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今週の喝 第144号(2008.1.21~2008.1.27)〜偉人に学ぶ……山岡鉄舟(11)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……山岡鉄舟(11)

 山岡鉄舟は剣の達人ですが、その生涯で一度も人をきった事の無い人です。しかし、彼に試合においても斬りかかる事の出来た人は本当に一人か二人しかいなかったと言います。その人は、自分の剣術の師匠であったから仕方がない事でしょう。
 しかし、鉄舟は剣術から素晴らしい人間関係を教えてくれています。晩年の事ですが、癌に罹り、死期が近づいた事を悟った鉄舟は、門人全員に稽古をつけるために皆を道場に集めます。その日の鉄舟は胴の紐を独りで結べないくらいに衰弱していたと言います。
 彼は無刀流という流派を創設し、弟子達も大勢いました。その中の一人、佐野治三郎
 「よし、今日こそ一つ、師匠をやっつけてやろう」
と意気込み立ち上がるや、面から体当たりでぶつかって行きました。ところが、まだ鉄舟の身体に触れない前に、何かもの凄い力で押しつぶされるような感じがしたと思った次の瞬間、自分の方がひっくり返っていたといいます。
 治三郎は後年、あの時の事は今も合点がいかない。人に話しても信じてもらえない。とよく語っていたと言います。
 鉄舟は「気」についても、しっかりと研究・考察しています。それをまとめると、無刀流の剣術は
(1)勝負を争わず、心を澄まし、胆を練り、自然の勝を得る
(2)事理(技と心)の修行するにあり。事理一致の境に至る
(3)無刀とは心の外に刀なきなり。敵と相対する時、刀に
   よらずして心を持って心を打つ。これを無刀という。

=「間」を心得たものこそ本物なり=
 山岡鉄舟はいつも「人の弱点を突くな」と戒めていたと言います。門人たちによると、
「喧嘩をしても議論をしても、人の弱点を突くのが普通だ。きっと勝に決まっているからな。けれどもそれでは人を殺すというものだ。俺の師匠などは全くそれとは反対だった。議論でも撃剣でも、決して相手の短所を衝かない。いつでも長所長所と狙ってゆく。だから、相手は面食らって、煙に巻かれてしまったものだ。よほど偉くならないと出来ぬ業だが、未熟でもそのつもりでぶつかって行くんだね。自然と人物が大きくなる」

 鉄舟の考え方を現代に置き換えると、人には、絶対に触れてはいけない「間(ま)」があり、その「間」を大事にしたものが偉大な“人間”へと成長して行くのです。人間・仲間・世間、どれもみな「間」という字があるのは、このような所にその語源が隠されているのかも知れません。また、時間・空間という、我々には絶対に思うようにならない隔たりも、その隔たりがあるからこそ最も大切にしなければならないものなのです。
 我々の力には自ずから限界があります。従って、相手に対して力でぶつかって行くのは愚かであるという事を鉄舟は説いているのです。また、現代社会に於いて、相手と間合いを取ると言う事は、鉄舟の言うように、相手を大切にし、相手の弱点・欠点を責めない事だと私は解釈します。
 同じ会社にいながら、上司は部下の弱点欠点をあげつらって、弱みを修正しようと躍起になっているのをよく見かけますが、どんな人間も、自分の弱みを権力と地位をかさに着て、大上段に言われると、素直になんかなれるはずがありません。
 上司は、部下を育てるのが最重要課題ですから、心の糸が結べないと何にもなりませんね。これが“気”の方向性に大きく影響する事は自明の理です。
 人は、心が向いて初めて行動的・積極的になるのです。

 このことをしっかりと相手の身になって考えて行くと、不思議とキリスト教をはじめとするほとんどの宗教が提唱する<黄金律>と合致します。
黄金律とは
 「自分がして欲しい事を相手にする。
          そして、されて嫌な事はしない」
という人間の根本法則なのです。


続きはまた来週……!