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今週の喝 第363号(2012.4.2〜2012.4.8) この世は全て催眠だ(105)〜人間は、本当に“言葉”を大切にしているか?〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(105
〜人間は、本当に“言葉”を大切にしているか?

 古来より、先人達の体験経験から、多くの故事成語・格言・ことわざが作られました。それらをしっかりと心に留め実践すれば、私たちの生活や人間関係は円滑にゆき、真の幸福に近付くことが出来る素晴らしい智慧の宝庫です。
 しかし、ちょっと見方を変えて、何故これら故事格言が作られたのかと考えてみると、法律と同じように、「それらを守らない人がいる」証でもあります。先週お伝えしましたフランシス・ベーコンの素晴らしい格言「読むことは人を豊かにし、話すことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする」という金言も、裏から見れば、当時から人間は「読む・話す・書く」といった“言葉”を、いい加減に用い大切にしなかったと解釈できます。
 同様に、<室内飲食禁止>というような張り紙があると、普通、「ここで飲み食いしてはダメなんだなあ」と感じるでしょうが、私は少々ひねくれ思考を持っていますので、「ここで良く飲み食いする人間がいて、そして、ばれたんだ」と考えます。張り紙などをしても、一向に改善されないのは、人間には自分だけは大丈夫であろうという「僥倖心理(ぎようこうしんり)」が働くからで、今回の地震の被害者も、やはり自分だけは何か奇跡が起きて助かる……と、思ったのです。そして、実際に津波を見てから逃げたけれども、不孝にも間に合わなかった人が大勢いました。これは、心理学的には「正常性バイアス」といいます。つまり、多くの人は「人ごと」として、あらゆる忠告や禁止令、法律や規則・刑罰、故事格言やことわざを心で処理してしまうのです。
 そこで私は、「人間とはどういう感覚で日常を生きているのか」を研究する立場から、「ばれずに飲食する方法はないものか」と試行錯誤しました。

=人は人の目を気にする!=
 このように言うと、「梅谷は悪い奴だ」と思われるかも知れませんが、泥棒の手口が分からなければ警察は取り締まることが出来ないのと同じように、その僥倖心理や手口をしっかりと掌握できていなければ改善することは出来ません。
 ある大手企業の休憩所にコーヒーサーバーが設置され、その横に「コーヒーを飲まれた方は、一杯100円をこの箱に入れて下さい」と書いありました。当初、回収率60%程度でした。この数字が多いか少ないかは皆さまの判断でしょうが、大手企業は学歴優秀な人が集まることを考慮すると、私は少々がっかりします。まさか、企業内で監視カメラを設置し、それを取り締まるとするならば、労使双方の信頼関係が崩れてしまいます。しかし、この60%という数字は、日が経つにつれて低下して行き、終いには20数%にまで落ち込んだのです。
 そこで、本当に見分けが付かない隠しカメラで観察すると、一人で飲みに来た人は大半が支払わず、また、同僚と一緒にコーヒータイムを楽しんでいた人は、当初料金を支払っていましたが、やがてその友人達との仲が親密になるに従って、今度は集団?で只飲みをはじめる始末です。
 たかが、コーヒー一杯なので大企業側もケチなことを言わず無料で支給すれば良いと考える向きもおられるでしょうが、実は、これは企業内モラルを計る実験だったのです。
 結果は、「人が見ていなかったり、仲良くなる(悪く言えば徒党組む)と、悪いことを“悪気なし”にしてしまう」のです。別の例ではビートたけしさんのギャグ「赤信号、みんなで渡れば恐くない」となるのが僥倖心理です。悪気がなく悪いことを平然とするなど「私はやらない」と思っているあなたも、実は“無意識に”やってしまっていることがあるかも知れません。嗚呼恐ろしや!
 そこで、社内モラル向上のために、「どうすれば、この只飲みを阻止できるか。公共のモラルを感じさせ守らせる手立てはないものか」と、色々なアイデアを試みましたが、どんな警告を発しても、啓示しても全く効果が上がりません。その時、一人の若い女子社員に閃きがありました。「自分は、休日になると奇麗な洋服で街に出たい。それは、人に見られたいからだ」。華やかで素晴らしい自分は人に見てもらいたいけれど、格好悪い自分は隠蔽したいとは人間の常套心理です。
 そこで、このコーヒーサーバーの目の高さくらいの位置で視線が合うように、外国人映画俳優の鋭い目の部分だけを実物大に切り抜いて貼ったのです。すると、ほとんどの人がお金を支払うようになったと言います。
 人間は、このように「人に見られる」ことによって、自分の在り方を決める「人の目を気にする」性質があるのです。まさに、「目は口ほどにモノを言う」という格言通りですね。従って、人と接するとき、その行動に心が伴っていないと、目の表情が冷たく“恐い目”になり、相手に無意識に威圧を与えてしまうのです。逆に、心と行動が一致していると優しい目、輝く目になることが、実験で明らかになりました。威圧の目の写真だけで、無意識にコーヒー料金を支払ったこの実験は、人間心理の奥の奥を垣間見たようです。
 そう言えば、飛行機に乗るとき、一部の方でしょうが、キャビン・アテンダントが乗客の出迎えで「口は笑っているの目がつり上がっている(もしくは無表情)」というとても不思議な表情に出会いました。きっと、その時の彼女は心と行動が一致していない心理状態だったのでしょうね。

この続きは、また来週のお楽しみ……('-^*)/