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今週の喝 第287号(2010.10.18〜2010.10.24) この世は全て催眠だ(29)〜「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」こそ催眠なのだ〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(29
〜「赤信号、みんなで渡れば怖くない!」こそ催眠なのだ〜

 皆さん、シュルツ博士自律訓練法はマスターできましたか。健康な内に、しっかりと訓練しておくことこそ「備えあれば憂いなし」のことわざ通り、健康をあなたのものにする事が出来ます。しかし、人間は「自分だけは、大事故に会ったり、大病はしない特別な存在である」と、なぜか信じています。これを“僥倖(ぎようこう)心理”といいます。
 その昔、皇帝の池から錦鯉がよく盗まれるので、「見つけたものは死罪」と立て札を立てましたが、一向に犯罪が減りません。そこにたまたまドジな人間が、池の鯉を盗もうとしているところを見つかり捕らえられました。役人は「この立て札を読まなかったのか」と問いただしたところ、「自分のことではないと思った」と言います。このように、人間は皆、自分だけは特別だと思う心があり、それが僥倖心理です。
 また、近年では、韓国大邱(テグ)で起きた地下鉄火災が挙げられます。車内で、火災報知器が鳴り、煙が充満してきても、「これは報知器の誤動作だろう。これくらいの煙は誰かが何とかするだろう」と高を括り、ほとんどの人間が逃げずに、携帯Mailや新聞を読んでいたと言います。その結果、200人近い人が死亡し、150人が重軽傷を負いました。これも、人間の僥倖心理から出たもので、みんながやっているから良いだろうという、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的発想が事故を拡大しました。
 このような心理は、人間は“多人数に同調”する性質を持っており、一種の集団催眠状態になることから生まれます。これは、あくまで偏見(=バイアス)ですので、防災科学の分野では、「多数派同調バイアス」と呼ばれ、そして、自分は常に安全であるという何の確証もない信念を「正常性バイアス」といいます。 

=被暗示性の高まりが、催眠状態=
 人間は「多くの者がやっている」というだけで、善悪の判断基準が無くなり、氣を抜いてしまいます。また、今まで安全に暮らせたということで、「これからも安全だ」と信じてしまうのです。今まで一度も大きな事故を起こしたことのない新幹線は、「安全」の代名詞になっていますが、それをキープするために、JRはもの凄い努力をしているのです。しかし、一般の人間は、表面だけをみて信じてしまいます。それも、多数の者が同じ行動をすると、それだけで暗示効果が発揮され、そこに「これからも私は正常に生活を送ることが出来る」と盲目的に信じる「正常性」が、これまた、暗示効果を深めてゆくのです。
 現代は科学の時代です。
科学とは、このような事象全てに、原因と法則があることを知り、その因果律の上に結果が存在している道筋を証明することです。
 自律訓練法は、人間の被暗示性を「心と身体の関係」に応用し、自律神経を正常に保つための自己コントロール法なのです。そして、この訓練は、自分達人間に起こるべき自律神経の乱れから来る病気に対して、いつでもそれを正常に戻すための方法です。さあ、今から「多数派同調バイアス」や「正常性バイアス」といった、人間が持つ催眠現象から目覚めて、「転ばぬ先の杖」をしっかりと自分の中に確立し、毎日、自律訓練法を実践して行きましょう。

 さて、シュルツ博士がこの自律訓練法を発表したのと時を同じくして、アメリカの心理学者クラーク・ハルが1933年大著「催眠と被暗示性」という催眠を科学的に分析した素晴らしい文献を発表します。
 被暗示性というのは、元もと人間誰もが持っている暗示に対する感受性(感度・暗示されやすい性質)のことです。ハルは「催眠は、威光暗示に対する被暗示性が非常に高くなった状態であり、決して覚醒状態と質的に異なった状態ではない」と説きました。
 催眠状態は、覚醒状態に比べたら格段に被暗示性が亢進(こうしん)します。しかし、これは別に異質な心理状態になったわけではなく、感性が豊かに鋭くなった状態なのです。一つの自分の世界に打ち込む芸術家は、常に催眠状態であると言っても良いでしょう。同じように、スポーツマンの集中力も催眠状態と言えます。
 ハルは、このような状態(集中)を多数分析した結果、新行動主義心理学を確立します。難しい説明は抜きにしますが、彼は、先ず仮説を立て、実験によって検証をする仮説演繹(えんえき)法を用いてその人間の行動や学習過程を数式で表すことを考案しました。そんな彼の教え子の中から、天才的催眠療法家であり現在の科学的催眠の父とも言われるミルトン・エリクソンが現れます。

この続きは、また来週……('-^*)/