M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第569号(2016.3.14〜2016.3.20) この世は全て催眠だ(311)〜あなたは、正確な日本語を使っているか?〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(311
〜あなたは、正確な日本語を使っているか?

 「今の日本人は、言葉を大切に使わないからイケねぇ!大体、礼を言うのに『有り難うございました』って過去形で言いやがる。礼というものは、これからもお世話になりますという思いを込めて言うもんだ。だから『有り難うございます』『有り難く存じます』と現在形で言うのが本当だ。縁を切る言葉を平気で使うというのは、言葉に心がへえってない証しだね。現に英語で“Thanked you”って過去形で言うかね」
 私がNHKでディスクジョッキーをやっていた頃、ゲストでお出でになった、落語家の十代目桂文治師匠(2004年没)とのやり取りの一節です。
 文治師匠は、江戸言葉に厳しかったことでとても有名な方で、多くの落語家が間違った言葉を喋り、それがTVやラジオで放送され、さも正しいように流布してゆくのが許せないと切歯扼腕されていたのがとても印象的です。
 私は、ディスクジョッキーという言葉を生業とするにもかかわらず、文治師匠と出会うまでは、お礼の言葉すら間違って用いていたことに気付かされ、とても恥ずかしく思い、それから「言葉を正確に用いよう」と決心したのを覚えています。
 こんな話しを、NHKのアナウンサーの方々としていた頃、丁度2001年のラジオの正月番組で、私が
 「皆さん、21世紀の幕開きです」
と声高に言うと、私の相手をしていてくれたアナウンサーが、
 「あなたは、どこで正しい言葉を習いましたか」
と、放送中に尋ねてくるのです。誰にも習ったことがない旨を伝えると、
 「じゃ、偶然正しい言葉を使ったって事ですね!」
と念を押して、先ほどの文治師匠同様に、言葉の乱れの話しにその番組は流れてゆきました。局のアナウンサーですら大抵の人が「幕開け」と言うけれど、「幕開き」が正しいんだそうです。
 
★★言葉は神の意志を伝える道具!★★  
 私は、正しい日本語を使っていたと思っていたのに、たくさん間違った表現や語句を用いてたことに気付きました。そこで、せめて言葉を生業とするディスクジョッキーなら、“言葉”を正しく使う人間になろうと発心したのです。
 そんな時、ディスクジョッキーの大家・浜村淳さんと番組を一緒にする幸運に恵まれ、番組を遂行するするのに最も大切に心掛けていることは何かを率直に尋ねました。すると、「無駄な言葉の排除です!」という答えです。
 「え〜、あ〜、その〜、ま〜」etc.の“つなぎ言葉”を無意識に使う代表格は、故・大平正芳元総理です。彼の演説は、このつなぎ言葉が全体の四割くらいを占めていました。大平元総理の名誉の為に申しますと、歴代の総理の中で、言葉を徹底的に慎重に用いられた方で、慎重すぎてあのような答弁になったと聞きました。
 さて、そんなこんなで、私は一大決心をしたのです。浜村淳さんは、全くつなぎ言葉はありません。淀みなく、リスナーに対しての気配りを忘れず、その上、ユーモアを交えて話す浜淳スタイルは、私の大目標となったのです。その成果から、先日も名古屋で「リーダーたる者の極意」発売記念講演会のときの2時間のDVDをチェックしましたが、お陰様で、一度もつなぎ言葉や逡巡めいた語句を使っていなくて、ホッとしました。
 
 言葉……誰でもが無意識に用いるコミュニケーション手段ですが、人間のあらゆる問題や諍い、もっと大きなものになると戦争に至るまでのその起因は、殆どが言葉からスタートしています。
 言葉は、聖書のヨハネ福音書の冒頭に
 「初めに言葉ありき。言葉は神とともにありき。言葉は神でありき」
とあるように、我々人類にだけ神が用いることをゆるしたものです。にもかかわらず、我々が無意識に……いや、ぞんざいにしてきた罰として、言葉は争いの起因になったのだと私は思います。
 自分の心を相手に伝える最大のコミュニケーション手段である言葉は、その用法を正しくすれば、愛を育み、融和や理解の素晴らしい架け橋となる事は間違いありません。現在の自由社会は、それとは裏腹に、訴訟社会と言われるくらい、とても諍いや争いが多いですね。その根本には、“言葉の乱れがある”と私は解釈しています。もちろん、「つなぎ言葉を普通の会話から無くせ!」とか、「“幕開け”は間違いだ!」などと重箱の隅せせりをする気はありません。しかし、愛情深く、神の意志を伝えるものだという認識を常に根柢において言葉を用いる心構えはとても重要なことだと思います。
 そして、ここに連載している“催眠法”も、その用い方如何で毒にも薬にもなると伝えて参りました。その上、その催眠法の根本を成すのは言葉です。
 催眠とは“快”と、端的に言っているように、相手に対しても、また、催眠誘導が成功したときの自分側の快感にしても、全ての発起点が言葉にあります。また、言葉を慎重に用いる訓練は、“集中力”を養う最短距離にもなります。そのために、しばらくの間、このコラムでも言葉の用い方の訓練をしてゆこうと思います。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/