M&Uスクール

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今週の喝 第279号(2010.8.23〜2010.8.29) この世は全て催眠だ(21)〜自律訓練法は、アガリの悪魔を退治する!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(21
〜自律訓練法は、アガリの悪魔を退治する!〜

 精神医学者ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツが開発した「自律訓練法」は、精神的ストレスが引き起こす、胃腸障害など、いわゆる心身症に大きな効果を発揮することが徐々に認められ、現在でもその研究機関や学校が世界中にあります。
 自律訓練法は、後年の研究で、精神的問題の多くに応用出来ることが分かってきました。例えば、スポーツ選手や音楽家が、本番でのアガリ防止に用いていて、その効果は実践した人が口を揃えて、「実力発揮には欠かせない」と言います。私も音楽で生業を立てている身ですので、どんなに楽器の練習を重ねても、アガってしまったが最後、理性的思考は全く影をひそめ、感情的、それもマイナス思考が大きく頭をもたげます。人は、自分の思った通りの行動を為すという性質を持っていますので、確実にミスを冒してしまうのです。
 つまり、神経が高ぶると、理性的に物事を考えようとしても、雑念が次から次へと邪魔をしてきます。その結果、自分が本来やろうと思っていることが出来なかったり、あるいはやるべきでないことをしてしまったりと、緊張させるべきでない神経まで緊張させ、大失敗を招いてしまうのです。
 私の体験から言うと、体中の筋肉が硬直し、頭は真っ白になり、自分が今何をしようとしているのかさえ分からなくなってしまいます。アガリという悪魔の撃退は、人前でプレーする人間にとって必須項目なのです。これに自律訓練法は多大な効果を発揮します。つまり、自律訓練法とは、催眠をかけられたときと同じ状態になるように合理的に組み立てられた生理学的訓練法なのです。

=「健康・経営・能力開発」成功の秘訣は、素直な心=
 シュルツが活躍していた時代は、まだまだ催眠が医学的にも生理学的にもあまり解明されていなかったので、ただ現象だけを頼りに、そのエッセンスを解明していったのです。彼は熱心に禅やヨーガも研究し、誰でも簡単に自分の感情を抑え、理性的思考を優先させることのできるメソッドを開発したのです。

 シュルツが、このように自律訓練法を編み出しつつあるとき、アメリカ人で精神医学・臨床心理学者であるアルバート・エリスは、理性が感情に打ち勝つための方法として「論理療法」を考案し、脚光を浴びます。エリスは、始めの頃の10年間は、フロイト流の精神分析家として精神医療に携わっていましたが、だんだん幻滅を感じだし、精神分析とはまるで対照的な論理療法を(1953年頃)提唱します。
 彼の提唱する合理的(理性的)信念とは 1、論理性のある信念。2、事実に基づいた信念。3、人を幸福にする信念。を挙げ、恐怖とか罪障感、とらわれとか萎縮、優柔不断とか頑固など、我々の日常で見るさまざまな問題を治すには、これらの行動の背景にある非合理的(非理性的)信念を発見して、これを修正することと帰結します。
 非合理的信念は、その人間のそれまでの人生で後天的に洗脳された結果であるから、それを治すには洗脳されたものを逆洗脳することであると思いついたのです。そして、この非合理的信念の多くは無意識(潜在意識)に隠れているので、先ずはこれを暴き出すことが必要と考え、「どういう根拠でそう思うのか」「あなたの考えが正しいと言うことを立証しなさい」など、質問の形を取った反論を、精神的病に冒されている患者に投げつけたというのですから、荒っぽい話ですね。
 エリスのやり方はこれだけにおさまらず、色々な行動療法を編み出しています。今から考えると爆笑するようなものもありますので、少し紹介しましょう。
 通院してきた患者に対して宿題を出して、次の面会時にもしその宿題をしてこなかったら、懲罰を課すというのです。その宿題内容がなかなか凄い。例えば、「女性をデートに誘って、10回振られてくる」とか、夫婦に対して「ベッド・インの最中に恥ずかしい行為を出来るだけ多くする」などがありました。これは「羞恥心粉砕法」と呼ばれました。確かに、羞恥心は理性にとって最大の邪魔者であります。その人間にとって羞恥心など必要ないのですが、周りの人間のことを考えず、大迷惑をかけることを念頭に置いていないところなど、まだまだ未完成な方法ですね。
 日本においても、ビジネスのモティベーションを上げる訓練の一環として、駅前や雑踏の中で、大きな声で唄を歌わせたり、パンフレット配りをさせ全く見ず知らずの人間とコミュニケーションをとらせるという、周りにとってはなはだ迷惑なトレーニングで経営者達に好評を得ている研修機関も富士山の麓付近にありますね。このような行動療法は、一定期間は功を奏しますが、やがて元に戻ってしまうことが多くあったり、又逆にその訓練そのものがPTSDの種になったりするのがいけません。
 そこで、シュルツ博士の自律訓練法が脚光を浴びることになるのです。

この続きは、また来週……('-^*)/