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今週の喝 第859号(2021.10.04~10.10)この世は全て催眠だ(600)〜欲望を否定せず生を全うしよう〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(600
欲望を否定せず生を全うしよう

 我が師・宇宿允人先生は、京都大徳寺の近く「寺ノ内町」に生まれました。10人兄弟の中程で、お父さんは人間国宝級の表具師さん。とても信仰心の厚い人で、月三回“七”のつく日には比叡山延暦寺に参拝に連れて行かれたとよく語っていました。
 兄弟が大勢いると、親や兄・姉の背中を真剣に見ることが多くなってきます。なぜなら、親にとって大勢の兄弟を万遍なく面倒を見ることなど到底出来るものではないため、自分の道は自分自身で探すように自然となってゆくのです。そんな中でもよく話されたのが、先生が九歳の時に出征した、長男の山口治一郎さんのことです。黙々と仕事をする父に代わって兄弟達の面倒をよく見て、将来は画家を目指して美術学校に通っていましたが、学徒動員で出征し、ソ満国境で夢も叶わず戦死したそうです。
 こんな環境の中で、心を育んだ宇宿允人先生旧姓:山口修)は、幼少期に一度は仏門に入り、自分の中から湧き起こる欲望への心の傾斜を断ち切ろうとまでしたのです。しかし心の底から“内響”が聞こえてきました。
 「仏門に入って、修行することで、己の欲望は克服できるかも知れない。しかし、本当にそれで良いのか。俗世間から離れて、果たして俗世間の人々を救えるのか」
そして、先生15歳の感知は、
 「俗世間に身を置いて、生きていきながらも、人間の正しい生き方を追求し、影響を与えていくことはできるはずだ。永井荷風が女の膝枕で寝て、酒を飲みながら世に名作を残したように、欲望を否定せず、良い方向に生かしながら、そして色々な喜怒哀楽の中で生きていった方が人間らしい」
このようなことを兄を憧憬し、父の背中を見て育った先生は、京都北大路の加茂川から比叡山のスケッチをしていた時に天の声のように聞こえてきたと伺いました。
 これまた偶然なのですが、私がスカウトされ、比叡颪(おろし)が吹きすさぶ加茂川でフルートの練習をした場所とピッタリと一致するのです。彼の地は不思議な精霊が宿る聖地なのでしょうか。

 

★★人は、共振できる人間を求めて生きる★★
 そんな幼少期を過ごした師匠ですから、自分一人がルーマニアから客演指揮者として招聘(しょうへい)を受けたことを不本意に思った理由がよく分かりました。先生の原点は「自分の生涯を救済に……」という心の在り方からスタートしていたので、“自分だけ!”という感覚には大きな抵抗があったのでしょう。
 しかし、大阪での「隠れ宇宿ファン」の計らいで、先生はルーマニアの主要4都市の名だたるオーケストラと共演するため、伊丹から羽田経由フランクフルトゆきのルフトハンザで旅立ちました。約一ヶ月ほどの旅だったと思います。この間のヴィエール室内合奏団のメンバーは、言ってはいけないのでしょうが、「鬼の居ぬ間の洗濯」の明るい雰囲気があった……いや、少々箍(たが)が外れた感覚が頗(すこぶ)る心地よかったのを思い出します。
 ルーマニアに入ってからは、彼の地の指揮者イオネスク・ガラティ氏のツアーコンダクトで国中を廻り、各地で絶賛を浴び、その演奏に対する評論も刻々と私たちの手元に送られてきました。
 幼少期より、何に付けても前進の気全体の気を大切にしてきた師匠ですから、その気のバイブレーション(波動)は、光り輝くオーラに包まれ、ひとたび指揮棒をとると、それこそミューズの神が降臨してくる雰囲気が漂いました。
 今思い返すと、我が師が私をスカウトしたその心根は、フルーティストを求めていたのではなく、自分の精神からほとばしり出る音楽=感動による欲求を、自分と共に目指す人間を求めていたのでしょう。そこに、夢や希望など全く持たず、只々一本の笛を慈しんで吹いていた私の姿勢(バイブレーション)が合致したのだと思います。
 師匠は後に、私への金言「君は音楽が好きなんだなぁ!」と、ボソッと言われたことがあります。その真の意味は、“夢や希望”というものよりもっと崇高なものがそこにあることを教示して下さったのです。それは「無心」そのもので音楽に立ち向かう師の在り方と完全に一致したと伺いました。さすれば、北大路の加茂川堤の共時性も納得できます。その頃、私が加茂川から見上げていた比叡山では、同じように自己葛藤とこの世に生を受けた意味を求めて、その後、生涯に渡って影響し合う斯波最誠和尚が修行中であった因縁を、深く感じずにはいられません。
 人は、その人の発するバイブレーションによって、周波数が共鳴し合うことで美しい音楽が奏でられるように、共振する相手を常に求めているのだと、私は思います。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/