M&Uスクール

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今週の喝 第515号(2015.3.2〜2015.3.8) この世は全て催眠だ(257)〜感情型歓喜vs理性型歓喜〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(257
〜感情型歓喜vs理性型歓喜

 人は甘やかされて、何不自由なく育てられると、我が儘に育つことが多いですね。これは、10歳くらいで逆算が出来る思考が備わるにもかかわらず、それを訓練しなかった所為で幼児の頃と同じ順算思考のままでいるからです。言い換えると、自分を取り巻く環境(空間)は認識できても、これから先、「○○をやれば将来どうなるか?やらなければ、どうなるか?」という時間的推移を想像出来なくなり、その思考が定着すると、大人になっても、その場の雰囲気や、自分勝手な思考で心が揺らぐ「感情型人間」に育ってしまいます。
 そこで、親の教育責任とは、「勉強しなさい!」という高圧的な命令や知識詰め込み型の子供に育てるのではなく、逆算的思考である「理性型人間」に育てることにあります。
 「理性」が芽生えると、人間関係の基本である社会性も、自分の将来を計算する人生設計も、全てが論理の中で整合化され、そこに自信と行動が湧いてきて、何事も自力で実行するエネルギーを生み出します。
 このように書くと、感情型人間はダメ人間で、理性型人間は秀逸だというふうに感じますが、情緒や共感というとても人間らしい感情も必要なので、あくまで感情と理性の“バランス”が大切ということです。お間違いのないように……!
 恋人が出来たり、自分の時間を楽しむときなどは、感情的に“快”を求めるため、どんなに優秀な理性型人間も、空間的思考(感情型)になり、その場を満喫しようとします。しかし、理性は常に理想を目指しますので、そこに多少なりとも「苦」が発生します。人間は、この苦に立ち向かい、それを乗り越えたときに生まれる歓び(快)を体験すると、それは感情型歓喜とは比べられない感覚、それをやり切り乗り越えたという「自負心」が生まれ、理性型歓喜が、心(感情)を満たします。
 このように、理性型(時間型)になるのも、自分の感情を満喫させる潜在意識の作用なのです。
 
★★潜在意識は“癖”のハードディスク!★★
 さて、話しをPTSDに入っている件(くだん)の美人ヴァイオリニストに戻します。人前でヴァイオリンを弾こうとすると、めまい・吐き気・発熱をもよおし、自分の心と相反する状態になるのでしたね。
 彼女は、恋人ができた為に、恋愛の耽美な感情に酔いしれ「空間型人間」になったのですが、根本的に彼女は、ヴァイオリニストとして幼少期より、「練習すれば上達し、多くの人間に認められる」ことを無意識にたたき込まれ、「時間型思考」がしっかりと潜在意識に根付いています。そこで彼女の脳内では、「空間型vs時間型」の葛藤が始まったのです。そして、実際には練習していないため、師匠にその失念を問われ、恥をかくことを時間型脳がイメージしたため、そこに正当な理由を彼女自身の潜在意識が作り出そうとして、体調不安の状態を自ら生み出したのです。しかも、無意識に……。
 人間は、心身ともに自分を快い状態に保とうとする無意識が存在します。これを自己防衛機制といいます。この自己防衛のための機械的制御装置が自然に働いて、演奏できなくても周りの同情を集める状況を無意識に作り出し、自分自身の名誉を保全しようとするのです。そして、この無意識を司る潜在意識は、言わば“癖”としてこの状態を記憶しますので(癖化)、以降は自動的にその状態に脳回路は作動し、いつも同じ状態に持ってゆこうとします。大脳生理学では、このように脳が学習して、一つの状態を作ることを“ミエリン化”と呼びます。ミエリン化すると、通常、脳は発達するのですが、このように間違った目的をインプットしてしまうと思いもよらない方向へ行ってしまいます。
 催眠は、人に“快”を与えることによって、正しい方向にミエリン化を起こさせる一つの手法でもあります。人は、苦から逃れる方法や快に向かう手法を無意識に歓迎し、それを定着させようとする習性がありますので、相手が心地よい状態を作り出すことによって、催眠者の言うことを素直に聞くのです。そして、この快の状態に幾度も導くことによって、よりミエリン化が強化され、催眠誘導される回路が脳内に定着してゆきます。
 つまり、彼女は、デートに夢中になることで“快”を感じた結果、その魅力がミエリン化して「空間型感性」の虜になってしまったのです。ですから、同じくそれまで培ってきたヴァイオリン演奏に“快”を見出せるように誘導すれば、元の状態に戻ることは容易に察しがつきますね。
 そのためには、ボーイフレンドにも協力してもらう必要があります。私は、彼に今まで話してきた彼女の心の推移を伝え、解催(催眠から醒めた状態)したときに、「ヴァイオリンを演奏するあなたが好き」と言ってもらうように説得しました。(もちろん、本心であることが前提です。)好きな彼に言われると、誰でもがその状態に自分を置こうとするのは心の法則です。こうして、催眠誘導するための外堀を埋めて(準備万端整えて)、いよいよ、本格的に彼女を催眠(くつろぎ)の世界へ誘(いざな)ってゆくのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/