M&Uスクール

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今週の喝 第248号(2010.1.18〜2010.1.24) 氣の力を知ろう(55)〜挫折の原因は、力みから!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

氣の力を知ろう(55
〜挫折の原因は、力みから!〜

 

 小学生の頃、私は色々なことに憧れましたが、やりもしないのに思い込み、「出来ない」と自分自身の能力に結論を出していた自分がいました。
 憧れたのに、自分には「無理」と思い込み、固定観念の中でマイナス感性の虜になっていたのです。そんな私に「お前は何も始めていない。人間はやれば出来る」とその可能性を教えてくれたのが、西宮市立今津中学校の音楽教師“得津武史先生”でした。得津先生は、「人は皆、自分の中に“完遂する”能力を持っている。出来ないのはやらないからだ!」と檄を飛ばし、中学生達をグイグイと引っ張って行き、何と通算15回も吹奏楽日本一へと導いた偉大な教師です。
 どんな“アカンタレ”もこの得津マジックにかかると、それ相応の成果を出し、吹奏楽コンクールとは子供達の戦いではなく、指導者である先生の優劣で決まることを如実に証明したのでした。これは、何も音楽に限ったことではなく、スポーツも科学も他の芸術も変わりはありません。
 つまり、人間には教わる時期というのがあり、その中で、良き師匠に巡り会うと“学ぶ側”としての素晴らしき才能が導き出され、「発心」という原初的モティベーションに点火されます。発心とは、自分の進むべき道に氣付く心のことです。
 そして、いよいよ自分の方向性が定まり、それに向かって挑戦してゆきます。しかし、発心前と発心後ではいささか事情が違います。発心前は、「人に克つより自分に克て」と歌にあるように、メンタル(精神性)な部分が非常に重要な要素になるのですが、発心後は、自分自身の力で自分を律するエネルギーが必要になるため、力が入り過ぎて、自分の精神で自分自身の身体や行動を思うように動かすことが出来なくなってしまいます。この時、ほとんどの人間が「挫折」してしまいます。

=アレキサンダー・テクニークは積極的な学びの心から=
 「挫折」……これは、自分の心で自分のイメージする方向へ自分自身の肉体を動かすことが出来ない事が続くときに起こります。吹奏楽を一つ例に取りますと、発心前は、子供達が互いに切磋琢磨しながらも、仲間と互いに助け合い、励まし合ってコンクールという一つの共通目標に進みます。これは高校野球や他の学生スポーツ全てが同じです。つまり、アマチュアであるゆえ、互いに自分達の技量的欠点を補うことによって、自分を律する(逆説的には助けてもらう)ことが出来たのです。しかし、発心後は、自分の力で自分の技量や精神を完璧に近づけなければ、生き馬の目を抜く熾烈な世界では通用しません。そこで、ほとんどの人間は皆、心と身体のバランスが崩れ、行為行動に悪い癖を背負い込んでしまい、それを取り払うことが出来ずに挫折を体験するのです。
 このような体験をしたオーストラリアの俳優アレクサンダーは、力みが高じ、とうとう声が出なくなるという俳優としては致命傷とも言えるスランプ状態に陥ったのです。そして、医者に見放され、劇団からは休養と言う体裁を繕った馘首(くび)勧告を受け、絶体絶命の挫折の淵に立ったのです。
 その結果、彼は苦労のあげくアレキサンダー・テクニークという珠玉の方法を見いだしたのです。何度も述べますが、その内実は、発心という心の蠢動(しゅんどう)を契機に、力みが生じ、まさに「過ぎたるは及ばざるが如し」の格言通りの“蛇足”に至ったのです。このアレクサンダー・テクニークは、テクニーク(=技法)とは言うものの、技術的な手法や癒し、または治療というものではなく、「学び」であると言うことです。なぜなら、自分自身が環境や対人関係から影響を受けた結果、人間の大いなる転換点である“発心”と言う心の状態を得、それによってモティベーションが上がり、それが高じて欲望という心の贅肉を育ててしまった結果、その欲望は誰よりもいち早く上手くなろうとか、負けられないという他人から見ると決して美しいとは言えないマイナス感情を育み、それが体や心を硬化させ、悪い習慣を潜在意識(無意識)にインプットしたのが原因だからです。
 アレクサンダー・テクニークは、このように無意識に付着した不適切な習慣を取り払うために、不適切な自己の体や心の使い方を思い返して学び直すという積極的思考がなければ決して体得できないのです。アレクサンダー・テクニークはその積極性の上に、余分な自己の行動を“止める”ことで成果を生み出します。例えば、ゴルフの下手な人は、余分な身体の動き(悪い癖)を知らず知らずのうちに身につけてしまっただけなのです。これらはみな氣付かない内に潜在意識に進入してくるから非常にやっかいです。「無くて七癖」とは、このような経緯で我々が身につけた悪い習慣のことを言うのです。

この続きは、また来週……('-^*)/