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今週の喝 第803号(2020.9.7~9.13)この世は全て催眠だ(544)〜世の中全て“やり方”ではなく“あり方”!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(544
世の中全て“やり方”ではなく“あり方”!

 9月になると思い出すことがあります。まだまだ夏の蒸し暑さが残る中にも、空気は確実に大陸の香りを運んできます。この匂いを嗅ぐと、私が超感銘を受け、尚且つ人生の方向性を決めた出来事が思い出されるのです。
 それは、掃き溜めの町と自虐的に呼ぶ我が町・今津の至宝と言われる得津武史先生が、夏の吹奏楽コンクールで審査員としてお出でになった、当時大阪フィルハーモニーの専任指揮者であった宇宿允人先生に、
 「こんな重たい天ぷらの箸で、繊細な音楽は表現できません」
“得津武史=天ぷら棒”といわれたその象徴を禁止・剥奪されたことです。普通ならば抵抗して逆らう方に走るのが人間です。しかし、そこで先ず第一の感動を私に与えてくれました。それは、何と指揮棒を天ぷら棒から指揮棒に素直に変えたのです。但し、指揮台の傍らに生徒の頭をガツンとやるための天ぷら棒は健在でしたが……。
 第二の感動は、宇宿先生のおっしゃる音楽ニュアンスが理解できないでいるとき、たまたま私が宇宿允人先生の指揮法を“猿まね的”に、出来たのを見て、大衆中華料理屋「東海楼」で、20歳の“生徒である”私に、
 「わしゃ、違いは分かるけど、どないしたらあんな音が出るか分からん。梅忠、教えてくれ!」
と、白酒を飲みながら言われ、理解できるようになるまで、翌日朝6時から指揮法の勉強に我が家に来られたことです。この素直さに私は大感激しました。
 私も宇宿先生の指揮を見よう見まねで出来ただけですから、自分が得津先生に伝えていることに自信などありません。しかし、「違い」だけは明快に分かりましたので、熱心に2週間近く毎朝我が家にお出でになる得津先生を見て、だんだん「何が違うのか!」が感じ取れるようになってきたのです。
 私の人生に於いて、生まれて初めて「閃き」を感じた瞬間だったと記憶します。得津先生は、指揮をする“方法”(How to do.)を習得しようとされていて、そこに自分が子供達と共に奏でたい、ワーグナーの「マイスタージンガー」はありませんでした。つまり、感性的にどんな音楽を求めているのか(How to be.)がなかったのです。

 

★★“感動”こそ、あらゆる事象を成就させる!★★

 感動というものは、全てを打ち砕くエネルギーを携えていると感じた一瞬でした。私は、恩師である得津先生に、ハッキリと、
「指揮をせん(しない)ことです。生徒に指示を与えないことです。先生の練習に嫌というほど付いて来た彼等の技量と音楽に対する情熱に期待して任せてみて下さい。そやから、先生は自分の頭(脳裏)で、自分の理想の音楽を奏(かな)で、それに合わして指揮棒を適当に振らはったら良いんです。」
と言ってしまいました。完全に無意識の為せる業でした。
 第三の感動を感じたのはその時です。得津先生は、
 「梅忠、解った!おまはんの言う通りにするよってに、それまでの練習は、あんたがつけてくれ。ワシがやったら安全な道を選んでしまうよってにな!」
と言って吹奏楽コンクールの3日前に、私に吹奏楽部の練習の全てを委ねたのです。私は、私の感じた宇宿允人先生の思いを精一杯子供達に、自分の“思い”として伝えました。もちろん自信などと言う立派なものは何一つなかったのですが、3週間前の8月31日の宇宿先生による練習風景が強烈に私の脳裏に焼き付き、その光景を思い出そうとしなくても私の心を駆け巡ります。あの、得も知れない、マイスタージンガーの冒頭の迫力あるサウンドが“感動”という津波となって、私が指揮台で子供等に練習を付けて居る間中、体育館中に共鳴し、全身を駆け巡ります。
 その間得津先生は、私の箴言(しんげん)通りに、自分が思い描く「マイスタージンガーとは何か?」を真剣に模索していました。(後に伺った話です)
 そして、私も宇宿先生が付けて下さった練習の感動を、精一杯吹奏楽部の子供等に伝えているとき、これも彼等が卒業してから聞いたのですが、私と全く同じく、
 「あのわけの分からない指揮によって、自分達が感動して、アッという間に曲のラストまで吹ききり、その後の心の満足感や充実感は何なのかと、不思議に思っていた」
と言うのです。
 そして、吹奏楽コンクール関西大会の当日がやって来ました。今から考えますと、当日を含めて4日もの間、得津先生は自分が何をどのようにどうやりたいかを見つめ、私は練習時指揮台に立つものの、全く指揮することなく、初めの“ゥヴァーン”という音を求めて指揮棒を振り下ろした後は、只々彼等の演奏を、彼等を信頼して傾聴していただけでした。
 そして、コンクール関西大会の結果は、審査員全員が2位との差を格段に開けての首位です。その審査員の中には、もちろん宇宿允人先生もおられました。

 

       この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/