M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第291号(2010.11.15〜2010.11.21) この世は全て催眠だ(33)〜この世は矛盾の山!二進(につち)も三進(さつち)もいかない時は?〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(33
〜この世は矛盾の山!二進(につち)も三進(さつち)もいかない時は?〜

 ミルトン・ハイランド・エリクソン……不虞であるが故に、人間情動(人が行動するための無意識分野の起点)の法則を見いだした人で、催眠の法則を体系化したことにより、彼は精神療法の分野に多大なる貢献を果たしました。晩年は、催眠療法の普及・実践のために、世界各国を行脚し、日本にも来る予定になっていたのですが、三度目のポリオ発病のため、ついに叶いませんでした。
 彼は、多くの弟子や共同研究者を生み出し、心理学の分野でも大きな影響力を発揮しました。その中に、グレゴリー・ベイートソン博士がいます。彼の提唱した、ダブルバインド理論は、人間が“万事休す”と思うような、行き先のない絶望感から抜け出し、しっかりとした自分を取り戻し、自由へと飛躍するための新たな戦略を立てるための心の科学です。
 ダブルバインド(二重拘束)とは例えば、会社での上下関係に於いて、上司から
 「こういうことは事前に相談しろ!」
と、凄い剣幕で怒鳴られたとき、次の案件からは、それまで自己裁量で動いていたことも一言言っておいた方が無難だと思って、今度は判断を仰ぎます。すると
 「そんな話しまで一々俺にもってくるな。そんな事もおまえは自分で判断できないのか!」
と言われ、何をやっても叱られてしまうため、混乱してしまう状態のことを言います。一般に良くある話ですね。
 そして、この理不尽に心が乱され、言葉的反抗や嫌な顔をしたら最後
 「おまえは、俺に逆らうのか」
ときます。嗚呼!人間はどうすれば良いのでしょう?

=現代社会の悪魔「モラル・ハラスメント」=
 このような二重拘束を受けることを「モラル・ハラスメント」と言います。この上司は、心情的にこの部下のことが気に入らず、彼のやること為すことが目障りなのです。このような状況の時、無意識にダブルバインドの状態にもってゆき、相手の為す術を奪い身動きの出来ないようにして、自分を優越にもって行くのです。
 こんな状態が毎日続くと、席に座っただけで、まだその上司が出社していないにもかかわらず、身体の全神経がピリピリと右隣の上司の席を警戒するようになり、筋肉が緊張し、呼吸が乱れ、挙げ句の果てには心身症に罹ってしまいます。嫁と姑の関係でもこのようなダブルバインド状態をよく見かけます。
 ベイートソンは、エリクソンの思考法(全てを逆方向から観察して、そのエッセンスを見つける)を用いて、このダブルバインドの状態を研究した結果、この状態を作り出す人間は、その科学的論拠を知る知らないに関わらず、相手を隷属化させようとするために用いる「人を支配するコミュニケーション手段である」と結論を出します。相手を雁字搦(がんじがら)めの状態に追いやり、自分の思い通りに動かす方法なのです。
 まず「指示に従わないことを禁ずる命令」を発します。「こういうことは、事前に相談しろ!(でなければ、おまえを罰する)」と言います。これを“第一次禁止令”と呼びます。次に「異議申し立てを禁ずる命令」が発せられます。「こんな事もおまえは判断できないのか」と意志を遮ります。これが“第二次禁止令”です。
 ダブルバインドに遭うと、自分の感情は押し殺したまま、一方的に支配者の感情や言い訳を受け入れざるを得ない操り人形になってしまいます。このような状態から抜け出す方法は、たった一つしかありません。それは、その支配者から抜け出すこと逃げることなのですが、その支配者は新たなる手を打ってきます。それは、ある時次のように“耳打ち”してきたのです。
 「おまえのことを行動力があるという部長がいたので、とんでもない、あいつは言われた通りに行動するしか脳のない奴だと言っておいたからな」
という、嫌みです。これはつまり、おまえは俺の手の内なんだから、逆らわず言うことを素直に聞けと「逃げることを禁ずる」状態を作り出します。これが“第三次禁止令”です。これは完全に催眠状態です。
 さて、このような閉塞状態に穴を開けるための手段を、ベイートソン博士は「ダブルバインド理論」のなかで紹介しています。その切っ掛けは、一人の精神分裂病患者の行動を研究分析していて発見しました。エリクソン式思考法(逆説思考)によって、「患者は正常な精神活動が出来ないのではなく『したくない』のだ」ということの発見でした。
 一体、これはどう解釈すればよいのでしょうか……○×△?!

この続きは、また来週……('-^*)/