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今週の喝 第854号(2021.8.30~9.5)この世は全て催眠だ(595)〜着想は良いが、視点を見直そう!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(595
着想は良いが、視点を見直そう!

 牧野多美子作詞「ニシンの歌(仮)」を、朝日放送事業副部長で作詞家でもある方に今西えいじ議員の計らいで見てもらうことになり、西宮市民会館の喫茶室に赴きました。その方の名は、高田直和先生
 その時、初めて“名刺”なるものを頂戴し、私たち音楽家はそのような高尚なものは持っていないため、その場でメモ用紙に、氏名、住所と自宅電話を手書きで書いて間に合わせました。高田直和先生は、私の父より一歳下の昭和4年生まれで、学生の時は明治大学マンドリンクラブに所属し、学生時代はそのクラブの創設者で大作曲家古賀政男先生の鞄持ちをしながら、流行歌の作詞を直接レッスンして貰ったそうです。
 背格好は160㎝を少し越えたくらいでしょうか、そして顔立ちは(少々忖度して)格好良く言えば、宇津井健に少し似ているのが第一印象でした。私が言うのも失礼なのですが、とにかく「よく喋る先生」というのが第一印象でした。しかも、コテコテの大阪弁で……。
 さて、何はともあれ早速作詞を見てもらいました。暫く詞を眺めていた高田先生、その真剣な眼差しにこの方は真の芸術家だと感じ、嬉しくなってきました。そして、「ニシンの歌」の詞をテーブルに置くと、
 「よう出来てる詞やね。そやけど、“僕のニシンは何処行った。私の父さん帰ってこない。北方領土も帰らない”というのは、情緒がおまへんな。今西さん、これは題材が複雑すぎるように思います。もっと作詞するときは、シンプルな視点で書かんとあきまへん。もういっぺん視点から考え直した方がよろしおまっせ!」
と、文学的には良く出来た作詞だが、歌謡曲的見知からは、どんな名曲が付いても、ヒットの要素が感じられないから、今西議員のレコードを出すという視点から見直した方が良いという、鋭いご指摘でした。

 

★★クシャクシャの原稿用紙が出発点★★
 高田直和先生はその後、ご自分の持つ経歴と師匠である古賀政男先生との共通点、そして歌謡曲のあり方から、ご自分の仕事の分野であるセレモニーやページェントの企画内容など、饒舌(じょうぜつ)に論理展開し、今西先生も多美子さんも私も、ぽかんと口を開けるほどの大講義が展開されました。
 そして、話の最後の方で、
 「あんたらは、この西宮に今津中学という学校があって、そこの吹奏楽部は連続日本一に輝く程の実力や。それだけやあらへん、そこの子供等が“2000人の吹奏楽”や“アマチュアトップコンサート”で見せる演奏やドリルは聴衆を楽しませようとするサービス精神がある。作詞もそのポピュラー性がないとあきまへん。それにしても、あの音楽構成をやってる人は感心するなぁ。見事に人の心を捉える構成演出やねぇ。あんたらも、見習(みなろ)うたらよろしい。あんたの作詞の才能はたいしたモンやから、このところをシッカリと勉強しなはれ」
と突如、我が母校今津中学校吹奏楽部の話題が出てきて、私はぶったまげました。その時、今西えいじ先生が、やにわに、
 「高田先生、実はこの作詞者の隣にいる梅谷さんは、先生のおっしゃる今中吹奏楽部の編曲のほとんどを担当してて、あの吹奏楽部のステージの構成演出もほとんどがこの人のアイデアです。私も付きおうて4年になりますけど、面白いアイデアをいっぱい持ってはります」
と、私を紹介してくれました。その時の高田直和先生の眼を白黒させた表情は今でも忘れることが出来ません。
 これを切っ掛けに、矢継ぎ早に私が編曲をするときの発想の着眼点や、構成演出の決め手は何を基準にしているかなど、高田先生から質問が雨あられのように私に浴びせかけられました。
 私は、その質問に一つ一つ丁寧に答え、約一時間ほど質疑応答のようなやり取りが続いた後、スーツの左の内側胸ポケットから一枚の原稿用紙を取り出し、私に指し示すと、
 「これは私が書いた演歌の詞です。梅谷さん、あんたこれに曲つけられまっか?一週間程前にフッと浮かんで、ついさっき完成したばっかりです」
と、高田先生は、迫ってきます。
 その原稿用紙は、先生の胸のポケットに無造作にねじ込まれていたため、クシャクシャになっており、正直に第一印象は「粗っぽい人だなぁ」……しかし、そこに書かれた字は、今も鮮明に脳裏に焼き付く達筆で、私のような悪筆からは神の如き筆遣いに感動が湧き上がってきました。
 そして、詞のタイトルは「おもいで酒」とありました。

 

    この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/