M&Uスクール

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今週の喝 第292号(2010.11.22〜2010.11.28) この世は全て催眠だ(34)〜ダブルバインドの恐ろしさ!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(34
〜ダブルバインドの恐ろしさ!〜

 グレゴリー・ベイートソンは、近代催眠の創始者であるエリクソンの論理を学んでいるうちに、人間が精神分裂病になるのは、彼が自分の置かれた現状から逃れるためのサバイバルの手段ではないかと考えるようになりました。
 例えば、子供がプラモデルが欲しくなり、お母さんの財布からお金をくすねたとします。その現場をカーテンの蔭から見ていた母は、「あれ、この財布に入れておいた小銭が少なくなっているわ」と、まず、現状を子供の前で言います。もちろん、子供はビクッとします。そこへすかさず「あなた知らない?」と、追い打ちを掛けます。その時子供は、“見られたな”と思いますが、素直に『ボクがくすねた』と言ったら、叱られます。そこで、黙り込みますが、「どうして黙っているの」と、また畳み掛けてきます。
 言っても叱られ、言わなくても叱られる状態……これがダブルバインドです。こんな時、子供のすることは……?
 「ワーァ!」と大声で泣き出しますね。誰にも教えられていないのに、このダブルバインドから脱出するために、手が付けられないような態度に出ます。昔から「泣く子と地頭には勝てぬ」という諺があるように、母は思いもよらない態度に面食らい、「これからしてはいけませんよ」と終息宣言をしてしまいます。
 この相手の意表を突く「泣く」という行為と同じレベルで、精神分裂病患者は、自分を「正常な精神活動を出来ない」のではなくて「正常な精神活動をしない」ようになる。とベイートソンは結論づけたのです。
 泣く子が“意識して”泣かないのと同様に、分裂病の患者も無意識レベルで、自分の心が処理できない拘束から逃げ出す手段として、自分を相手が処理できない状態(分裂症)へともっていくというのです。

=無意識に忍び寄る「悪魔」の正体=
 ベイートソンの研究結果は、「本当?」と思わせる結論に驚きますね。しかし、彼の理論からは、分裂病患者に対する対処法が明らかになります。それは、原因がダブルバインドを受けているという認知、または、彼自身の心の許容範囲の拡張をやることによって、心に因果律(原因と結果の法則)思考が戻ってきて、しっかりと道理・道筋が分かり、それらの矛盾や許容のオーバーフローを解消できるのです。その結果、自分の心がその原因を理解し、受け入れ、対処行動が理解できれば、精神はやがて修復されてゆきます。
 このように、精神的な病であれ、ダブルバインド状態であれ、何事もそのプロセスがハッキリすれば、解決法が見つかるのですが、人間はやっかいにも、その行動のほとんどが“無意識”の下にありますので、為す術無しと思ってしまうのです。
 先回話した鬼上司も、無意識に第一次から第三次の禁止令を部下に入れてしまい、「モラル・ハラスメント」とは気付かずに、自分に隷属させた満足感に浸っているのです。つまり、上司に「悪気が無い」から処置のしようがありません。よく、人をかばう時に「この人は悪気があってのことではないので……」と言いますが、「悪気がない」ことが最も悪い状態なのです。
 人間は欲が先に立つと、“悪知恵”が自然(無意識=悪気無く)に働きます。ベイートソン博士の提唱したダブルバインド状態も、マルチ商法に代表される催眠商法も、欲望から生まれた感情エネルギーが辿り着く自然な非人間的行為です。
 ダブルバインド理論を簡単に分析説明すると、

 (1)人間関係において、相手にマイナス感情が働き、それがくり返されると
 (2)最初に否定的な命令(メッセージ)が出される(第一次禁止令)
 (3)次に、それとは矛盾する第二の否定的な命令(メタメッセージ)が、異なる基準をもって出される(第二次禁止令)
 (4)そして、第三の命令は、その矛盾する事態から逃げ出してはならないという命令(メッセージ)である(第三次禁止令)であり
 (5)最後に相手は、このような矛盾した形や世界が当たり前に自分に存在していると認識するようになる

このような思考状態が潜在意識にインプットされると、それがその人間の行動規範の全てを規定してしまい、身動きのとれない絶望の状態に自分を追い込んでしまうのです。
 このようなダブルバインド状態に陥った人間は、自発性(積極性)を亡くし、陰鬱で、全ての事象に疑心暗鬼となり、家庭も社会もそのような世界であると認識し、言葉に表されていない意味ばかりを気にするか、言葉通りの解釈しかできないといった両極端な思考になり、コミュニケーションが出来ない人間になってゆきます。

この続きは、また来週……('-^*)/