潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの？
この世は全て催眠だ（１９６）
〜あっという間の癸巳(みずのとみ)、
新しい歳（甲午(きのえうま)）！〜
行く年、来る年……この時節になると、「一年が早いなあ」と感じられる方も多いと思います。そんな人は、歳老いた証拠であると明言した学者がいます。
19世紀のフランスの哲学者、ポール･ジャネーが提唱した“ジャネーの法則”です。彼によると、
「主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く評価される」
という現象を心理学的に解明したのです。簡単に言えば、
「生涯のある時期に於ける時間の心理的長さは、年齢に反比例する」
というのです。例えば、50歳の人間にとって１年の長さは人生の50分の１程ですが、５歳の人間にとっては、５分の１に相当する。従って、50歳の人間にとっての10年間は５歳の人間にとっての１年間に当たり、５歳の人間の１日が、50歳の人間の10日に当たることになります。
何かこじつけの計算式のようにも感じるのですが、確かに高年齢者の会話の中には、「あっという間に月日が過ぎる」と感じる内容が良く出てきます。
私は、この法則に少々疑問を感じ、その内容を検証してみました。なぜなら、私自身、１年がそんなに早く過ぎると感じた事があまりないからです。
そこで、2013年をじっくりと振り返って見れば、それぞれの月に、論文執筆や作曲、またはオーケストラの編曲、そして、多くの皆さんに成功哲学について、また人間の真の在り方とは何かを、どのように表現すれば正確な理解が得られるだろうかetc.と、思考を巡らせてきました。そして、自己満足かも知れませんが、それぞれの回答を（自分なりではありますが）得られたと感じた結果、ジャネーの法則があまり顕著に働かなかったのではないかと思います。
★★１年を充実の歳にしよう★★
そこで、ジャネーの法則が起こる理由(わけ)は、歳を取る毎に人間はルーチン化、システム化して、“思考停止”と良く似た状態になるからだと思います。私自身、もって生まれたおかしな性質から、昨日と同じ今日、今日と同じ明日を歩むことに何かしら抵抗があります。
オーケストラ在籍中も、４日間同じプログラムといった場合も、毎日その楽曲の新たなる箇所を発見し、そこに入魂して満足することを繰り返していたため、例えばベートヴェンの「運命」のようにポピュラーなシンフォニーですら、新鮮さを失ったことがありません。こんな私の性質ですから、毎日心地よい緊張の連続で、何事にも“慣れた”ことがありません。
これは、我が師匠の薫陶のお陰だと思います。我が師・故宇宿允人先生は、
「100回“運命”を演奏すれば、100回の新たなる発見がある」
と言われ、
「その楽曲に慣れるのは、その楽曲に対しての思い入れが少ないからだ。その曲を作った作曲家、我々よりはるかに才能豊かな彼らに対して、畏敬の念が無いからそうなるのだ」
といつも団員を叱咤激励しておられました。私が尊敬する師は、それを常に実践し、我々が少しでも馴れ合いの演奏をしようものなら、
「昨日と今日の天気が違うように、人の感性も常に環境や周りの人間によって変わるのだ」
と檄を飛ばし、
「心がダレるのは、その楽曲の持つエネルギーを感じる能力がないからで、果敢にその内在する魅力（ポテンシャル･エネルギー）を掘り起こすことが、我々演奏家の責務なのだ」
と、いつもオーケストラのメンバーの心を引き締めて掛かられました。
この素晴らしい教育の甲斐あって、私は今も、どんなに親しい人達に対する講義や講演、またコンサートでも、常にテンション（緊張感）を維持できています。すると、コンサート終了後、自分の反省のために、その時を振り返ると、しっかりと“充実感”を感じます。そして、良い演奏が出来た時は、その充実感の上に“満足感”が加わり、大いなる“達成感”に心が充たされます。
上記の体験から、私なりの結論ですが、「ジャネーの法則が働くのは、ルーチン化やシステム化された中で、行動が頭脳や心を通さず、潜在意識にインプットされたパターンで動いた場合、心理的に感じる時間の速度が増す」ものと思います。
人は、「楽と得」を求める生きものです。従って「苦」を避けるように潜在意識にインプットされています。「苦」の根源は、物事を苦しいと考える“思考”にありますから、頭脳を用いること自体が「苦痛」と人は感じるのです。
よって、“慣れる”ことによって頭脳を用いずに行動することで、単純作業と感じるようになり、その結果、ジャネーの法則通りの時間観念に入って行くのです。これも一種の催眠現象なのです。
この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/
