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今週の喝 第863号 (2021.11.01~11.07) この世は全て催眠だ(604)〜オーケストラ団員vsソリスト(独奏者)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(604
オーケストラ団員vsソリスト(独奏者)

 皆さんは、オーケストラのワンパートとしてのフルートと、コンチェルトなどを演奏する独奏者とは、どちらが大変な仕事だと感じられますが?大方の人は、ソリストはそのテクニックも心の度量もシッカリしたものでなければやってゆけない、それに引き換え、オーケストラは大勢で演奏するので、何処かで誤魔化せるなどと考えがちですね。
 私は、この両者を経験しました。その結果、もちろんソリストとして演奏する技量やモチベーションは、それはそれは言葉に言い表せないほどの精神的な重圧があります。しかし、オーケストラの管楽器は、テュッティ(tutti=斉奏)なら何とかなりますが、どの管楽器もFirst(第一)になると、時折Solo(独奏)が出てきます。この部分を間違うと、オーケストラの演奏そのものを「ぶっ潰す」ことになります。この恐怖は得体の知れない重圧に打ち勝つための訓練を、練習につぐ練習によって克服する以外ありません。それと同時に、自分の観念の中で、「私はできる!」という自信を植え付けるための“精神訓練”もやらなければなりません。
 社会一般の仕事に置き換えたなら、独奏者とオーケストラ団員は、社長と従業員といったところでしょう。社長は、ソリストや指揮者の心構えを必要としますが、従業員は,社長の指示に完璧に添ってゆくと同時に、同僚とも足並みを揃え、その上、得意先(音楽では観客)の意向を満足させなければ良い社員とは評価されません。また、それがキッチリと満足感を与えたからといって、評価されるとは限りません。つまり上手くやって「当たり前」と思われる、俗に言うと「割の合わない」仕事なのです。
 オーケストラで、良い指揮者、良いソリストといわれるのは、こうした状況の中で、各楽器の気苦労や努力を察知し、ノンバーバル・コミュニケーション(言葉以外の雰囲気)で、感謝を伝える余裕と度量の持ち主です。この点でも、一般企業と何ら変わりありません。

 

★★世界のオーケストラvs日本のオーケストラ★★
 こんなわけで、一概にどちらが大変かと言う答えは短絡的には出ませんが、私は我が師・宇宿允人先生にスカウトされ、本来プロの道など遙か彼方だったのが、夢か幻か、アッという間にソリストとして鮮烈デビューさせて貰うことができたのです。その所為で、私は師と同じ音楽に対する立ち位置にいる事ができ、オーケストラの一団員としても、ソリスト同様に音符の隅々まで研究し、マエストロの要求に応えてきました。
 そんな事の影響もあって、指揮者イオネスク・ガラティ氏にモーツァルト交響曲40番のフルートパートを下ろされたのかもしれません。何ごともそうですが、集団では引っ込んでも突出してもいけないという、真に微妙な感性が要求されるのです。このような感性を持っている集団こそ「精鋭」と呼ばれるメンバーで、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など世界有数のオーケストラは、まさに精鋭集団といわれるのです。彼等は自分のパートだけではなく、楽曲全体、オーケストラの各楽器の隅々まで知り尽くし、大所高所から自観法の如く自分のパートを見つめ、そこに適切な音量や音色で演奏するという神業の如き感性を修得した人々なのです。
 ところが、日本のオーケストラは事情が少し違ってきます。もちろん、素晴らしいマエストロ級の楽器奏者もいます。そして、大所高所から自分のパートを俯瞰的に見ることの出来る人も大勢います。しかし、そんな才能を遺憾なく発揮するには、オーケストラでの収入が本当に少ないことが根本要因となり、メンバーの中にはふてくされる人間も出てきます。
 もの凄い才能を持って音楽大学に入り、そこで優秀な成績を取らなければオーケストラには入団できません。そして、オケでは突出した才能よりも、楽員として溶け込む能力の方が珍重されるのも手伝って、楽曲の邪魔をしないように、ほんの少しだけアインザッツ(歌い出しの瞬間、メロディーの頭)を遅らせてスタートする者も現れます。こうすれば他者より先に飛び出すことが絶対ないので、睨まれたり注意を受けることはありません。そして、これがいつぞや癖化して、キッチリと才能を開花させるより、給料に見合う働きの観念のため、安全にステージを終わることを主に置くようになります。
 私もこの世界に入りたての頃、外国の有名オーケストラと日本のオケの違いは何なのかと不思議に思っておりました。それは、給料の安さがスタートラインとなり、手っ取り早くアンサンブルを完成させる手法(技)?……飛び出さない演奏のため、日本のオケは、「フワフワ・モヤモヤ」と言う形容しかできませんが、アインザッツがソフト?なのです。やれば出来る人達ばかりですが、突出すれば“咳払い”される環境では、それは必然なのかも知れませんね。
 こんなところも、一般の企業に酷似していると私は思います。そして、そのような悪習に立ち向かったマエストロが、我が師・宇宿允人先生だったのです。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/