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今週の喝 第288号(2010.10.25〜2010.10.31) この世は全て催眠だ(30)〜ミルトン・ハイランド・エリクソン登場……それ誰?〜

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潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(30
〜ミルトン・ハイランド・エリクソン登場……それ誰?〜

 催眠……このいかがわしい響きのする現象に、科学的メスを入れ、そして、それを心理療法や自然治癒力の向上に大きな功績を残した人物が20世紀の始まりと共に、この世に現れます。
 18世紀に「動物磁気説」を唱えたメスメルに始まり、イギリス人医師ブレイドによって「催眠」と名付けられ、多くの人がその科学的究明に腐心してきたにもかかわらず、20世紀半ばまでは、「インチキ」「まやかし」の誹りを受け続けました。そして、それに関与する人間は「公序良俗に反する者」「人心を惑わす者」と烙印を押されてきました。メスメル以降約200年間、催眠は苦難の歴史を歩んできたのです。
 そして、1955年イギリス医学会が、医療に於ける催眠の効果を認定し、精神治療の臨床場面で催眠を使うことの出来る医師を養成することに言及します。また、1958年にはアメリカ医学界も同様に催眠の有効性を認め、催眠療法をおこなう者に対する資格制度の導入も図られました。
 こうして、催眠や催眠療法が公的に認められたことは、大きな進歩です。しかし、日本に於いては、まだまだ認識が不足しており、誤解や偏見が重く蔓延(はびこ)っています。
 ミルトン・ハイランド・エリクソン
1901年生まれの彼は、幼少期に重度のポリオ(小児麻痺)に冒されます。彼のこの不幸が、彼自身の精神性を開花させ、自力で病魔克服をしてゆきます。そして18歳の時、ウィスコンシン大学の学生の時、心理学者クラーク・ハルの授業を受ける機会に恵まれ、今まで自分が自分自身に対して行ってきた療法の正しさを、大著「催眠と被暗示性」などから、見いだし、以後60年間の長きにわたって催眠研究に励み、催眠のイメージを近代的色彩に塗り替えました。彼は、臨床医としてカウンセリングの手法では完治しなかった重篤(じゆうとく)の患者を短期間で改善に導き「ミスター催眠」と全米で愛唱されるほどの実績を築きました。

=必要は発明の母!=
 エリクソンは、幼少期に究めて重篤な身体障害に悩まされました。その中には、1.ポリオ 2.色覚異常 3.失音楽症があります。失音楽症とは、全く音楽が理解できないという私にとって真に恐ろしい病気です。特に、ポリオによって17歳まで歩くことが出来ず、最終的に眼を除く全身麻痺にまで陥りました。
 彼は、眼があれば“観察”できると、退屈しのぎに家族や赤ん坊を眺めていたときに多くの発見をします。赤ん坊が自分の力で歩き出す過程を観る内に、「同じようにすれば、私も歩けるのではないか」と感じるようになり、自らリハビリテーションを考案し、実際に歩けるようになりました。このような深い洞察力を得たのも、まさに「必要は発明の母」の格言通り、以後の催眠研究に役立っています。
 私見ですが、人の不幸は、その人間にとって必要である故にやって来るのではないかと、ふと考えることがあります。ヘレン・ケラー然り、ベートーヴェン然り、その道に必要であるべきところに障害がでたにもかかわらず、そのハンディキャップを乗り切り偉業を成し遂げたところに、生命力・意志力の偉大さを実感します。
 かく言う私も、音楽に携わる人間であるにもかかわらず、右耳を突発性難聴で完全失聴してしまいました。今から8年前のことです。突然耳鳴りが大きくなり、やがて、一つの音が二重の和音に聞こえて来るのです。そこで、H医大の耳鼻咽喉科に通い、お決まりのステロイド治療を受けましたが、その甲斐無く、ある日突然、全く聞こえなくなりました。にもかかわらず、“ビーン”という耳鳴りだけはこだまして聞こえてきます。その時、恐る恐るフルートを取り出し、吹いて愕然としたことを今でもハッキリと憶えています。
 人間の耳は片方だと、どれだけ聞きとりにくいことか!しかし、私は生来のプラス思考から、自分の考え方を「それだけ耳は重要な役割をしていたのだ!」と考えを改め、左耳を大切にするように心掛けました。すると、不思議や不思議、3ヶ月ほど経つと、オーケストラの指揮や、コンチェルトの舞台でしっかりとオケの音が聞き分けられるように回復したのです。
 そうです。失聴したにもかかわらず、脳が補正して、擬似ステレオのように聞こえるようになりました。この現象によって、私の考え方や感じ方は大きく変化しました。(今までは要求型だったのが、感謝型に変わった)そして、それが逆に色々な想像力をかき立ててくれることを今は実感しています。そして、私のことを「ハーフ・ベートーヴェン」とアダ名した人もいます。

この続きは、また来週……('-^*)/