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今週の喝 第149号(2008.2.25~2008.3.2)〜偉人に学ぶ……白隠禅師(1)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……白隠禅師(1)

 死の恐怖は精一杯生きた人からは消え失せ、精一杯生きた人は、正しく、精神が次のステップへ昇華するために「死」は必要なものとして受け入れられる……悟りを開いた人は、山岡鉄舟のようにまさに般若心経の「無有恐怖遠離一切顛倒夢想究境涅槃」、恐怖がなくなり、歪んだ夢幻のような想念が全て遠ざかり、究極の境地である涅槃(悟り)に至る、ということを体現するのでしょうが、我々凡人にはほど遠い事のように感じます。
 我々が最も幸せと感じる事は、自分の思い通りに自分の心が動いてくれる事です。ほとんどの人間は、幸せ感や不幸の種を“外界や物欲”に置き換え、他の所為にすることによって、一時しのぎをします。しかし、いくら泣いても叫んでみても、本当は自分の内側の心の有様にその原因があるのですから、全く筋違いというものです。
 人が苦しむのは、お金がないからではなく、お金がないという事を気にするところに起因します。映画「三丁目の夕日」の時代(私の子供時代)は、みんながあまり金欠を気にしませんでした。それよりも大事なご近所の人情が、全てをカバーしていました。とにかく暖かさがありました。つまり、全ての苦楽は自分の心が作り出した“概念”によって左右されていたのです。
 それでは、己の心はどのようにすれば制御できるのでしょうか。このことが可能になれば、我々は本当に気楽な人生を送る事が出来るでしょう。この心の制御という人生の理想郷を求め、今回から江戸中期、禅・中興の祖である白隠禅師(はくいんぜんじ)にスポットを当てながら、お話しして行きましょう。

=呼吸は自分の心=
 明治時代の僧、藤田霊齊(れいさい)師は「心は心をもって制せられず、心はをもって制すべし」と喝破します。ほとんどの人間は、自分の心は自分自身のものだから、自分自身で何とかなると思っていますが、我々音楽家は、「あがる」という悪魔のささやきに常に心をかき乱されます。私も小学校4年生の時、委員長として朝礼台の上で「今週の目標、ちり紙ハンカチを忘れないように!」と言うはずが、登壇したとたん頭の中が真っ白になり、自分が今この台の上で何をしているのかすら分からなくなってしまい、周りの事も何も見えない状態になったのがこの悪魔との出逢いでした。
 「あがる」という悪魔は、まず自分の心を完全に気散状態にし、その上、運動能力を極端に低下させます。つまり、我々の肉体は心の状態によって、どうにもならなくなるのです。そして、心も同様に自分自身でどうにもならないのです。たとえ心が集中できたとしても、それは、マイナス感情に支配され、どうしようもない迷いや惑い、悩みの中に自分の心は埋没してしまいます。

 白隠禅師は、どうしようもないこの心と身体に、幼少の折から苛まれ続けました。そして、自分自身に絶え間なく襲いかかってくる、苦や恐怖から逃れるために、15歳で出家し、難行苦行の末、悟りを得ます。その間、「丹田呼吸法」「軟酥(なんそ)の法」など現代で言うイメージ療法を開発し、養生術の奥義とも言うべき「夜船閑話(やせんかんな)」を著しました。つまるところ、現在も行われている天台宗比叡山での千日回峰行をはじめ、日蓮宗身延山での荒行など極限の心身の扱い方など全てが、なんと「呼吸」につきるという事なのです。 
 白隠が、生死の際から悟った智恵を凝縮した「夜船閑話」「軟酥の法」とはどんなものであるかという事にもふれながら、白隠の生涯とその生き様を我々の人生の糧として行きましょう。


この続きはまた来週……('-^*)/