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今週の喝 第486号(2014.8.11〜2014.8.17) この世は全て催眠だ(228)〜自分を捨て去れ!すると、真実が見える!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(228
〜自分を捨て去れ!すると、真実が見える!

 禅に、“隻手音声(せきしゆおんじよう)”という公案があります。隻手とは、片手のことです。拍手をする時は、両手を使います。人を賛辞するときや、リズムを合わせるときは、この手拍子が最もポピュラーであり、且つ良い音がします。
 そこで、この公案を提示した禅僧・白隠は、ならば、片手(隻手)の音を出してみよ」と、我々凡夫に迫ります。普通に考えれば、両手で音が鳴るのだから、片手では音は出せないと考えるところですが、片手を壁や机や自分の周りにあるあらゆる物質を叩くと、しっかりと音がします。まるで、頓知のようですが、よくよくその音を聞いてみると、叩いた対象物によって全くサウンドが異なります。即ち、片手の音とは、その片手は“自分自身”ということですが、対象物によってサウンドが変わることに気づきます。
 片手とは、“自分”の象徴ですが、自分がいくら頑張ってみても、相手によってサウンドが決定される……誠に不思議ですが、自分とは思い通りにならない、不本意な存在であることに気づくことでしょう。
 自分であって、自分でない!……それこそ人間の本質を表しています。人間は、自分というものをしっかりと表現したいと誰しも考えますが、実は、世間は、相手で決まることに気付け!というのです。
 真に意味深い公案ですね。いくら“我”によって自分を表現しようとしても、それは絶対に不可能なのです。ならば、いっその事、「自分を無くしてしまえ」と、白隠は説きます。
 自分を無くすとは、“我”や“自尊心”の虜になることから「離れよ!」と言うことであり、素直になって外部に当たれということです。
 
★★催眠は、素直体験のシミュレーション!★★ 
 さて、催眠というと、何か詐欺(さぎ)めいたイヤな響きがしますが、それは催眠誘導する側に悪意のある目論見があると悪用され、催眠法全てに「悪」という印象を与えてしまいます。
 禅の公案「隻手音声」は、自分という者は外界によってその本質が定められると、自我の脆(もろ)さ教えてくれました。同様に、催眠法そのものも、それを用いる人間の心によって、善にも悪にも変わるのです。従って、真に重要なことは、全てがそれを用いる人間の精神の在り方にあると言う認識です。
 人間の本質は、時々この紙面でもお伝えしているように「凡人六原則」がベースになっています。その中でも第一項の「楽と得を求める」性質は、我々人間の生命維持には誠に“理に適っている”のです。それは、エネルギーの温存をする……出来るだけ身体を動かさず省エネで生きようとする本能です。人間以外の動物は、たとえ猛獣であっても、自分の腹が満たされている間は、他の動物を襲おうとはしません。しかし、人間は時間感覚や計算脳を発達させたため、“蓄える”ことを覚えました。それでも、出来るだけ自分の身体は動かさずに「楽と得」を求めて“文明”を発達させたのです。
 このように言えば、ちょっとは耳障りも良いのですが、逆の方向から見ると「怠け者」とも言えます。怠け者と言われて、嬉しい感覚を持つ人はいないでしょう。それは、人間は「楽と得」の他に、「名誉心」という人間独特の比較情念も合わせて持っています。しかし、「楽と得」と「名誉心」が争えば、大概は前者が勝利します。しかし、人間は他の生きものの“苦”とは、比較にならないほど、多くの“苦”を受けるようになりました。他の動物は、飢えと気候による“苦”しか感じませんが、人間は、集団的に行動し、その上、時間の覚知と計算が出来るようになったため、そこに比べる心が生まれ、その中より負けてはならじと“名誉心”が生まれ他のです。そして、その名誉を達成する切っ掛けとして「恥」の文化から生まれた、他の動物にはない“苦”を感じるようになり、それを払拭するために鍛錬や努力にをするようになったのです。つまり、「苦」そのものが人間の精神を作り出し、その精神の中から我や自尊心も生まれ、そして、やがて我や自尊心そのものが、実は外界によって制御されている空疎なものであると気付く人間が生まれるのです。
 そんな、人間の無意識の成長とも言える精神昇華のプロセスの根源にあるのが「苦」です。しかし、ただ単に苦しんだから素晴らしい気付きをもたらすのかというとそうではありません。そこに、「人間は一人では生きていけない」という性質から感知した「愛」の萌芽があってこそ、はじめて、人間は他人の痛みと自分のそれが同じである事を覚知し、そこに「おもいやり」の心が生じます。この愛の心をもった人間が、「催眠」の技法を修得したときに、催眠は初めて正しい用い方をされるのです。
 催眠誘導によるトランス状態は、自我や自尊心から一時的であるにせよ“離れる”ことができ、高僧が修行によって体得する「隻手音声」の悟りを、擬似的であれ体感します。つまり、素直な心を持つ切っ掛け作りになるのです。
 素直になれば、天地自然の法則を有りの儘に感じるようになり、自分自身が抱える欲望や欲求の迷い・惑いから抜けだすことも可能です。これが潜在意識の大いなる作用なのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/