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今週の喝 第778号(2020.3.16~3.22)この世は全て催眠だ(519)〜自分の演奏で記念録音〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(519
自分の演奏で記念録音

 「江戸の隠密、渡り鳥 雲と流れて、西東」……ボニー・ジャックスが歌うこのテレビドラマのラストテーマは、当時の子供達だけではなく、大人の間でも大流行しました。そして、このレコードのA面に、ひばり児童合唱団が歌う“隠密剣士の歌”という軽快な主題歌が入っているのですが、ビデオもDVDも無い時代ですので、レコードにはTVの一場面の録音が入っていました。
 そのチャンバラ場面のバックの勇壮な篠笛演奏が、この度「今津音頭」のB面、歌無し(今のカラオケ)を担当して下さる藤舍秀明さんです。
 しかし、あの隠密剣士の録音から10年の月日が流れていました。正直に申し上げて、その年月は秀明さんの力量を経年変化させていました。ハッキリとしたことは分かりませんが、年齢は当時で70才前後のように見受けられました。その結果は、音色は掠(かす)れ、息も絶え絶えです。
 私の脳裏には以前、今津の有志が紹介してくれた民謡や三味線の師匠方のことが頭を過(よぎ)り、もう真っ白です。録音会場の誰もが静まりかえり、3テイク録音したあとも、靱(うつぼ)ディレクターも目配せで「これ以上は無理!」という合図を送ってきます。
 その時です。手拍子とかけ声の一員として参加していた浅尾一雄今津連合会会長が、一声!
 「忠洋君!あんた素晴らしい音頭を作曲してくれはったなぁ。そこで、あんたの作曲記念として、あんたのフルートでも一回音入れしておいたら、二十歳(はたち)のエエ思い出になるで……。なぁ、婦人会の姉(ねえ)さん方……」
と、同じ手拍子仲間に声がけしてくれたのです。
 「ホンマや!忠洋さんの西洋の笛も趣があってエエやろなぁ」と言うことで、浅尾会長の提案で、私が一回だけフルートで記念録音することになりました。ところが、当日は私自身指揮だけの予定だったので、自分の(いや、西宮吹奏楽団から借用の)フルートは持っていません。そこで、生徒の笛を借りて1テイクだけ録音することになりました。

 

★★本当のプロ……!★★
 そして、当日だけでもリハーサルを入れて二十回くらい演奏している「今津音頭」ですので、生徒達も佐藤君の大太鼓の音頭取りだけで、指揮者など無しで1テイク録音をしました。この時は、私に対する浅尾会長からのプレゼントだという思いで、私も生徒も、また邦楽の皆さんも乗りに乗って楽しく全ての録音を終えたのです。
 その様子を会場で、じっくりと耳を澄ませて聞いていた藤舍秀明さんは、録音が終わり、「お疲れさま」コールの最中に浅尾会長と得津武史先生、そして靱ディレクターの3人のところに駆け寄り、
 「皆さん、B面の演奏は、あの若いフルーティストのを使って下さい。私は、年を取り過ぎました。中学生と一緒と聞いて、いい加減に考えていた自分が恥ずかしい!いや、さすが日本一になる子供等(ら)です。それに、あのフルーティストの音色はアマチュアや無い。いつか、世に出ると思います。ですから、是非彼の笛でB面をお願いします」
と、肩を落として言われたのです。
 私もその場面を遠くで眺めていましたが、憧れの隠密剣士の篠笛奏者が取った真摯な態度に、「この方こそ、本当のProfessionalだ」と万感の思いがこみ上げ、思わず秀明さんのところに行って頭を下げ、力一杯の握手をしたのを覚えています。そして、秀明さんは
 「あんたみたいな若者が、これから活躍するんや。洋楽も和楽もない。推峰にせよ、あんたにせよ、ホンマに心から音楽を楽しんでる。その才能を大事にして頑張りや……!」
その温かい言葉、秀明さんに取っては自分への決別の言葉は、その声の響きと共に私の耳に今も残っています。
 「花は散り際、男は度胸」という文言がありますが、正に二十歳にして、このような素晴らしい方々から色々な面で「プロとは…?」という回答を頂戴したのです。そして、浅尾一雄会長の“腹芸”に、百戦錬磨で世の中を渡った男の力量を感じたのです。
 後で知ったのですが、この一部始終を株式会社大関酒造の当時の社長・長部文治郎さんが市民会館の片隅で見ておられたのです。長部文治郎さんは、私が通っていた今津文教保育園の園長先生も兼務され、私のことを(今もご健在)「ただひろちゃん」と呼んで下さるくらい可愛がって下さいました。その長部社長が、
 「この今津音頭のジャケットは、ウチの宣伝部に豪華に作らせる」
と、買って出てくれました。
 そして、レコードが完成する8月初旬に、今津小学校でその発表会を兼ねたコンサートを、司会に今津小学校の卒業生でもある、通称“なにわのモーツァルト”こと「キダタロ-」さんを迎えて盛大に行うことになりました。

 

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/

 

 

★編集よりお知らせ★

今週の喝!の中で紹介されている「今津音頭」は下記にて当時の音源を聞くことができます。

当時の様子を思い浮かべながら御覧ください。

 

◆歌入り◆

 

◆笛入りカラオケ◆