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今週の喝 第864号 (2021.11.08~11.14) この世は全て催眠だ(605)〜情熱の職業、オーケストラ〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(605
情熱の職業、オーケストラ

 私たちオーケストラを生業(なりわい)としている者達は、幼少の時よりミッチリと継続して楽器の練習を続け、ミューズの神(音楽神)の下で(音楽一番、私事は二番)を育くみ、先人の作曲家達が心血を注いだ珠玉の名曲を、感動への感謝と共に、全身全霊で演奏することに生き甲斐を見いだします。
 そんな中で、英才教育というシステムも考案され、就学前の2~3歳の時から、楽器の練習に入る人も大勢います。
 私が演奏するフルートのような管楽器は、小学校高学年から、中学生の時に学校のクラブ活動“吹奏楽”が起因になって、音楽の魅力や楽器への憧れを芽ばえますが、ピアノヴァイオリンなどは、それこそ物心がつく前から練習できるようにシステム化されています。敏感に反応する子供は、親が音楽への情緒を育て、素晴らしい才能を開花させることも珍しくありません。
 私が宇宿允人先生によって入団を許されたヴィエール室内合奏団には、このような英才教育や幼児教育の中からたたき上げられ、プロの演奏家となった人達が大勢いました。
 そんな中で、私が師によってスカウトされた主な原因は、
 「君は、本当に音楽が好きなんだなぁ」
と、師匠が口癖のように私に言ってくれたこの言葉のように、流れる音楽の“波動”(バイブレーション)を素直な心で受け止め、それを“音”から“心・行動”のモチベーションに「感性置換」する能力に長けていたからだと思います。

 ここで、ちょっと貧乏くさい話をしますが、オーケストラの仲間はちょっと計算してみても分かるように、大きなオーケストラならメンバーは約50~100人、私たちの室内合奏団でも15名程のメンバーがいて、それを職業として維持してゆくには、どれ位の規模のコンサートを月に何回やれば良いのか、そして、それまでに練習の日も取らなければなりません。
 このように考えると、オーケストラの経営を成り立たせることの困難さが見えてきますね。まさに、「音楽への情熱」のみで生きてゆく覚悟が必要なのです。それでも暮らしは楽にならない……よって、「暮らし苦」=「クラシック」とぼやいておりました。

 

★★拝啓、音楽ゴロ-さま★★
 世界中のオーケストラは、自立して自分達だけの収益で経営を成り立たせているのは、ほんの一握りです。世界一のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団も多くの公共団体の支援を受けており、日本を代表するNHK交響楽団は文字通り、公共放送局の直接支援下にあります。
 こうしたオーケストラですら、近年その支援を打ち切られる憂き目に遭った団体もあります。その代表が「大阪市音楽団」(通称・市音)で、以前は大阪市が文化事業の一環として支援し、プロの市民吹奏楽団として大活躍していました。しかし近年、大阪市の財政事情の悪化から名前の使用は「シオン」として許可されたものの、直接的援助はなくなっています。
 各地方公共団体も、アマチュアが集まる市民吹奏楽団管弦楽団には援助の手を差し伸べますが、それは団員達の生活費(ギャランティー)の心配がないからという事情が大きく作用しています。
 つまり、プロの音楽家はほんの一握りを除いて、みんな「貧乏」(失礼!)なのです。しかし、情熱的に生きている素晴らしい人達の集団です。
 と、ここまでヨイショしましたが、永年月、節約生活にいて、また、それまで自分の技術鍛錬に費やしたレッスン費や楽器購入費などを鑑みると、全く割に合いません。ですから、個人的には生徒を集めて音楽大学への受験支援をしたり、全く別に英語やドイツ語の先生をやる人もいます。オーケストラはとにかくお金が掛かる、世界で最も贅沢な芸術なのです。
 こんな事情の中で、面白いのがオーケストラの仲間同士の結婚も散見されます。もちろん、一つの音楽への情熱が協調を生み、愛を育むのですが、無意識の内にはオーケストラ団員同士の結婚は、一つの家族になることでギャランティーが2倍になり、生活が少しは楽になることも関連しています。(もちろん、無意識に)こんな事情の中でも、好きな音楽を続けてゆく逞しい人類が音楽家です。ミュージシャン万歳!!
 しかし、古来より「貧すりゃ鈍(どん)(貪(とん))す」ということわざ通り、貧しさが高じると頭の回転が鈍(にぶ)くなったり、常識を越えて妬み嫉み貪(むさぼ)りなどの欲望が強くなり、いやな心が芽ばえてきます。
 たとえば、Aという指揮者に対して遺恨も何もないのですが、音楽上で(練習時)演奏の仕方に注意を受けたり、高い要求をされた時など、このような悪しき心がリベンジ心を燃え上がらせ、何処かで何らかの復讐をしようとする心が生まれます。そして、同じ境遇を感じた者同士の気で類項作用が働いて、反抗的な集団が出来上がります。彼等は合法的にリベンジ心を表出させることが屡々(しばしば)です。
 たとえば、指揮者Aが、午後5時までの練習時間で契約していると、1分でも超過すると、高く手を挙げて「定時になりました!練習はここまででお願いします」などとやるのです。彼等の中にはユニオンに入っている者までいる始末です。後、数分あれば曲を最後まで練習できて、指揮者も楽員もみんな気持ちよく終われるのに……。
 これも、総ての原因は指揮者と楽員の給料格差が遺恨の対象になって、意味の無い抵抗心に灯を点けた結果です。我々は、そんな一部のオーケストラ団員のことを「音楽ゴロー」と呼んでおりました。「ゴロー」とは「破落戸(ゴロツキ)」のことです。このような歪んだ者達に真っ正面から戦いを挑んだ勇気ある指揮者が、我が師マエストロ・宇宿允人先生でした。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/