M&Uスクール

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今週の喝 第1003号(2024.08.12~08.18)〜あんさんは、私らと同じ匂いがする!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
成功への道しるべ!この世は全て催眠だ744
あんさんは、私らと同じ匂いがする!

 こうして、「今津音頭」のレコーディングに向けてスタッフが揃ってきました。この時、私は19歳(作詞の西村光照君も同級生で同窓生:現在は金光教大阪天満協会の教会主となっています)。こんな若造に京都祇園宮川町の置屋“川久(かわひさ)”のお母はんの里千代(さとちよ)さんの尽力で当時の邦楽界を代表する方々が一堂に会して下さったのです。これも今津連合福祉会々長の浅尾一雄さんの「顔の広さ」の賜物でした。

 この時、私は初めてプロの方々の仕事の速さを感じました。とにかく何事にもやることが早く、絶対に“No!”がないのです。後で皆さんに伺いましたが、
 「出来るか出来ないかを考えれば、人は“楽と得”に向かう故にプロには“出来ないという言葉がない”……これを座右の銘として“どうすれば出来るか”のみに集中し、“出来ない”を恥として、どんな苦難も研究・練習で乗り切る気概を養うことです!」
と教えて頂きました。そして、最後に私に向けて、言祝ぎの言葉を頂戴いたしました。
 「梅谷さん、あんさんはまだ若こおます。けど、私たちと同じ匂いがしますエ!」
と三味線の師に言われたのです。その意味は「やがて、プロになる!」という意味だったのです。有り難く、また勿体ないお言葉を一流の方から十九歳にして頂戴したのでした。
 そして、レコーディングが6月でしたので、その年の10月に生涯の師・宇宿允人先生に拾われる(邂逅(かいこう)する)運命が待っていたのです。まるで、予言者でした。
 こうして西宮市民会館(現:アミティーホール)で、吹奏楽コンクールの録音を一手に引き受けておられる大阪のレコーディング専門会社、日本ワールドレコード。そして、この会社の靱(うつぼ)社長がレコーディングディレクターを引き受けて下さいました。

 

★★圧巻の出だし、佐藤君の大太鼓★★
 そして、レコーディング当日、1500人収容の西宮市民会館観客席の三分の一が埋まるくらいの見学者(ギャラリー)を迎えてスタートしました。得津武史先生も私に花を持たせて下さって、観客席に座って聴く側に回って下さり、指揮は作曲者自身の私・梅忠がやることになりました。演奏をする今津中学校吹奏楽部のみんなも、コンサートは多く体験していますが、本格的なレコーディングは初めてです。レコーディングマイクの数も30本以上はあったと思います。部員の中学三年の佐藤君が大太鼓を担当し、彼の2小節のソロから始まる「今津音頭」は、テーク1(ワン)で大太鼓が大ホール中に響き渡ると、今藤(いまふじ)流のお囃子(チャンチキ担当)の方が、レコーディング中であることも忘れて、「凄い太鼓どすな!」と驚嘆の声を出されたのですが、子供達の演奏がとても乗っていたので、そのまま練習を兼ねて最後まで演奏を止めませんでした。それを舞台袖で聞いておられた長唄の今藤長之さんも、演奏が終わると思わず(無意識に)拍手をされ、
 「噂には聞いておりましたが、イヤイヤ申し訳おまへん。こんなに本格的なサウンドを出されるとは想像以上です。私も負けんようにシッカリ歌わせてもらいます」
と生徒達を絶賛して下さったので、林立するマイクも忘れとても良い雰囲気になってきました。
 そして、指揮台から観客席を眺めると、な、なんと西宮市長から市会議長、そして、教育委員長から教育長まで皆さんこの録音風景を見学に来て下さっています。こうして午後1時からスタートしたレコーディングも連合福祉会から配られた豪華な昼食弁当でエネルギーを得た子供達はテーク5(ファイブ)で靱ディレクターから完パケOKを貰い、頗(すこぶ)る快調に進みました。この録音を基軸にして、後はプロの方々のお囃子(チャンチキと小太鼓、三味線)をサイマルシンク(重ね録音)し、クライマックスは歌手・今藤長之(いまふじちょうし)さんの唄入れです。「素晴らしい!」の一言です。ここまで私は大満足でした。この後、町の婦人会、老人会のみなさん(素人さん)で掛け声と手拍子の録音です。
 ここにきて、浅尾一雄会長がハイテンションになり、リズムが狂うのです。会長ですから、“外す”訳にもいかず困っていると、アバウトな私の父が、
「これも良い思い出になるさかい、エエことにしょうや!」
ということで、今、このレコードを聴いても、浅尾一雄会長のリズムのズレが本当に一所懸命手拍子をしておられるのが目に浮かんできます。この辺りの“アバウトさ”も今はなき浅尾会長、そして、我が父梅谷副会長を思い出すよき思い出です。これをプロを雇って録音していたならこのような「感無量」にはならなかったでしょう。
 ということで、残るは「隠密剣士」の龍笛奏者、藤舍秀明さんのみとなりました。

 

  この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/