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今週の喝 第230号(2009.9.14〜2009.9.20) 氣の力を知ろう(37)〜大業を成したくば、惑いの心を戒めよ!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

氣の力を知ろう(37
〜大業を成したくば、惑いの心を戒めよ!〜

 今年11月後半から、NHKで司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」が放映されます。日本の土台を作った明治という時代(司馬遼太郎さんは時代と呼ばず“明治という国家”と呼んでいるのが興味深いですね)と、そこに生きた代表的人間達の心の在り方を描いた長編小説です。
 日本陸軍に於いて騎兵隊の創設に尽力した愛媛出身の秋山好古(よしふる)と、ロシアバルチック艦隊を完膚無きまでに打ち破る戦術を編み出した秋山真之(さねゆき)の兄弟と、現代日本語の美しさを俳句によって世に知らしめた正岡子規の三人を主人公に物語は、人間の「在り方=How to be.」を綴ってゆきます。
 その小説の中で、好古(よしふる)が弟の真之(さねゆき)を勉強させるため東京に呼び寄せたときのくだりに私は深く感じ入り、これこそ人間の生き方の神髄であると思いました。
 希望に燃えて上京した真之(さねゆき)を好古(よしふる)は心からむかえ、そして夕飯時になります。なんと好古(よしふる)の下宿には茶碗が一つ箸が一膳しか有りません。真之(さねゆき)が訝しく思っていると、兄は
 「俺が喰ったあと、この箸と茶碗で喰え」
という返事。
 「兄さん、明日茶碗を買ってくるよ」
という真之(さねゆき)に好古(よしふる)は、
「茶碗箸が一つしかないのは、何も買うのを忘れたからでも、買う金がないからでもないのだ。人間はこの世に生まれて死ぬまでにほんの僅かな仕事しかできない。一つか二つが精一杯だろう。それでもそれをやり遂げる人間は僅かしかいないのだ。その生涯を掛けるためには、余分なものは極力無くし、身辺を簡潔にしておかなければならない。その事を重々肚に据えよ」
と諭します。
 まさに名言!衣食住に惑わされて、大業を成せるわけなど有りません。(私は、惑わされっぱなしです……(-_-)シュン!)

=五欲との対決姿勢、それは集中!=
 秋山好古(よしふる)が、人生半ばで学んだことの集約は、「人は、一回きりの命!だから、一つのことに燃やさねばならない」と言うことです。何も好古(よしふる)自身初めから偉大な考えを持っていたのではありません。現に、彼が陸軍士官学校へ進む決心をしたのも、戦争が好きだからではありません。むしろ彼の晩年を見ると、非戦論者の様相があります。普通の学校は学費を払って学ぶようになっていますが、自分の家は貧乏なので、給料をもらって勉強の出来る所を探し、行き着いた先が陸軍士官学校だったのです。
 こんな偉大な好古(よしふる)も、初めは「寝・食・性・金・名」の五欲には翻弄されたでしょう。しかし、ここに人間がこの世に生まれ出た価値を考えたのです。寝・食・性・金の四つは肉体に付随する欲望で、しかも「今」に働く力です。そして、それは人間の最大の苦の一つである「死」を境に、持つことすら出来なくなり、また、周りの人々からその人間が生きていたことも記憶から遠ざかってゆきます。従って、武士道は、「命惜しむな名をこそ惜しめ、遠からん者は音にも聞け!近くばよって目にも見よ!」と五欲の最後に屹立する「名誉」を人生最大の所業としたのです。すなわち、人はその生き様を後進に残し、彼らの迷いや惑いを払拭するケースワークを示しておくことがこの世に生を受けた証しであると解釈したのです。
 こうして達した結論が「名誉」「廉恥(れんち)」の精神です。この精神を萌芽させれば、あとは大同小異、必ず人としてこの世に生まれた意義を理解し、その中でやらなければならない使命が天より与えられるのです。
 その為には、ただひたすら一つのことに積極性をもって集中する性質を己の身中に鍛える事しかありません。つまり、この章でも言い続けていますが、自分の命を何に燃やし、それは何のために燃やすのかという己自身の「道」の確立をする……言い換えれば、ポテンシャル(内在)エネルギーである「生命」を“氣”に変えて自分や周り、社会や国家に役立てることなのです。それも一つのことをやり続ける継続と集中によってのみ、そのエネルギーは働きます。
 「頴脱(えいだつ)」という言葉があります。意味は「嚢中(のうちゆう)の錐(きり)、必ずや鋒(きつさき)を出(い)ず」……錐は怪我をしないように袋にしまっておいても、必ずその先は袋を破り出てしまう。つまり、鋒とは才能のことで、その才能を磨いておきさえすれば、なにものにも邪魔されることなく物事は成就するのです。その為に、「消極性」と「氣散」は禁物です。

この続きは、また来週……('-^*)/