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今週の喝 第842号(2021.6.7~6.13)この世は全て催眠だ(582)〜鬼気迫る指揮者、マエストロ宇宿〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(583
鬼気迫る指揮者、マエストロ宇宿

 我が人生で21歳の春ほど、大きな気付きを与えられた時期はないでしょう。それは、フルートを吹く側とその演奏を聴く側では、癪なことに、聴く側の感性が基準になるということの発見です。これは、音楽に限らず我々人間のあらゆる所業(行為・行動)に当て嵌まることに気付き、
 「この法則性を基準にすれば、世の失敗者をなくすことが出来るかも知れない!」
と言うところまで理論解釈が発展し、やがてM&U SCHOOLの創設の礎(いしずえ)になってゆきます。
 宇宿先生はよく、「音楽家は生ぬるい仕事だ!」と自虐的に言っていました。血を吐くような練習も過言ではなく、その事に生命を賭けるくらい真剣にコンサートに取り組みます。その事を、先生に伝えたとき、
 「血を吐くような、であって、血を吐いたのか?生命を掛けただけで、ミスを犯して死んだ者がいるのか?」と一蹴します。
 「剣術家は一瞬の気の緩みで斬り殺され、企業家は会社を潰し路頭に迷う。パイロットは墜落して命を落とす。音楽家は頭を掻いて『申し分けない!』で終わらせようとする。してみれば、私のような指揮者は最も愚劣だと思う。100人のオーケストラで何の音も出さない演奏家は指揮者だけだからな。だから私は指揮者になったンだ!」
ここまで聞くと「何と楽な方に廻って……」とその時は思いましたが、さてその真意は、
 「現状の指揮者は上記のようにいい加減な心構えの者が多すぎるから、自分は16分音符一つまで、緻密に音楽構成する、ヴァイオリンの弓使い(ボーイング)一つまでその効果を最大限発揮するものに持ってゆくんだ!」
この気迫は、巌流島の宮本武蔵vs佐々木小次郎の決闘に勝るとも劣らないものでした。

 

★★心に抱く疑問を、師匠は言い当てた!★★
 佐々木小次郎宮本武蔵に敗れたのは、剣術の優劣ではありません。武蔵は決闘時刻にわざと遅延し、小次郎はイライラと感情的になりました。そして海から小舟でやって来た武蔵は真剣を持たず、船の櫂をナイフで荒削りした木刀で砂浜に立ちます。小次郎「真剣vs木刀」の舐められた武器の選択に、またもや苛立ちます。
 この心の隙間に、武蔵小次郎の脳天を長い木刀(船の櫂の長さ)で一撃し、呆気にとられている弟子達を尻目に、船頭と共に海に待機していた小船にいち早く飛び乗り、巌流島を後にします。
 小次郎の敗因は、剣術の腕前ではなく、心の鍛錬の在り方でした。この話を先生は良く聞かせてくれました。20歳前後は何かに付け、心よりも格好を優先する時節です。ですから、誰よりも早く演奏しようとか、大きな動作で目立とうなどと、音楽の本流から離れた事に腐心することを、私は常に戒められました。
 現在の経営者に当て嵌めると、儲けた金額の多寡が経営者の資質を決めているのではなく、その仕事に対する情熱度、言い換えれば失敗すれば死を覚悟する程の責任感、また部下達の積極性などが判定基準となり、その会社の真の評価となります。それは、経営手腕というよりも、人心掌握にその基準があるということです。単純に言うと、経営者や指揮者は憧れられる(憧憬の念で迎えられる)ことが最重要で、彼等はそこにいる部下や楽員を“信じきる心意気”を育まなければ、ただの金儲け集団であって、企業やフィルハーモニー(楽友協会)ではありません。
 これらのことを常に法話の如く伝えて下さる宇宿先生の話から、私は
「先生は、音楽の話を通して人の生き方そのものを私に伝えて下さっている。それが、『音楽家はミスをしても死なない』発言に繋がってゆく!」
と、感じ取りました。
 さて、吹く方と聴く方では“聴く方”に軍配が上がり、大体の人間は理性と感情のせめぎ合いで感情が勝ってしまう。さすれば、笛を吹く「自分」という存在の位置は何処に求めれば良いのだろう……私は、とりあえず
「この回答を得るまで“自分”という迷いの存在自体を無くしてしまおう」
と心に決めました。その為には、何をどのようにどう他者(特に師匠)と接すれば良いのか、という具体的行動を模索し始めました。そして、その接し方が見つかるまではどうすれば良いのかと考えていた(迷っていた?)ら、宇宿先生は私の背中越しに、
 「私の言う通りにすれば良いんだ。ついて来い!」
と私の頭の中を見透かすように、一喝したのです。その時、自分の考えと師匠の一喝のタイミングがあまりにも合致している事への驚きで、目の前がパッと開けたのが昨日のことのように甦ります。
 この出来事が21歳の春に起こらなければ、今の自分も所業も全く違ったものになり、この「今週の喝」を読んでくれている皆さんとも出逢っていたかどうか分かりません。

 

     この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/