潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?
この世は全て催眠だ(191)
〜悪徳商法の手口〜
プレゼンテーションとは、企画会議、セールスなどでその主旨を説明することを言います。それはつまり「前提条件」のことです。“この様になる”ということを想定し、その為に何をするかが「前提条件」です。たとえば、セールスマンがそのセールスのクロージング(商談の締めくくり)に、この技術で締めくくるのが常套です。
客がまだ買うと言っていないけれど、機が熟したとみたら、
「いつお届けいたしましょうか」
と、買うことはもう決まっているんだという“前提”で話を進めるのです。
「お届けするまで、リースをご利用頂くという方法も御座いますが……」
「グレーがよろしいですか、それともブラックにいたしましょうか」
人間は、このように前提条件を示されると、だいたい、そのペースに巻き込まれてしまうと、城西大学の藤木直義教授の実験で証明されています。
しかし、勢いに任せてこの「前提」で強引にクロージングをすると、ちょっと古い話ですが、豊田商事の事例を見るまでもなく、あとで必ずトラブルを残すことになります。これは、お客が本心で納得しておらず、強引な説得の効力が、我に返ったときに気変わりを起こすからです。
悪徳商法が催眠商法と言われるのは、十分な納得なしに強引に契約を終えようとし、プレゼンテーション(前提)が完成していないにもかかわらず、契約させてしまうからです。
従って、相手の同意を獲得するための「前提条件の提示」と、この悪徳商法の手口はハッキリと区別されなければなりません。
悪徳商法は、契約を成り立たせるために、言葉と自分の位置関係(シチュエーション)を巧みに利用し、腕力とも言うべき手法で、相手の意向を強引にねじ伏せるところがあるのです。
★効果的なプレゼンテーション★
一つの例を取ると、相手の家に上がり込んで8時間以上も粘り、
「そんなことじゃ、いつまでたっても皆といっしょだろ。一歩前に出なくっちゃ」
などと、優越感をくすぐったり、
「出逢いを大切にしたいね。同じ赤い血が流れているもの同士、我々は協力して美しい関係になりましょう」
「あなたも、こうすれば年収3千万!」
などと煽り、
「いま、お決めにならないとチャンスを逃してしまいますよ」
「今やらないで、いつやるのですか。あなたの人生はこれまでもこんなだったんでしょ」
と、ギリギリと心理的に追い詰めて、正常な判断が働かなくなったところに、決めの一言!
「やりましょう、おやりなさい!」
と、命令口調でカサに掛かってきます。
こんな強引なやり方が、ある種の人には効果的だと言うから恐ろしいですね。こう言った人達は、自分の意志決定を他人に任せる性格が嵩じて、出逢ったばかりの他人にも任せてしまうようになった人達です。
こうなると、「詐欺的要素」が多分にあります。催眠が悪徳商法の手法のように言われるのは、このように強引に相手の心理を突いて、こちらの意志通り動かすからです。
私が、いまこの紙面「この世はすべて催眠だ!」で、皆さんにお伝えしているのは、「相手の意志を尊重し、その人の判断や心の歪みを修正しよう」という意図で書き進めていますので、「前提の提示法」も、あくまでも結果は相手の人に選んでもらうことを忘れてはなりません。
その目的は、相手を欺して価値のないものを売りつけたり、いかがわしい(カルトなど)組織の勧誘にあるのではありません。相手が自分のためになる選択をする、その切っ掛けやチャンスを作ることによって、相互のメリットを見つけていくテクニックなのです。
さて、具体的なエリクソン催眠による“プレゼンテーション”の事例を紹介しましょう。
母が息子のケンイチに言います。
「ケンちゃん、自転車を片付けなさい」
「今勉強してるんだから後でね」
と、その気も無いのに誤魔化してしまいます。または、
「いつも僕にばかり言うね。今日はユウジにさせてよ」
と、ふてくされたりします。
そこで、母が次のように言ったとしたら、どう答えるでしょうか。
「ケンちゃん、自転車を片付けるとき、ちゃんとガレージの戸を閉めておいてね」
自転車を片付けることが、既に争う余地のない規定事項になっていますね。
「片付けなさいと言ったんだから、片付けなさい」
などと追い詰めて気まずい関係を作らないのです。
また、
「この世に神様はいる」
と言えば、神様が“いる”か“いない”かを争うことになります。そこで、
「あなたは、この世に神様がいることを実感する?」
と問えば、争点は神の“存在”ではなく、人間の感覚である「実感した」か「しない」かになり、神の存在は暗黙の前提条件となるのです。
この原理を実社会の人間関係やセールスなどに応用すれば、不思議な効果が表れてくるのです。
この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/