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今週の喝 第247号(2010.1.11〜2010.1.17) 氣の力を知ろう(54)〜頑張れば頑張るほど、人は失敗する!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

氣の力を知ろう(54
〜頑張れば頑張るほど、人は失敗する!〜

 

 フレデリック・マサイアス・アレクサンダーは、俳優として頑張ろうという思いが強すぎたために、力(りき)んでしまい、心も身体も不必要に勝手な反応をすることに氣付きました。そして、それを止めて行く事を習慣化する方法<アレクサンダー・テクニーク>を発見し、それを体系化したのです。
 スポーツや芸術、またビジネスに於ける営業など、人と対したり接したりするとき、人は皆緊張し、頭は真っ白となり思考停止状態に陥ったり、思うように身体を動かすことが出来なくなったり、自分の心や身体であるにもかかわらず、自在に操ることが出来ません。
 アレクサンダー自身も、台詞の練習中に「声を出そう」という意欲の高まりと共に、首の後ろを縮め緊張させていたことに氣付いたのです。このため、頭が重たく首にのしかかり、声帯を圧迫していたのです。
 当初、このような原因が分からなかったため、医者に通ったり民間療法を試したりしましたが、全くお手上げの状態です。
 ここで重要なのは、医者は必ず手を加えることが治療だという発想(固定観念)があることです。「何かをしようとするのではなく、余分なことをしていることで悪い結果を招いている」ということに氣付いたところにアレクサンダーの秀逸性があります。
 それは、首が楽で、頭部を軽く脊椎の上でバランスを保っていれば、声が楽に出る事に氣付いた事から始まります。頭、首、背骨の緊張がなければ人間に生来そなわっている初源的調整作用(プライマリー・コントロール)が活性化され、自分自身の全力が発揮されるのです。

=世の中の基本は、全てが自然体で出来ている!=
 「小鮮を煮るが如し」……これは老子の有名な言葉です。小鮮とは小魚の事で、小魚を煮るときに味が良く染み込むようにと、何度も何度も鍋の中でひっくり返すと形崩れして見た目が汚くなってしまいます。だから、上手な料理人は、始め丁寧に下ごしらえをしたら、後は火加減の調整だけで、中身にはほとんど触れません。
 中国にはこれに似た「蛇足」という言葉もあります。戦国時代、ある人が家来達に大杯一杯の酒を与えたところ、家来の一人が「この酒は全員で飲むには足りないから、みんなで地面に蛇の絵を描いて、一番先に書けた者がこの酒を全部飲むことにしよう」と競争を始めました。
 やがてそのなかの一人が「俺が一番だ」と言って酒杯を手にしました。彼は上機嫌に「足だってかけるぞ」と言って、蛇に脚を描き足しました。すると、後から書き上がった者が「蛇に足なんか無いよ、これは蛇ではない」と言って酒杯を奪った……という話です。
 どちらも、余計なことをして失敗する逸話ですが、教育にせよ、政治にせよ、経営にせよ、健康にせよ、最近の世情では足らずに失敗することより、過ぎることによって失敗することの方が多いように思います。
 例えば、子供の教育も、親が勉強をするところを見せてその重要性を伝えることが出来れば、後は放っておけば自然に勉強するようになります。私も、初めて楽器(フルート)を手にしたとき、ジャン・ピエール・ランパル先生のコンサートを聞き、手足が痺れるほど感動したのを契機に、誰に指図されることも無く一所懸命練習に励んだことを思い出します。まさに、私は小鮮であり、コンサート・チケットを下さった得津武史先生は、見事な料理人だったのです。
 そんな私も両親から「勉強しろ」と言われても、勉強しませんでした。今から思うと、何か心の奥で反発するものがあったように思います。親心は、子供に立派になって欲しいの一念なのでしょうが、親が力めば力むほど子供との溝が深まるか、気の弱い子供は萎縮してゆくかのどちらかです。子供の自覚を待つ事ほど、親にとって忍耐はありませんが、ここが重要なのです。心では念じ、何もしないことが一つの成果を出す証しで、経営も同じような事例を多く見かけます。また、昨今の健康ブームの一翼を担うサプリメントなども摂取しすぎ、返って健康を害している事例も多く報告されています。
 この「小鮮を煮るが如し」という格言は、老子が大国の治め方について述べたもので、政治や経営もひとつの規範を示せば、後は熟成するまでじっと待つ肚が必要なのです。
 それには、じっくりと自分自身を観察する冷静な感性が必要です。まさに、アレクサンダーは医者に見放された結果、諦めず、自分を研究することで「過ぎたるは及ばざるがごとし」を体得したのです。大自然には初源的調整作用が備わり、それが人間に表れたものがサイコ・サイバネティックス(目的指向型心的自動機制)、つまり、人は成功の方向へ常に心身共に向かっているのです。

この続きは、また来週……('-^*)/