M&Uスクール

潜在意識の有効活用を教える学校”M&Uスクール”のサイト

今週の喝 第163号(2008.6.2〜2008.6.8)〜偉人に学ぶ……白隠禅師(15)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……白隠禅師(15)

 我々のには、ウイルスなどの感染症から精神による心身症までいろいろな原因がありますが、現代病の大半を占める自律神経失調症など、心がその遠因であるものが少なくありません。
 白隠が罹った禅病も、心の持ち方に端を発し、自分自身の心と体をコントロールできなくなったものです。
 私も経験がありますが、心の持ちよう(考え方)一つで、冷や汗が出たり、また元気になったりしたことを思い出します。しかし、私たちは自分自身の心の方向性を自由にコントロールすることは出来ません。そのために白幽仙人は、「考えないのではなく、考えることを放り出せ」と喝破し、白隠はその実践から自分の病を克服することが出来たのです。

「恬淡虚無(てんたんきよむ)なれば、真気(しんき)是にしたがふ。
      精神内に守もらば、病何(いづ)れより来たらむ」

これは天台小止観に書いてある一節です。「煩悩や欲望を捨てて、心の中を虚しくすれば、自分の身の丈ほどの自分に返るときに、心の内に心気が満ちてくる。空っぽになったとき、そこに気が満ちる。その時、どうして病がこの中に入ってこられようか」と説いているのです。
 誠に言い得て妙!その通りなのですが、どうすれば何も考えずにおられるかというHow to do.を白隠は教えてくれます。
 その秘訣は、呼吸にあるというのです。呼吸は意識せずとも我々は無心にしていますが、この呼吸そのものが、荒くなったり穏やかになったり、色々と変化するのです。

=呼吸は心の在り方の反映。先ずは「数息観(すそくかん)」から=

 我々人間は、体調によっても心の状態によっても、呼吸が変化します。つまり、感じ方や考え方から生まれる感情と同じように変化するのです。体調の悪いときの呼吸は浅く、元気なときの呼吸は深いのです。また、不安な心持ちの時は浅く、心が安定しているときは深い呼吸です。逆も真なり!……呼吸を深くすると、我々は余分な妄想や不安がなくなり虚心坦懐になります。呼吸が浅いと気が散り、余計な妄想に絡まれ、心が泡立ちます。
 従って、呼吸を制することが心を制する足がかりとなるのです。その最も初歩的な訓練が天台小止観には「数息観(すそくかん)」、呼吸を単純に数えることが示されています。
 また、中国宋代の詩人蘇東坡(そとうは)は、「呼吸を一から十まで数える。そして、百より数えてもって千息に至れば、その時おのずから自分自身が虚空につきあがるエネルギーに満ちた山の如く泰然自若として、かつ自由にして快活な雰囲気に包まれていることを感じる。その心は静かで、あたかも宇宙に広がる虚空と等しくなる」と言い、「しばらくすると、呼吸がおのずから消えてゆく。出ることもなく、入ることもなくなるとき、息はなんと八万四千の毛穴の中から雲か霧のように出てきて、ありとあらゆる病はおのずから治る。そして、さまざまな障りは自然に消え去ってしまうのを感じるであろう。その気持ちは、例えば盲人が目を開くが如くである」と断言するのです。千息もの呼吸を数えていると、息をしていることすら忘れてしまうでしょう。このとき我々の煩悩も散霧するというのです。
 私たち凡人にとって、恬淡虚無の境地に達することが出来るのかどうか、疑問ではありますが、呼吸によって到達できる、それも、単に数えるだけでその境地を得られると分かっただけでも勇気づけられますね。

 我々の煩悩は、全ての病の根源であるという白幽仙人の指摘は、現在では色々と科学的に証明されてきています。我々の思いは、それが「現実」とは関係なく、現実に対する考え方である「見解」によってその方向性が決まります。従って、この考え方の道筋が、呼吸の仕方と結びついていることを知った私たちは、人間にとって最も大切な健康の糧を手に入れたと言っても過言ではありません。
 何はともあれ、先ずは、簡単な数息観から手始めにやってみられては如何でしょうか。お風呂の中で、寝床で、または、しっかりと禅定を組んで……何でも良いですから、先ずは、自分の息に心を集中して、煩悩の払拭をはかってみましょう。
 <息>は「自分の心」と書きます。そして「生きる」につながります。

  健康のもとは恬淡虚無、
     それには先ずは数息観


この続きはまた来週……('-^*)/