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今週の喝 第137号(2007.12.3~2007.12.9)〜偉人に学ぶ……山岡鉄舟(4)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……山岡鉄舟(4)

 山岡鉄舟はなぜ清水の次郎長を可愛がったかと人に聞かれた時、「裏がない男だから」と答えたそうです。また別の時には「あれは純情な男だ」とも述べています。
 反対に、次郎長に「鉄舟先生のどこが良くて、こんなに親しくしているのか」と訪ねると、「先生はただの剣術使いではないから」と答え、次のような逸話を話しました。
 「鉄舟先生は剣の稽古が真剣であっただけではなく、便所の中でも寝床の中でも、いつでも真剣勝負の気構えを忘れなかった。道を歩いていて竹刀の音が聞こえると、それが何処であろうと、誰であろうとかまわずにすぐに飛び込んでいって、試合を申し出ました。
 そのうち、自分の家に訪問客があると、見境なく防具を持ち出しては『一本お稽古を』と試合を挑むようになったのです。さらに毎日のご用聞きにくる出入り商人の若者をつかまえて『俺の身体の何処でも良いから打ち込んでみろ』と素っ裸になって打たせる。ところがいつまで経っても『もう一本、もう一本』と離さないので、若い者達も閉口して、ついにご用聞きが来なくなってしまいました」

 こんな鉄舟も、浅利又七郎という師匠にはかなわなかったと言います。鉄舟は“上には上”も知っていました。この頃、剣の練習と言えば「木剣の型剣術」が主流でした。しかし、次郎長のように喧嘩、殴り込みなど実戦を何度も経験し、用心棒として雇われていた浪人どもと立ち会った経験をしたものにとっては、
 「彼らの剣は強かったけれども、真剣をもった喧嘩となると、ヤクザに手もなくやられることがしばしばだった」と、語っています。実際に死ぬか生きるかという場面に遭遇すると、竹刀や木刀の剣道などは、ほとんど意味をなさなかったのでしょう。
 山岡鉄舟には、そのようなスポーツ感覚ではない、次郎長の心を打つ「本物の剣」と「生き様」があり、“技”だけではない“心”の剣を見たのだと思います。

=常に真剣勝負の心構え=
 鉄舟は、常に自分の運命はいつも死と隣り合わせであることを肌身で感じていたからこそ、訓練を怠らなかったのです。彼にとっては、剣は常に実戦であり、生きることは常に死を意識することであり、ゆえに、毎日を充実することこそ死を乗り越える手段であることを“禅”によって感じ取っていました。
 佐賀鍋島藩の武士の心構えを著した「葉隠聞書(はがくれききがき)」にも「武士道とは死ぬことと見つけたり」とあります。武士はいつでも戦場に身を置く心構えこそ、その日を恥じることなく堂々と精一杯生きることである。ゆえに、誰にも後ろ指を指されることのない本物の武士となるべく、日々精進せよ!と武士達に訓戒を促しているのです。
 我々の人生は、何時どんな事が起きるか知れません。ある日突然ガンを宣告される人もいれば、交通事故で亡くなる人も後を絶ちません。まさにこの世は苦集滅道……苦しき事のみ多い世です。これが人の“運命”なのです。
 これに打ち勝つ精神を養うためにも、我々は覚悟を常に自分の心にもたねばなりません。覚悟とは、自分の所行や思考で変えることの出来る事象に目覚め、自分ではどうすることも出来ないものを悟ることです。常に生と死が背中合わせにあった鉄舟は、真剣に剣と向き合うことで自分の心の雑念を払い、己がこの世でなすべき事を習得していったのです。次郎長もその身はヤクザでありましたが、運や天命という“他力”に強い関心を持っていました。

 次郎長が20歳の時、道ばたの易者に「おぬし、男気を感じる良い面相をしておられるが、惜しむらくは凶相が覗える。25歳で寿命が尽きるであろう」と言われます。彼はこの言葉がやけに心に引っ掛かりました。子分達も、真剣に「親分亡き後の清水一家は」などと囁く始末です。
 そして、だんだんその時期が近づくにつれ、少々恐怖と自暴自棄も手伝って、ことあるごとに街の困っている人間に、お金をばら撒いておりました。しかし、その日が過ぎても、いっこうに死の気配はありません。そこで、子分達がその易者を懲らしめようと、次郎長のもとへしょっ引いて来た時、その易者は次郎長の顔を見るなり、「おお、人相が変わっておる。おぬし、何か良いことをしたじゃろう」。
 そう、彼は真剣に自分の死を考え、多くの人に施しを与えた結果、運命が変わったのでした。この話が本当かどうか、また、良いことをすることが寿命を延ばすことになるのかどうかはよく分かりませんが、運命が好転するであろう事は分かります。
 人は真剣勝負の心構えで事に当たることによって、その日一日一日を精一杯生きることによって、周りに感動を与え、自分の精神も豊かに磨いてゆくことになるのです。その結果、健康も能力も素晴らしく発展してゆくことは容易に想像できます。


続きはまた来週……!