M&Uスクール

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今週の喝 第870号(2021.12.20~12.26) この世は全て催眠だ(611)〜心底、音楽を楽しんでいる!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(611
心底、音楽を楽しんでいる!

 「ところ変われば品変わる」……我々日本人の常識は、世界の非常識と言われるが如く、ルーマニアでのブカレストでの初回コンサート、午後九時開演でアンコールの嵐で3時間半に及ぶコンサートになりました。
 日本は、テレビを始め雑多な娯楽が数多(あまた)あるため、良く言えば選択自由、悪く言えばまとまりがなく庶民の気が散りまくっています。しかし、ヨーロッパの片田舎であるが故にルーマニアは、純粋な国民性と心の底から自分達が育んだ文化を大切にすることが習慣づいているため、夕食後の一番リラックスしたい時間に、贅沢にも音楽の生演奏を楽しむのです。言い方は悪いかも知れませんが、何もないが故の贅沢が彼等の誇りなのでしょう。
 日本のコンサート会場で、終演時間を過ぎてアンコールが出たら、劇場の係員が「時間だから」といって止めさせようとします。私はこんな状況を幾度となく体験しました。
 しかしルーマニアでは、真夜中の午前0時を過ぎているのに、
 「客が要望しているのだから、君たちは演奏すべきだ」
と、舞台監督が指揮者の背中を押して、舞台に上がらせます。
 こんな感動的光景に接したのは初めてでした。また、驚いたことに真夜中にもかかわらず、劇場の前にはタクシーが沢山待っていて、私たちのコンサートが中々終わらないことで、「とても良いコンサートなのだろう」
とドライバー仲間で話し合いながら客待ちをしていたそうです。
 さて、コンサートが終わって万雷の拍手が耳の奥に未だ残っている時、私たちは達成感と充実感で心の底からの歓びを堪能していましたが、若さとは素晴らしいもので、ホッと一息ついた途端、無性にお腹がへってきたのです。しかし、0時過ぎのそれも灯火管制が敷かれている(戦時体制の故)首都は薄暗く、車のヘッドライトのみが照明です。心に「今日はDinnerはどうなるのだろう」という不安と共に楽屋を出ると、そこには件のタクシーが待っていてくれて、片言英語で「Congratulation! Let's go Restaurant.」と言って、レストランに連れて行ってくれたのです。

 

★★見事な日本古謡「さくら」の演奏★★
 タクシー運転手が、口コミで
 「今日のコンサートは、いつになく盛り上がっているよ!」
と、町中に触れ回っていたのです。私たちが午前0時には行くといっていたレストランは、それを聞いて、私たちの到着を待っていてくれました。日本であれば、ラストオーダー時間を盾に苦情めいた態度をとるでしょうが、彼等は丁寧に私たちを迎えてくれました。共産圏の国というと、自分達の主張を第一にすると思っていた私たちは、その国民性の素晴らしさに感動しました。
 そして、腹ぺこの私たちに素晴らしいルーマニア料理を出してくれて、お酒もタップリ飲み放題!その上、そのレストラン専属のジプシー音楽を奏でる楽団(5名)まで、贅沢にも私たちの食事のそばで、ルーマニア民謡やジプシーの歌をそれは見事な演奏で聞かせてくれます。特に彼等独特の楽器“チンバロン”(ジプシーの琴で、スプーンのようなバチ2本で叩いて音を出す楽器)の音色は、異国に来ていることを実感しました。
 そして一通り、お酒もお腹も満たされた頃、私は五線紙をとりだし、日本の歌「荒城の月」を即席アレンジで書いて、リーダーのヴァイオリンに見せたところ、「ゴメン!楽譜は読めないです」と言うのです!なのに心のこもった演奏は、我々の胸を打ちます。これが、今津中学に辛い点をつけた山田一雄先生の言わんとしていたことなのだと、万感の思いで彼等の音楽に耳を傾けていました。
 その時、通訳が「今の楽譜にある音楽は日本民謡ですか?」と尋ねてきたので、「民謡ではないけれども、とても心打つ昔の音楽ですよ」と言ったところ、ヴァイオリンのリーダーは楽団員に目配せをしたと思うと、なんと日本古謡「さくら、さくら」を情緒深く演奏し始めました。その演奏は日本人以上に日本的で私たちは、美味しい食事でお腹を満たされた後のひとときを、郷愁を感じながら聞き入っていました。しかし、一通り終わると思っていると、歌詞でいうと「いざや いざや 見にゆかん」でエンディングなのですが、また初めの「さくら さくら やよいの空は」に戻るのです。それも得意満面の顔で我が師匠・宇宿允人先生の真横で演奏しています。このような演奏が4回も繰り返され、私は、
 「もしかしたら、彼等はうろ覚えでこの“さくら”の演奏を始めたのか?それなら、この曲は永遠に終わらないのではないだろうか?困ったゾ!」
と内心ハラハラしていると、通訳のアンネ・リーさんがやって来て、私の耳元で、「Please,pay chip!」と囁きます。その言葉に、私はハッとして、ポケットにあった入国時に換金した些少のルーマニア紙幣を渡すと「いざや いざや 見にゆかん」とエンディングを演奏してくれ、めでたくめでたく「さくら、さくら」大団円(ハッピーエンド)を迎えました。
 チップを払う習慣は、その頃既に日本にはありません。こんなところにも、日本の非常識を体験した我々の珍道中でした。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/