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今週の喝 第265号(2010.5.17〜2010.5.23) この世は全て催眠だ(7)〜人は、なぜ催眠に誘導されるのか?〜

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この世は全て催眠だ(7
〜人は、なぜ催眠に誘導されるのか?〜

 催眠とは何か……と問われると、私は即座に「快」と答えます。多くの人は催眠現象を、魔術か呪詛、または詐欺の手法のように考えがちです。そして、掛かるのか掛からないのかといった、二元論的な回答を求め、催眠に誘導されたこともない人達が「催眠=悪」という観念を持っています。その証拠に催眠商法という言葉があり、インチキして人を騙す商法を指しています。
 しかし催眠は、それを用いる人間の人格によるのであって、決して催眠そのものが悪と言うことはありません。催眠は、善にも悪にも用いることが出来るのです。つまり、催眠は人間の「心の法則」の一つであると言うことです。
 「私は催眠など、絶体に掛からない」という人も、その正体が「快=心地よさ」と言うことになれば、話は別なのではないでしょうか。赤ちゃんがミルクを飲んだ後、お母さんの優しく身体にリズムを取りながら歌ってくれる子守歌を聞くと、必ず安らぎの世界へと入っていきますね。これも初期の催眠現象なのです。
 そして、成長して大人になってからは、世間や社会から受ける「快」は、やはり我々の心を解きほぐします。その中でも言葉は最も大きな効果をもたらします。たとえそれがリップサービスの巧言令色だと分かっていても、何か不思議と悪い心地がしないのもみんな経験があるでしょう。
 まして、それが本心から出た言葉で、相手の感情をしっかりと掌握して(理解して)発せられた思いやりの言葉であるならば、なおさらです。そして、それが身分や教養の高い人から発せられた言葉ならば、その効果は一層豊かなものになります。
 メスメルの弟子、ピュイセギュール侯爵「ラポール」「威光暗示」の発見は、催眠の歴史において「快」へ導くイントロダクションに、多大な効果を発揮し、催眠の科学の礎となりました。

=磁気説から暗示説へ=
 フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが一番嫌ったのは、お世辞やおべっかを使う、我田引水の我利我利亡者でした。そんな彼の性質を知ったパリのとある洋服屋が、一計を案じ、ナポレオンの部下達に賄賂を送り、お世辞を並べ立てて、ナポレオンに謁見出来るところまで漕ぎ着けました。
 そして、いよいよナポレオンの前にひざまずき、
「ナポレオン様、私はあなたを尊敬しております。あなたの着衣を作れるならば死んでも本望です」と、お世辞を並べ立てました。するとナポレオンは、
「こ奴も媚び諂いの徒か!一つ懲らしめてやろう」と思い、冷たい口調で
「して、余の何を以て尊敬しておると言うのか」と尋ね返すと、洋服屋は、
「はい、ナポレオン様。あなたがこの世で最も嫌いなものが媚び諂いの徒であるとお伺いしました。これこそ私の心情と全く同じであり、このような方がフランスを統治して頂くことこそ、私の願いであったのです」……。。。。(-_-)
さて、それ以降、ナポレオンはその洋服屋にしか注文を出さなくなりました。
 この話しが、実話かフランス小話かは知りませんが、お世辞について言い得て妙の喩えです。人間は「賛同」されることほど心地よいものはありません。まして、自分が抱いていた概念に反して賛同されると、そこに「ラポール」がうまれ、その人間に益々興味を抱いてゆきます。人間は、世間に美辞麗句や巧言令色が蔓延(はびこ)っていると分かっていても、その術中に嵌る可能性は否めません。
 催眠法が発見された当初、それは特殊な電磁波(メスメルは動物磁気と名付けた)がそのエネルギー(物理的実態)の根源であるとされていましたが、ピュイセギュールやそれ以後の研究者によって、それは言葉が創り出す人間のイメージ=「暗示」という心理的現象が作用していることを解明しました。
 そしてフランス革命後、パリにインドから来たバラモンと称するポルトガル人ファリア師が現れ、「催眠誘導の本質は、それを掛ける側よりも、掛けられる側に負うところが多い」と現代で言う「被暗示性=暗示の掛かりやすさ」を説きました。当時は、まだ被暗示性という言葉はなかったので、被暗示性の強い人間を「磁気化されやすい人間=天然幻視者」と呼びました。
 ここにもメスメルの動物磁気説の影響が色濃く残っていて、被催眠者は磁気化されたという表現を使っています。確かに、催眠に導引された人は、別人のような振る舞いや志向をするので、何か別のエネルギー(磁気)が作用していると考えたのも無理はありません。
 文献によると、ファリア師の催眠術は、現代に連れてきても立派に通用する腕前でしたが、やがて、ペテン師扱いを受ける羽目になります。その致命的欠陥は何と、「フランス語が下手くそだった」のが原因でした。

この続きは、また来週……('-^*)/