M&Uスクール

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今週の喝 第871号(2021.12.27~2022.01.02)  この世は全て催眠だ(612)〜 朝イチの新聞記事に仰天! 〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(612
朝イチの新聞記事に仰天!

 ルーマニアの首都での第一回目のコンサートの翌日、次の演奏会の都市ブラショフに向かう準備をしていた時、通訳のアンネ・リーさんがニコニコと満面の笑顔で、バスに積み込みをしていた私たちに語りかけてきました。
 「昨日のコンサートのことが新聞に載ってるよ。読んでみようか?…(記事の見だし)…地球の裏側から来た小さな人達が大きな偉業を為した…(本分)…日本から来た15名のヴィエール室内合奏団のコンサートが昨夜行われ、その熱気が朝まで続いた。指揮者で音楽監督でもあるマエストロ宇宿のタクトは、往年のフルトヴェングラーを彷彿とさせる指揮ぶりで、我々ルーマニア人よりも祖国の香りをもたらした。バッハ“管弦楽組曲”に始まり、バルトーク“ルーマニアン舞曲”、ヴィヴァルディ“四季”と続き、最後のチャイコフスキー“弦楽セレナーデ”は圧巻であった。…(中略)…アンコールが45分にも及ぶ熱気は、近年体験したことのないコンサートである。彼等はどこからあの情熱を湧き立たせるのであろうか」
 日本のように、娯楽や報道が一杯あるわけでもない国ですから、国の機関紙にあたる新聞がこのような記事を掲載してくれたことで、私たちメンバーがレストランに入ると、演奏を聴いていないボーイやコンシェルジュまでが片言の英語で
 「Congratulation!(おめでとう)」
と、微笑みながら食事のサービスをしてくれるのです。年齢が当時の私と同じくらい(22~23才)のとても美しいウエイトレスも、私にコーヒーを注ぎながら、
 「あなたはフルートの方でしょ。バッハのポロネーズが未だ耳に残っているわ」
と、コンサートを聴きに来てくれていたのには、感動を通り越して、日本人の同世代の若者のアホさ、つまらなさがヒシヒシと思い起こされ、より一層、帰国後の使命を噛みしめました。

 

★★立派に使命を果たして凱旋!★★
 私たち日本人が、テレビを見るような感覚でコンサートを楽しんでいる姿は、毎度チケット販売に苦労する私たちから見れば、どっちが文化人なのか分からなくなりました。
 次のコンサートが行われるルーマニア第二の都市ブラショフでも、既に新聞記事が行き渡っており、ホテルに着くと同時に「Welcome!」の嵐です。私の荷物を部屋に運んでくれたボーイは、懇切丁寧にホテルの設備案内をし、テレビのスイッチまで入れてくれるのです。当時のルーマニアでは、テレビは未だ半分くらいの家庭にしか普及していなかったようで、私の部屋にあったものも未だ白黒テレビでした。私は彼に、
 「日本では、既に全家庭にカラーテレビがあるよ」
と言うと、彼はニッコリと笑みを浮かべて
 「日本人は、冗談が好きだね!?」
と、私の話には取り合ってくれません。それほど、文明という点では遅れているにもかかわらず、私たちが“クラシック”と言って高尚な趣味、金持ち達のステータス的に扱っている音楽が、彼等には日常の楽しみなのです。私たちが都市間を移動するバスの運転手ですら、ラジオからモーツァルトを流し、それを楽しみながら時々、オペラのアリアを口ずさむのには驚きました。日本なら、当時のトラック兄ちゃんは、八代亜紀のポスターを運転席に置き、演歌を口ずさむでしょう。
 このように、当初共産主義の貧乏国と思っていた(失礼!)人達、持たざる国の人達の心の豊かさは、物が溢れかえって有り難さが分からなくなってしまった我々日本人よりも、崇高な芸術と親しむことで心を養い、そこに満足感を得てバランスを保っていることを実感した旅でした。つまり、何が幸せなのか……?を、深く考えさせられる体験をしたのです。

 さて、スケジュールは第三の都市イヤシでコンサートをした後、再び首都ブクレシュチ(ブカレスト)でのラストコンサートを終え、全てに於いて成功裏に終わりました。その時、ルーマニアでの4回のコンサートのギャラが支給されました。私が貰ったのは、当時の日本円に換算して80万円!……これは、暮らしが苦しいクラシック(暮らし苦)業界の人間には、目玉が飛び出る大金です。
 しかし、大喜びも束の間、頂戴したお金は一定の額(確か5~6万円くらい)以上、当時のルーマニアではドルに換金出来ないことが分かりました。その上、最終日は日曜日でしたので、お土産を買うにもほとんどの店は閉まっていて街は閑散としています。これには、私も落胆しましたが、この10日間、私たちの世話を親身になってやってくれた通訳のアンネ・リーさんに、ルーマニア紙幣のコレクション分以外全額を
 「あなたの将来の学費にしてくれれば嬉しいよ」
と、良い格好をして首都ブクレシュチの空港からフランクフルトへの帰路についたのです。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/