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今週の喝 第277号(2010.8.9〜2010.8.15) この世は全て催眠だ(19)〜催眠は戦争から再び脚光を浴びた〜

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この世は全て催眠だ(19
〜催眠は戦争から再び脚光を浴びた〜

 催眠のインチキ扱いは、20世紀の初頭から約半世紀の間、顧みられることはなかったのですが、第一次世界大戦とその後に、麻酔薬の供給が底をつき始めたので、やむなく軍は研究を始めたのです。
 薬剤師エミール・クーエの研究は、主に痛みを除去することからスタートしたのに始まります。そして、戦闘による恐怖でPTSDに陥った兵士達の神経症を治療することにも効果があることが発見され、ドイツ軍によってペイン・コントロール(無痛操作)と戦闘神経症の治療に催眠を取り入れ命脈を保っておりました。
 そして、1933年アメリカの心理学者クラーク・ハル「催眠と被暗示性」という本を出版し、この中で次世代の若者達に対して、催眠の有効性を説き、その研究を奨励しています。
 そして、再び世界が血で血を洗う第二次世界大戦が勃発し、再びペイン・コントロールと心の病を癒す手段として用いられました。とくに、日本の特攻隊攻撃によって及ぼされたアメリカ兵達の恐怖心はすさまじくて、発狂者まで大勢出る始末です。
 我々は、日本人の側からの戦争記録はよく目にしますが、アメリカ側からの記録によると、自分自身が助かろうとしない特攻攻撃は、銃弾を打っても打っても、打ち落とさない限り、まっしぐらに自分の方に突っ込んできます。その恐怖は筆舌に尽くしがたいものがあると体験者は語り、多くの若者が心の病におかされました。
 また、朝鮮戦争では、その戦争目的が共産国から自由圏を護るという曖昧なものに変わっていたため、より戦意が柔弱になり、それに反比例して、生への執着が増し、それによる恐怖によって精神をおかされる者が続出しました。

=催眠者はリーダー感性を育め=
 催眠はその使い手の技によって、その効果が大きく左右される職人性が必要とされます。そこには、相手に対してリラックスした状態をイメージさせる話法安心感を抱かせる音楽的な感覚(テンポやリズム、抑揚)など習熟した技術が必要で、それにプラスして、催眠者の心構えも相手に明快に伝わってゆきますので、誘導する側の人間の生き様や心構えも大きくその作用に影響します。
 エミール・クーエが欲望の野心を持ったと同時に、アメリカでプロダクションが面白おかしく「摩訶不思議な現象」として扱ったように、そこには不思議な共時性が働きます。又、精神心理学者のジークムント・フロイトなど学術的頭脳が優れていても、音楽感性の乏しい人にとっては、その誘導が誠に難しく不確かであると感じてしまうのです。
 また、流麗な言葉や巧みな言い回しで人々に感動を与え、大勢を熱狂の渦に巻き込んだあのアドルフ・ヒットラーなど独裁者が現れ、国民を洗脳し、自国の優位だけを考えるような国家社会主義の台頭も、集団催眠の恐ろしさまざまざ見せつけ、「催眠=悪辣」という印象をより深めました。
 このように、独裁者や詐欺師達は催眠術と知らずに自然な形で人々を洗脳してゆきました。このような人間の言葉や態度は、欲望のサングラスを掛けた者達には、その内実を見抜くことは出来ません。彼らは、相手に何の疑いも持たせず、信用と信頼を一身に集める術をもち、大衆を洗脳しますので、誰を信用して良いのか悪いのか分からなくなります。そして、善人と悪人の区別すら儘ならないようになってしまったのです。
 催眠法は、一般の化学式のように誰がその調合を行っても同じ結果が出るという簡単なものではありません。それを見極めるには、催眠の技法を習得し、それに環境や心理のあらゆるバリエーションに対応して用いる臨機応変性が必要です。そして、腕が上達しても、それを「悪用しない」という倫理観念を自分の心に持たないと、あまりにも効果が絶大なために、その効果自体に自分の心が揺れ、欲望の炎に火が付くという大きな間違いをおかしてしまいます。
 また一方では、催眠誘導を上手く出来ない人達は、催眠法そのものを疑問視するようになり、このような人達の中に権威を持った人がいると、たちまち、催眠法そのものが一部の特殊な人間だけに効用があるように喧伝されてしまいます。そのうえ、心という目に見えないものに訴えかけるので、その実証がとても困難な事も手伝って、催眠はなかなか陽の目を見なかったのです。
 しかし、ここに、精神科医で心理学者の天才ミルトン・エリクソンの出現によって、医学の分野での催眠の応用が熱を帯びてきました。そして、1958年アメリカの医師会が催眠法を正式に療法として承認し、それ以来、安定した発展を続け、今ではさまざまな形に応用されています。ただ、日本では未だに催眠は不思議な見世物とか詐欺の道具と言った認識がぬぐい去れないところに、心を蔑ろにしてきた亡者立国の形相が見え隠れします。

この続きは、また来週……('-^*)/