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今週の喝 第777号(2020.3.9~3.15)この世は全て催眠だ(518)〜「性質・環境・制度・編成」〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる

潜在意識ってどんなもの? 

この世は全て催眠だ(518
「性質・環境・制度・編成」

 「優秀なメンバーに恵まれる」……正に“今津音頭”を録音した今津中学吹奏楽部の生徒達は、和太鼓を担当した佐藤君、そして、ポピュラー系の音楽でその「乗り」を決定するベース橋本君……といってもまだこの時代の吹奏楽にはエレキベースは無かったので、チューバでしたが、彼は佐藤君と仲が良かったようで、ピッタリとリズムが合い、三味線今藤和歌治郎さんを唸らせるようなリードをしてくれたのです。
 今でこそ、オーディオ機器は簡単に手に入り、あらゆる音楽を手軽に聴くことが可能ですが、当時は手提げのレコードプレーヤーに代わって、やっとラジオ付きカセットテープレコーダーが出始めた時代です。佐藤君のお父さんは歌謡曲が大好きで、しょっちゅう自宅ではカセットで和製ポップスを聞いていたそうです。
 こんな環境から、あの素晴らしいリズム感を習得したようです。してみると、能力が作られるというのは、仲が良い友とか、家で音楽に触れる環境があるなど、技術よりも周囲の環境がその発火点になっているようです。その上にその人独自の才能が芽吹くことを、この時のレコーディングで感じました。
 このコラムで、ずーっと書き続けていますが(今津の皆さんには申し訳ないのですが)、得津武史先生曰く「文化果つる地!」と言われるくらい、環境は「非常にガラの悪い下町」でしたが、ここに一人の熱血教師が出現することで、「やれば出来る」という観念が生まれ、それがやがて“環境”となり、それを継続して行くエネルギーが満ちてくると、「伝統」としてその恩恵に与(あずか)る人達は、潜在的に持っている“才能”を、適宜開花させて行くことを目の当たりにしました。
 この頃より、人間の運命を決定する要素が、「性質・環境・制度・編成」であることに気付いたのです。吹奏楽部という制度、そして指導者の得津先生という環境、そこに、同期の中で誰と気の共有ができるのか等、一つ一つの条件が揃うことによって、その人の性質の中にある能力が発掘されて行くのです。

 

★★またしても、難問が……!★★

 さて、「今津音頭」のレコーディングも順調に進み、午前中のマイク調整のあと連合福祉会から配られたお弁当(当時はみんな貧乏だったので、仕出し屋が作ったお弁当は大のご馳走でした)を頬張り、元気いっぱいの子供達は午後1時からの本番、今藤長之さんの歌入り録音もテイク6辺りで完了しました。全てが順調でした。そして、B面は、今で言うカラオケにすることになっておりましたが、メロディー無しでは歌いにくいというので、和笛(篠笛)をリードに使っての録音です。
 本来は、この素晴らしいメンバーを集めて下さった藤舍推峰さんの笛でお願いしたかったのですが、当日はご自分のコンサートと重なったために、推峰さんの兄弟子にあたる藤舍秀(しゆう)明(めい)さんを推薦して下さいました。この方は、私の幼少期(小学生)に、TVが本放送され、そして初めての大ヒットテレビ番組「月光仮面」に続いて、出演者、スタッフともほぼ同じで、宣弘社プロダクション制作の「隠密剣士」が放映されました。そして、劇中で忍者達のチャンバラ場面のBGMで、勇壮な和笛を担当された方です。この笛の音は、今でもYouTubeで聞くことが出来ます。
 今は東映京都太秦(うずまさ)撮影所と聞くと「映画村」博物館のイメージが強いですが、当時はこの「隠密剣士」で日本中に大忍者ブームが起こり、子供達でその主人公・秋草新太郎役の大瀬康一、そしてその忠実な部下で忍者・霧の遁兵衛(とんべぇ)役の牧冬吉(後に懇意になる不思議な方です)の名前を知らない者はいませんでした。この二人が公儀隠密として世間の悪と戦う勧善懲悪のドラマです。原作は私が尊敬する作詞家でもあり作家、脚本家の川内康範(こうはん)先生(「月光仮面の歌」、青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」など代表作は多数!)です。
 ですから、私も「隠密剣士」の笛の方と聞いて胸がワクワクし、今藤長之さんには申し訳ありませんが、メイン録音よりも更に期待が高まったのを鮮明に覚えています。
 しかし、マイク調整に入ってその音色を聞いて、私は愕然としました。あの素晴らしい隠密剣士の笛の面影は無くなっており、篠笛の音に息漏れの音が入り、少々呼吸困難な様子です。後に分かったことですが、藤舍推峰さんは、往年の兄弟子の音色を目標にして来たという思いからメンバーに推薦して下さったのですが、近年の状況はご存じなかったようなのです。
 それでも、3テイクほど録音しましたが、どうしてもレコードになるような演奏ではありません。録音日はその日1日しか無いにも関わらず、またしても青ざめるような状況がやって来ました。

 

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/

 

★編集よりお知らせ★

今週の喝!の中で紹介されている「今津音頭」は下記にて当時の音源を聞くことができます。

ぜひ当時の様子を思い浮かべながら、今週の喝!を御覧ください。

 

◆歌入り◆

 

◆笛入りカラオケ◆