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今週の喝 第165号(2008.6.16〜2008.6.22)〜偉人に学ぶ……白隠禅師(17)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……白隠禅師(17)

 白隠禅師白幽仙人から伝授された<軟酥(なんそ)の法>は、呼吸法にイメージ・シミュレーションを加えた、イメージ療法でした。

 ここで言う<軟酥>とは聞き慣れない言葉ですが、「軟」とは文字通り柔らかい。「酥」は、牛や羊の乳を集めて、それを発酵させ、煮詰めたもので、今で言うチーズかヨーグルトと言ったようなものです。
 従って、軟酥とはミルクを生成した最も美味しい甘露の乳水で、その味のことを<醍醐味(だいごみ)>と言います。

 お釈迦さまの若い頃の物語に、ネーランジャイラ川(またはナイランジャラー川)の畔で断食苦行をしていた時のことが伝承されています。
 いくら行を積んでも悟れない焦りから、釈迦は苦行を捨てて川で沐浴します。このとき空腹からか、突然気が抜けて意識を失い、川端に倒れていました。そこを、通りかかったスジャータという娘が、修行中とは知らずにこの若い修行僧に、自分が持っていた「乳粥(ちちがゆ)」を口に含ませます。
 釈迦は断食中にもかかわらず、この少女が与えた乳粥を無意識のうちに飲み込んで、ハッと目覚め、体中にエネルギーがみなぎってくる実感から「苦行必要なし」と悟ったと言います。この乳粥のことを醍醐というとも伝わっています。
 また、異説には人間の母乳から作ったチーズで、非常に栄養価の高いものとして、薬のように用いられ、その味を醍醐味というとも言われています。いずれにせよ、乳製品に関する味であることは間違いありません。
 皆さんもお気づきのように、コーヒーに入れるミルクに「スジャータ」という名の商品がありますが、これは、元薬師寺館主・故高田好胤師の命名です。素晴らしい名前を付けたものです。

=軟酥のイメージ=
 白幽仙人は、
「まず鴨卵(鶏の卵よりやや大きめ)くらいの軟酥を頭の上にのせたようにイメージせよ。気が集中しイメージがはっきりしてくると、やがて不思議なことに、その何とも言えない匂いと味が少しずつ溶け出して、頭蓋骨の間を潤し、ヒタヒタとしみて身体を伝わり下りてくる。
 黄金に輝く色も、香しい匂いもとても素晴らしく、かつ心から清められるようである。やがて、それが両肩、腕、肘、そして両乳房から胸、肺、肝臓、腸、胃へと流れてくる。さらには脊髄から腰骨の辺りまで流れ潤してくる。このような情景をイメージせよ。
 すると、五臓六腑の気のとどこおり、さらに、疝気(せんき)(下腹部の痛みの総称)や身体の節々の痛みといったものが「心」に従って降下する。(ここで言う心とは気をイメージしたもの)それが、次第に水が低きに流れるように下がっていく。そしてその音がはっきりと聞こえるような心持ちになる。
 このようにして、軟酥は全身をめぐり、両足を温め、潤し、そして足心(足の裏の土踏まずの中心)に至る。このような観想をなすべし」と言っています。

 私もいざという時のために、この軟酥の法を訓練したことがありますが、なかなか集中出来ない自分がいることに気付きました。その時は、完璧に呼吸が乱れていることに気付き、落ち着かず、「何呼吸すれば、境地に達するのであろう」などと雑念ばかりが先行します。
 これぞ、病の元であると実感しました。しかし、練習を重ねて行く内に、あるとき突然、とても深い呼吸が出来ているときがあり、全く心に不安がなくなっているのに気付きます。そして、軟酥をイメージすると、本当に黄金色や香しい匂いをうっすらとですが感じるから不思議です。

 我々一般人は、その性質の中に「楽と得を求める」という横着性を持っています。そのために「白隠禅師のように、病気にかかったら軟酥の法をやってみよう」などと考えがちですが、私の体験から、健康なときに「軟酥の法」や「内観の法」の呼吸訓練やイメージ・シミュレーションをしておかなければ、上手く行かないように思いました。

 病は、気から! 気の乱れは未病の要因

  (未病とは、発病する前の状態)


この続きはまた来週……('-^*)/