな雰囲気の中で、私は求めに応じてフルートを吹き始めました。その時、クラブに居たママやホステス、そして、どこの誰か分からないお客達が、私の笛に心と耳を傾けてくれていることだけは、実感することができました。
 そして、出されたドンペリ・シャンパン……。今迄、ビールや日本酒は口にしたことはありましたが、“お酒のサイダー”は初めてでした。その味は、私の笛を小学校6年生の時に聴いたという、若きホステスのとろけるような眼差しと共に、私に新たな感性と感覚を植え付けました。それと同時に、我が母より年上とおぼしきオーママの気配りに、「大人の色香」を感知したのです。
 こんな世界があること……この体験が、後々の私の作曲に大きな影響を残します。残念ながら、今ではそのお店の名前も何もかも忘却の彼方にありますが、その感覚だけは私の潜在意識に深く印象を残しました

 

★★私の心に新たな感覚が芽ばえる……それは?★★

 印象とは不思議なもので、朧気(おぼろげ)な雰囲気と鮮烈な象徴的インパクトが、フランス絵画のように脳裏を去来します。その夜のことは心地よい酔いと共に、私に新たなる別世界があることを教えてくれたのです。そんな時に、西宮市市議会議員の今西えいじ先生から「ニシンの歌(仮)」の制作の依頼がありました(アーカイブス参照)。
 その時、我が楽団に新たに大阪本町にある相愛学園から入団してきた、4人のヴァイオリニストの一人で、国文科に進もうかとまで思っていた文学少女、牧野多美子さんに白羽の矢を立て、作詞をしてもらうこととなり、出来上がった詞を、当時大阪朝日放送事業副部長であり、過去に数曲の演歌を作詞していた高田直和先生にチェックして貰うことになりました。
 そして、西宮市民会館の喫茶室での面談の時、話が思わぬ方向に展開してゆきます。先ず、「ニシンの歌」の内容が複雑すぎること、そこにロマンが足りないこと、聞く人に想像力を書き立たせる要素が少ないなど、よく出来ているものの情緒に欠ける事を指摘され、最後には話が思わぬ方向に展開し、
 「今津中学校吹奏楽部の音楽が中学生離れしているのは、その編曲や時流の掴み方が鋭い」
という話に発展したのです。その時、その日の主人公である今西えいじ議員が、
 「それを構成演出し編曲しているのは、ここに居る梅忠さんです」
と紹介してくれて、話は急転直下「ニシンの歌」から、高田先生の背広の懐にあったクシャクシャの紙片に認(したた)めてあった一曲の演歌に話題が移り、その詞に曲をつけてくるようにとの指示がなされたのです。
 この辺りのことも、この紙面で芦屋の奥池で作曲の構想を練ったことや、それを見せて、けんもほろろにやり直しを命じられたことなど、以前、この紙面に書きましたので、見返して下されば幸いです。
 この頃の私は、ルーマニア演奏旅行での印象……素朴な人間性溢れる人達であるが故、数少ない娯楽である芸術への執心や傾注、そして、それらを真摯に受け止める情を感じると同時に、つい先日の私にとっては異様な世界(北新地の高級クラブ)での官能の刺激が交錯して、私の知らない新たな世界への渇望が去来し、演歌の持つ独特の音階(通称:四七(よな)抜き)が、ブクレシュチ(ブカレスト)のレストランで聞いた楽譜も読めないジプシー達の演奏とダブって、恋心にも似た胸苦しさが湧き起こり、得も知れない新しい世界の到来を予感していました。
 そんな中で、「おもいで酒」のメロディーは湧き上がってきたのです。

 

   この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/