M&Uスクール

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今週の喝 第249号(2010.1.25〜2010.1.31) 氣の力を知ろう(56)〜求めよ、さらば与えられん!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

氣の力を知ろう(56
〜求めよ、さらば与えられん!〜

 

 俳優であったフレデリック・マサイアス・アレクサンダーは、舞台の途中で声が出なくなり、色々な医者の治療を受けたにもかかわらず、回復は一時的なもので、すぐに元の悪い状態に戻ってしまいます。そして、最後に医者から勧められた治療法は「休むこと」だったのです。それは、彼にとって俳優としてのキャリアを投げ捨て、自分の夢を放棄する最悪の選択を迫られたことと同じでした。
 「絶体そんなことは出来ない!それなら、自分で原因を追及してみせるぞ」と決心し、自分の身体の動きに注目します。
 彼は、声のでなくなった原因に一つの予感がありました。声を出すときに、声が出なくなる『動き』をしているのに違いないという予感です。そして、自分自身の行動や行為をもう一人の自分がじっくりと観察するという一見非常に困難に見える方法をとりました。現在では「自観法」と名付けられ、自分の理性で自分を思いもよらない方向に導く心である感情や欲望の動きを観察する方法です。
 果たして、彼の予感は的中していました。彼が発見したことは、声が出なくなるとき自分の頭を胴体の方に縮め、その結果咽頭を圧迫する動きをしていたのです。
 しかし、まもなくして頭を胴体の方に縮める動きは、声を出すときだけではなく、日常のありとあらゆる行為をするときに表れるということを発見しました。そして、彼はそのあと7年を掛けて、自分自身の行為を邪魔する『動き』を止めていくことに傾注し、そしてそこに偉大な“形”があることを突き止め、その方法をより確かなものにしてゆきました。

=人間に例外無し!これに氣付けば人生貫徹=
 アレキサンダーは、はじめ、世の中で俳優の声が出ないと言うような不幸は、自分だけだとその運命を呪っていましたが、世間を観察したら、どうやら上手く行っている人達がほとんどいないことに氣付きます。人は誰しも自分の目指すことに対して執拗になり過ぎ、自分の心とは全く違う行為行動を取ってしまっているのです。そして、理不尽に挫折し、あたかも自分の能力がそこまでであるかのような錯覚の中で、負け犬としての自分を固定観念化してしまっていたのです。
 そこで、彼はそんな自分と同じような境遇の人達に、自分の開発したメソッド、アレキサンダー・テクニークを教え始めました。アレキサンダーの人生目標は、人間に本来そなわっている“機能の回復”に向けられたのです。
 彼の俳優であり続けたいという強い欲求と決心が、アレキサンダー・テクニークの発見に大いに貢献したことは間違いありません。彼は、「もうダメだ」とか「才能が私にはない」「運が悪いのだ」などという言い訳や愚痴を決してこぼさず、自分自身をつぶさに観察して、諦めることなく原因究明に邁進した結果、今や人間の成功の奥義とも言うべき「心と身体の結びつき」の根本を解明したのでした。我々も彼と同じ心持ちになって、自分の目標に向かって突き進む精神を忘れず、何事も成し遂げる心意気を自分のものとすることが出来ると言うことなのです。
 それには、先ず「自観法」の修得から始めましょう。
己の理性で、自分の感情・欲望を管理するのが自観法です。このように書くと非常に難解な術のように感じますが、やってみれば意外と簡単にできるようになります。人間はその進化の過程で、は虫類や両生類であった頃の脳である“欲望”の脳が中核にあります。まさに、欲望の脳は生きていくための脳と言って良い原始的で、且つ、生存には必須の利己的な選択をします。そして、その上に哺乳類の持つ種の保存、類が群れをなし消滅から身を守るための智恵の脳があり、これが“感情”を司り、敵味方、好き嫌いなど己の利害を軸に外界を判断します。さらにその表面に、霊長類と言われる人間は、人特有の計算や計画、ものの善し悪しを判断する“理性”を司る脳を発達させました。
 自観法は、この人間特有の理性脳で、は虫類や哺乳類の時代の脳を統括管理するのです。やり方は至極簡単です。
 例えば、やりたくない仕事を上司に「やれ」と言われたときなど、もろに感情は「エーッ!嫌だ」と反応しますが、ここで一呼吸おいて、理性脳に登場願い、「エーッ!嫌だ……と、思っている自分が居るね」と冷静に感情を監視するのです。不味い食べ物に出くわしたときも、「不味い!」と感情にまかせず、「不味いと思っている私が居るね」としっかりと自分の感情や欲望を観察するのです。その結果、必ず、理性が成長し、冷静に物事を見、そして判断できる自分が心の主流を占めるようになってくるのです。古来より「人に克つより、自分に克て」と言われますが、これを体現化させるには、如何なる時でも、自分の感情と欲望を己の理性で管理するこの「自観法」を身につけることによって簡単に修得できるのです。

この続きは、また来週……('-^*)/