M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第858号(2021.9.27~10.3)この世は全て催眠だ(599)〜どう考えても、改変箇所が見つからない!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(599
何が違うのか?

 “おもいで酒”が出来上がり、初めて聴いて貰った時には、「書き直し!」を作詞の高田直和先生に言い渡され、その後努力して改変しようとしましたが、私自身の感性では、どこも直す箇所を見つけられずにいました。やがて演歌を作曲したことも忘れ掛かっていた時、突如「もう出来ましたか?」の催促に、咄嗟に「ハイ!出来ております」と何もやっていないにもかかわらず、返事をするという大胆不敵な行動を無意識にしていました。
 その時のことを思い出すと、全く悪びれることもなく、同じ曲を精魂を込めて、特にサビの部分(あの人どうしているかしら)を感情たっぷりに歌いました。その結果、
 「ホラ見なはれ、やったら出来まっしゃろ!」
と言って貰ったから不思議です。
 もし、私がクラシック音楽を師匠の宇宿允人先生より伝授して貰っていなければ、単純に歌い方や聴き方で評価を変える人達のことを完全に舐めて掛かっていたことでしょう。それ以前もそれ以後も同じ様なことを幾度も体験しました。
 後日、ヒット曲というのは、が良いからか、が良いからか、歌手が上手いからか、編曲の妙味か、またプロダクションの力関係かなどと、ヒット曲の要因を喧しく週刊誌などで論じておりましたが、私の体験からすると、どんな名曲も歌手が下手ならば駄作に聞こえ、どんな名歌手が歌っても、メロディーが単調なら聴き映えがしないことを思い知りました。やはり、総て“世に出るもの”は相乗効果で成り立っているのです。
 そんなこんなで「おもいで酒」は産声を上げたのですが、これが世に認められ、生意気な表現ですが“一世を風靡する名曲”になってゆくためには、まだまだ大きな難関が幾重にも横たわっておりました。それは、数々の偶然が折り重なり、驚くような出逢いが、ゴブラン織のように美しい色合いを醸し出していったことで成しえられたのです。そのヒット街道を歩むお話しはまた後日のお楽しみとします。
 そこで、ひとまず、私のオーケストラ時代のお話しに戻します。ここでも色々な出逢いが起こり、新たなる偶然とともに、大輪の花となって開花してゆきます。

 

★★隠れ宇宿ファン!の仕業なのか……?★★
 私が23歳になったある日のことです。我が師匠宇宿允人先生が東欧の共産国家ルーマニアのオーケストラに客演指揮者として迎えられるという話がやってきました。我が師は、それはそれは厳しい練習で有名でしたので、失礼な表現ですが、関西では相当煙たがられ(嫌われ)ていました。しかし、「山高くして谷深し」の格言通り、その演奏を高く評価する評論家や音楽関係者も大勢いました。その証拠に、大阪フィルや京都交響楽団の中にも「隠れ宇宿ファン」とも言うべきシンパがいて、狭いクラシックの世界ですから、コンサートが終わった当日に、
 「今日のヴィエールの演奏したチャイコフスキーの弦楽セレナーデは、名演だった」
などと、瞬間に噂が走るほどでした。
 そんな中の有力な音楽関係者のどなたかが口添えして下さって、宇宿先生がルーマニアの主要都市にあるオーケストラに客演指揮者として招かれ、コンサートを開くという素晴らしい話が、ルーマニアの首都ブクレシュチ(ブカレスト)の音楽協会からオファーがありました。それと同時に、ルーマニアから新進気鋭の若き指揮者イオネスク・ガラティ氏を日本が招くという交換コンサートの企画でした。(ガラティ氏は今ではルーマニアを代表する指揮者です)
 素晴らしい企画にヴィエールの団員一同大喜びでしたが、肝心の御大・宇宿先生は浮かない顔です。先生に対する進言は、みんな恐ろしさが先行しているため、単刀直入にその理由を聞く人間など誰もいません。マネージメントの盛田貞代さん
 「こんないい話なのに、先生は何が気に入らないのかねぇ」
と私に小声で言うような有様です。そこで、私は思いきってその疑問をぶつけてみました。すると、
 「いや、客演で向こうのオーケストラを指揮するのも良いけれど、私は君らごと(ヴィエール室内合奏団)あちらで演奏したいんだ」
この言葉に、私は感動しました。
 「この先生は、何事に付け自分のことより楽員のことを最優先に考えてくれている……やはり、この先生に付いてきて良かった」
そんな万感の思いと共に、私は師匠に言いました。
 「先生、今度の招聘は私たちを海外演奏旅行に連れて行って下さる前哨戦です。次にルーマニアに行く時は、私たちを連れて行って下さい。その為にも、手兵でないオーケストラを短期間で先生の音楽を理解させるのは至難の業でしょうが、それが成功すれば絶対に夢は実現すると思います!」
ま、若いというのは傍若無人です。正面切って我が師にこんな説教めいたことを言ったのですから。今考えても、背筋が凍ります……。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/