M&Uスクール

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今週の喝 第517号(2015.3.16〜2015.3.22) この世は全て催眠だ(259)〜まなぶ(学ぶ)は、まねぶ(真似ぶ)!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(259
〜まなぶ(学ぶ)は、まねぶ(真似ぶ)!

 昔は、生まれたての赤ちゃんは目が見えていないように思われてきましたが、最近の研究では、脳と筋肉が未発達のため、自在に焦点を合わすことは出来ないだけで、しっかり見えている事が判明しました。そして、その焦点距離は自分の目の前20㎝のところにあり、その距離にママが顔を近づけるとクッキリと結像し、本能的に相手の真似をしようとします。ママがベロを出せば赤ちゃんも同じようにし、笑えば笑います。ここで、その効果をもっと大きくするには、赤ちゃんの呼吸を観察して、お母さんがそれに合わせれば良いのです。
 オーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツ博士「ハイイロガン」の雛の研究で、博士の手のひらで卵から孵った雛が、博士を親鳥と思って懐いてきたことから発見したように、生き物は、この世に生を受けた時から、一番初めに接した状況を自分の性質に“刷り込み”をして組み込んでゆきます。これを“インプリンティング”といいます。つまり、真似をすることが学習の始まりで、“まねぶ(真似ぶ)”=“まなぶ(学ぶ)”なのです。
 さて、生まれたての赤ちゃんは、言葉など全く分かりませんが、目の前20㎝の人間が、自分に「好意的か否か」は感覚で判断し、その時の情愛がそのまま赤ちゃんに刷り込まれるのです。そして、この感覚が脳にフリーズ(凍った状態)して記憶され(無意識)、大人になって“何かの衝動”で思い起こすようなことも起こります。その衝動を科学的に分析したのが「催眠法」なのです。
 ですから、相手を催眠誘導するときは、先ずは、相手の呼吸に自分の呼吸を合わせることから始めます。呼吸の深さ、感覚、胸式呼吸か腹式呼吸か等、催眠に誘導する者は、被催眠者の呼吸を体現(真似)します。すると、相手(被催眠者)の心の状態が、手に取るように分かってきます。
 
★★高等な脳は、現実とイメージの境がない!★★ 
 被催眠者(催眠に罹る側)の心の状態が分かると言っても、今どんなことを考えているのかとか、何を欲しがっているとかという具体的なことが分かるのではなく、その人の心がプラス方向であるか、マイナスに偏っているかという大まかなものです。しかし、このプラスかマイナスかという大まかなものが分かれば、その人間が、催眠者(罹ける側)を受け入れる心の状態に有るのか、無いのか、が分かります。人間関係の全てがそうであるように、この「受け入れ体制(acceptance)」が有るか無いか、つまり、心を委ねているのかどうかが催眠誘導にとって最も大切なのです。
 強いて言えば、「催眠に罹(かか)らない人間はいない!」と言って良いでしょう。ただし、被催眠者の心に恐怖感や催眠者に対する警戒心があったり、気が散っていたり、言葉を理解できなかったり(幼児や痴呆症など)している場合は、どんなに誘導テクニックが長けていても催眠状態に導引することは不可能です。また、特殊な例として、“無”の境地を修得した人間(例えば高僧etc.)や、一つのことに完全集中している人も催眠には罹らないでしょう。何故なら、彼らの集中した心こそ、催眠状態と同じ状況であるからです。ですから、催眠状態とは、「心の“完全な集中”が成されている」ことを言うのです。
 以前にも書きましたように、人間は自分の頭脳を発達させた結果、“現実”と“想像(イメージ)”の区別が付きにくくなっています。そして、我々の身体は、外界の状況に反応するように出来ています。しかも、頭脳の発達は未来予測という時間的経過までも想像するようになりました。それは、「将来起こるかもしれない」事象を、「既に体現している」かのように感じる能力です。
 例えばレストランなどで、目の前にあるフォークやナイフが、昨日自分の嫌いな人がそれで食事をしたと想像するだけで、今から食べようとする食事全ての味がまずく感じられ、それよりももっとヒドい状況になると、食事が出来なくなる状態も生まれてきます。それは、過去を想像することで未来の自分の状態を予測し、それが、恰も実際の状態であると感じることで起きるのです。
 逆に、自分が大好きな人が持っていた(例えば)万年筆は、自分の宝物と感じるように、その万年筆にあるキズさえも大切なものに感じられるのです。このような心の状態は、“想像力豊かな人”ほど身体に起こる実反応は顕著です。
 ですから、催眠とは、人間の「想像と現実」のボーダレスな(境界のない)心の法則を利用して、被催眠者を催眠者が思う方向に誘導してゆくMETHOD(手法)なのです。
 件の美人ヴァイオリニストも、練習できていない故に師匠に叱られる姿を想像することで、(まだ行動を起こしていないので叱られていないにも関わらず)マイナス感情が心を支配し、憂鬱な状態を想像の中で繰り返した結果、芸術を志す感性豊かな性質も手伝って、身体の代謝反応がマイナスの状態になり、実際に演奏しようとしても出来ないようになったのです。
 マイナスの代謝反応とは、呼吸が浅い上に荒くなり、筋肉が固くなって自分の意思通りに動かず、目で楽譜を追っても(気が散っている故)知覚反応が追いつかない状態になり、六根(眼耳鼻舌身意)全てのマッチングが乱れて、実際に失敗を体験してしまいます。そして、それがまたループ現象を起こして、未来予測にマイナスの陰を濃く落としてゆき、「また、同じように失敗するのでは……」というPTSD状態に入ってゆくのです。
 大きな括(くく)りで言えば、このようにマイナスの状態に入ってゆくのも、催眠状態といえるのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/