M&Uスクール

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今週の喝 第512号(2015.2.9〜2015.2.15) この世は全て催眠だ(254)〜自意識過剰は、他人の意識!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(254
〜自意識過剰は、他人の意識!

 さて、話を美人ヴァイオリニストの“上がり防止策”に戻します。彼女は、とても性質の明るい爽やかな人ですが、やはりそこは人の子……成長と共に美人故に人の目が気になり、そこに、自分の持つ才能と相まって、「自分は常に美しく、優秀であらねばならない」という自意識が芽生えたのです。そして、猛勉強、猛練習の末、優秀な成績で日本有数の音楽大学に入学を果たします。しかし、大学生にもなると、音楽だけではなく人並みに恋もし、女子会などで楽しく過ごすことにも心惹かれます。そんな時は、ヴァイオリンの練習よりも優先して、遊びに出かけることも屡々。
 音楽家というのは、優秀であればあるほど、自分自身のことをシッカリと掌握しています。だから、練習を怠った分、師の前で演奏するのが億劫になります。それでも、シッカリと弾かなければと焦れば焦るほど、弓は震え、指は硬くなり、ビブラートは不規則になります。そして、そんな状況が数回繰り返し起きたとき、師匠の前で「吐き気とめまい」をもよおし、とうとう「熱」まで出して倒れてしまったのです。周りの人間から見ると、原因不明の急病の様に思えたでしょうが、私もフルート・プレーヤーですので、その知らせを聞いたときに、ピンときました。
 彼女の顕在意識では「シッカリと演奏しなくては……!」という決意は揺るぎないのですが、とにかく練習不足である事を、彼女自身が自分を誤魔化すことは出来ません。つまり、意識と実質との狭間で自律神経系が、「演奏したくない」方向へ、彼女の心と身体を導いたのです。簡単に言うと、自意識の高さと練習不足という、相反するギャップの狭間で、彼女の潜在意識は演奏できない状況を作り出し(めまい、吐き気、熱etc.)、世間には正当な理由付けが出来る方向に、自分自身を無意識に導いたのです。
 潜在意識は自分の意識なのに、彼女は「自意識過剰は他人の意識」となり、自分のプライドを示そうとした結果、他人の目を気にしすぎたため、他人への見栄が先行して、「その場を切り抜けることで、心を守った」のです。しかも、無意識に……!
 
★★“短絡的快”から、“遠大な快”へ!★★
 潜在意識は、自己防衛機制(自分を守るための無意識の行動)でもありますので、自分の身の保護、心の保護をするためには自動的に働きます。彼女の場合、練習できていない曲を師匠に見てもらうのに、「恥はかきたくない」という自意識が、無意識に師匠の前で病気という“演奏できない状態”を作り出すことによって、その場から逃るサバイバルを身につけたのです。そして、後に同様の状況が二,三度起こした為に、それが潜在意識(無意識)にその態勢がインプットされ“癖”となったのです。
 以前にも自転車に乗る話をしましたが、無意識にインプットされるとごく自然に同じ反応をします。それが“癖”ですので、癖は意識せずに一定の行動を誘発します。癖の良いところは、無意識故に他のことに傾注できます。例えば、最も身近なくせに「呼吸」がありますが、我々人間はいちいち呼吸を意識しなければ生きてゆけないとなると、他の事は何も出来なくなります。俗に、“自然体”というのはこの無意識化した行動体系が、大自然を司る法則に一致していることを言いますので、自然体である事は執着のない解き放たれた感性を持つことと同じです。
 しかし、今回のように、練習が出来ていない故に演奏しなくて良い状態作りをしてしまい、それを反復練習して癖化してしまった場合は困ります。今度は、本当の演奏会の時にも、シッカリと練習しているのに、人前で演奏しようとすると、めまいや吐き気が起こり、発熱するようになってしまったのです。
 催眠の世界では、今回のように「演奏しようとすると、吐き気・めまいがする」というように「○○すると、△△になる」という暗示を、“予告暗示”といい、人間の動機付けに最も重要な“暗示”なのです。これを、彼女は、身の保護を通り越して、演奏忌避の状態を作るようになってしまったのです。
 切ない出来事ですが、自意識過剰がこのような病的な自己催眠現象を生み出しました。こんな研究が進むにつれ、昔は「登校拒否」と言っていた症状を、今は「不登校」という呼び方に変わりました。それは、意識で「学校へ行きたくない」と言っていると思っていた事柄は、実は「学校へ行けない」状況に心身共になることが分かったからです。
 知らず知らずの内に“自己催眠”に陥っていたのですから、対処治療はその真逆をやれば良いことになります。催眠とは“快”だと以前申しました。彼女の自己催眠は、時間的スパンがとても短い感覚でいた結果、起こったのです。つまり、その場を取り繕えば、恥をかかなくて済む(=快)という短絡的なものです。従って、先ずは“短絡的な快”ではなくて、将来の夢の達成というもっと“遠大な快”に導けば良いのです。つまり“空間的快”(=その場しのぎ)から、“時間的快”(=夢の達成)へスイッチを切り替えれば良いのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/