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今週の喝 第164号(2008.6.9〜2008.6.15)〜偉人に学ぶ……白隠禅師(16)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……白隠禅師(16)

 中国古代の伝説上の人物で、八百歳まで生きたとされる膨祖(ほうそ)という仙人は、神と和して気を導く法は、部屋を閉ざして、ベッドを置き、席を温めて、枕の高さを約八センチくらいにする。
 それから、身を正しくしてここに身を横たえ、目をつぶって気を胸の内に閉ざし(イメージし)、そして鳥の羽を鼻の上に付けてそれを動かないようにして静かな呼吸を三百に達するまで行う。
 すると、耳には何も聞こえず、目は開けども見るところはなくという状態(無感覚)になる。
 こうなると、寒さも暑さも侵すことが出来ず、ハチやサソリも毒することが出来ない。寿命三百六十歳、仙人に近くなると説いています。

 中国の人の言うことは、何せ規模が大きく、どこまでは本当でどこまでが比喩なのかなかなか見当がつかないですが、先回もお話ししました、数息観(すそくかん)にも、同じことが言われているところを見ると、人の呼吸はその用い方で、病を導き入れることもあれば、病を癒す最大の効果をもたらすようです。
 従って、膨祖の言う静かな呼吸三百回は、五感感覚を超えて人間が本来体内に有する自然治癒力を前面に押し出す効果があるとも受け止められます。
 しかし、三百回の深呼吸を続け通す丹力・気力は、病人には無理ではないでしょうか。ということは、自分が元気である内に、人が避けては通れない「生老病死」をシミュレーションし、常日頃から呼吸訓練をしておけと言うことなのだと私は考えます。

=何事も日頃の訓練=
 我々人間は、元来横着に出来ています。病気になるのは自分の生き様や心の動きが、体内にある生命力の根源である「気」の流れを乱すことによってその元凶が作られるにもかかわらず、病気に罹れば、病因を外部からのばい菌など侵入の所為にし、自分の生活態度が悪いと言うことをなかなか認めようとはしません。
 しかし、苦しむのは自分であるので、手っ取り早く治療できる手段を求めます。その結果、西洋医学の対処療法が大発展したのです。私も、西洋医学には数え切れないくらい助けられました。本当にすごい人間の科学力です。しかし、私自身西洋医学の弱点を痛感しています。それは、自分の体内にある自然治癒力を己の身体にある気脈によって活性化しようという“発想”そのものが湧いてこないのです。発病する前には、必ず、病気以前の状態である“未病”が存在します。この状態の時に、気脈を活性化すれば、病因は退散するというのが、東洋医学的発想の根幹であることは周知の事実です。
 しかし、病気……すなわち気脈が乱れているときに、ほとんどの人間は思念がしっかりとするわけがありません。従って、呼吸(呼気)もおのずから乱れます。現に、重い病気に罹った人は、なかなか思うように腹式呼吸が出来ないことを、お見舞いに行くごとに痛感します。
 呼吸の乱れ=浅い呼吸の状態の典型は、
  (1)病気
  (2)喧嘩
  (3)上がる
といったマイナス感情の時に起こります。従って、三百回数息観を行えば病退散と言われても、論理的ではあっても、凡人には実践的ではありません。だからこそ、健康な内から、たとえ三十回でも良いから、深呼吸の練習を膨祖の言う条件の下でイメージ・シミュレーションしておく必要があります。
 人間と他の動物の大きな違いは、イメージする力を備えていることです。そして、そのイメージ力は、我々人間にとって現実との区別がほとんど無いところに、その不思議さがあります。ベルトを蛇だと錯覚するだけで、蛇嫌いの人は鳥肌状態になるように、イメージは我々の自律神経系にも完璧に影響を与えている事は事実です。従って、気脈を整えるのもこのイメージのエネルギーを正しく用いることによってなされることを、中国仙道は伝えてきました。
 まさに、白隠禅師が京都白川黒谷の白幽仙人から教わった「軟酥(なんそ)の法」も、呼吸法にイメージ力をプラスしたイメージ・シミュレーションであるのです。

   呼吸訓練は、転ばぬ先の杖


この続きはまた来週……('-^*)/