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今週の喝 第551号(2015.11.9〜2015.11.15) この世は全て催眠だ(293)〜音楽に内在する変性意識導引の条件〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(293
〜音楽に内在する変性意識導引の条件

 絵描きさんや彫刻家には申し訳ないのですが、音楽がこの世の最高芸術と言われる所以は、それが能動、受動の区別なく、耳に飛び込んでくることで、我々の心があらゆる方向に揺さぶられるところにあります。絵や彫刻は、それを意思を持って見ようとしなければ、その感動は伝わってきません。
 芸術本来の目的は、端的に言って「人の心を和ませること!」すなわち、心の有り様を変化させることにあります。ポピュラー音楽は、愛なら愛、意地なら意地、郷愁なら郷愁、思い出なら思い出と、単一の感情を取り上げていますが、音楽の最高峰と言われるSymphony(交響曲)は、人の持つ心の推移を事細かに表現し、ほとんどの曲が、聞き終わった後に興奮状態にあるように作られています。その他、一部のものも安寧の状態にあり、聞き終えた後の満足感は一入(ひとしお)です。
 また、若者が集う“嵐”のコンサートなどロック系の音楽は、そのリズムやメロディーが持つ雰囲気そのものが、直接官能(脳)を刺激し、酒に酔ったのと同じような効果をもたらします。
 そして、ここ40年くらいで大進歩を遂げたカラオケも、周りが聴いている分には“へたくそ!”と思っても、歌っている当人は陶酔状態になっていることが多いのです。
 もう一つ、不思議なのが縁日やお祭り、また運動会、遊園地などへ人はなぜ出かけてゆきたくなるのでしょうか。これらにも全て変性意識状態の条件が関与しています。
 そこで先ず、共通点を探ってゆきましょう。
交響楽団は多いときには100人を超す多人数で演奏します。そして、ロックコンサートのあの大音量、これはPA(Public Address)という人工的に音量を増幅していて隣人との会話は聞き取れないボリュ-ムです。また、カラオケにはエコーがつきもので、これはお風呂場で歌ったのと同じ状態です。そして、縁日や運動会も多くの人間のかけ声や応援の歓声など、そこには、音が複合的に響き合う「場」が存在しています。 
 
★★モーツァルトは、変性意識状態導引の魔術師!★★ 
 音楽には、和声学というハーモニー理論の数学分野と言っても良い確立された学問があり、和音の進行(推移)について、経験則から音の快・不快を法則化したものです。
 ドの上にミ、ソと音を重ねて行くと、とても快い響きがしますね。このドミソの和音が我々人間にとても強烈なインパクトを与えるのは、自然界の法則に由来します。音楽の主和音(ハ長調なら、ド・ミ・ソ)をTonic(トニック)と言いますが、Tonicとは、「力強い」「元気づける」という意味です。
 NHKの科学番組で、モーツァルトの音楽が、不思議と同じ音量なのに遠くにまで聞こえるのは何故かという謎解きをしていました。その答えは、彼の作曲はTonicの和音を曲の始まりや、変化するところにキッチリと使っていて、とてもはっきりしている(明快)ために、より遠くまで聞こえるだけではなく、人の心に印象深く入ってゆくのです。
 そして、その効果を上手く用いたのが、軍隊で使うトランペット=軍隊ラッパです。軍隊ラッパは、ピストンがないのにドソドミソと音程が変わることを利用して進軍や食事など一斉に行動をするための信号に用いました。軍隊の信号ラッパはTonicの音しか鳴りません。それが、軍隊という指揮命令系統を徹底させる組織では、より遠くに良く聞こえ、そして、印象付けるこの楽器が重宝したのです。
 私たちに馴染みのあるのは、日本軍の突撃ラッパ「ドドソソドドド、ミドミドソソド-」は今でも、高校野球の応援団が演奏しています。自分のチームがヒットを打ったときなど「もっとやれ!」という思いをこのメロディーに託し、古来より「出てくる敵は、みなみな殺せー!」と歌詞を付けて歌い(叫び)ました。また、応援団もこの“旋律”でそれこそ相手を“戦慄”(恐れを覚える)させたのです。(ダジャレです!)そして、味方は勇気いっぱい奮い立ちました。
 このように、大自然界の法則でTonicは出来ております。それは、別の言い方をしますと、「倍音の法則」そのものです。倍音というのは、皆さん小学校で学んだスペリオパイプ(縦笛)で、低音を出しているとき、ちょっと強く吹く過ぎると、ピーッと高い音が鳴ってしまい、音楽の成績表に「笛が下手!」と書かれた経験のある方もいますね。
 このように強く吹くと周波数が変わるのです。それも丁度倍々で変わってゆくので倍音(harmonic)と言います。そして、強く吹くと音程が変わるのでオーバートーン(overtone)とも呼ばれます。
 分かり易くするために、120㎝の長さのトランペットがあったとします。緩やかに吹くと“ド”の音が鳴ります。これは音波を計る機会オシロスコープで計ると120㎝の音波形です。それを少し強く吹くと60㎝の音波形になり、これで1オクターブ上の“ド”。そして、もっと強めると今度は、30㎝の波形になりその5度上の“ソ”より強めると15㎝で2オクターブ上の“ド”。以後、波形は半分になる度に、“ミ、ソ”となり、この変化を利用してトランペットが出来たのです。
 そして、モーツァルトは、作曲にこの効果を用い、印象深い明快な曲を後世に残しました。「印象深い」ということは、変性意識状態への条件の一つなのです。
 このように見て行くと、音の世界……とりわけ音楽は、我々人間の潜在意識を単刀直入に印象でもって刺激してくるのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/