M&Uスクール

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今週の喝 第541号(2015.8.31〜2015.9.6) この世は全て催眠だ(283)〜催眠誘導を学ぶ側は、先ず、道徳から……!〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

この世は全て催眠だ(283
〜催眠誘導を学ぶ側は、先ず、道徳から……!

 人間に催眠現象が生じるのは、
  (1)心地よさ(快)
  (2)信頼関係(ラ・ポール)
  (3)イメージ喚起(言葉による)
大ざっぱにこの三つと掌握して下さい。
 この上に、催眠者が被催眠者に対してどのような方向性を期待しているのかという、相手に対しての理想をもち、その理想へと導引してゆくのです。
 このように書くと、催眠とはとても崇高な事のように思えますが、この「理想」が、例えば相手に物品を売りつけようとか、思い通りにさせようなどと私利私欲の方向へ導けば、悪名高い「催眠商法」となってしまうのです。薬は多量に用いると毒に変わるように、あらゆるコンテンツは、その用い方一つで、素晴らしくも恐ろしくもなります。つまり、人間の心の有り様が全てであります。ですから、催眠法を学ぼうとする人間は、その以前に道徳的見地をしっかりと修得しておかなければなりません。つまり、催眠はその用い方で毒にも薬にもなるのです。
 私も30歳代の頃、学校(M&U SCHOOL)運営のための受講生勧誘で、「お金も運も思いのまま!」という表題での講演をしたり、また、「異性もあなたの思い通りになる!もてる男に大変身」などと喧伝して、本当に今から考えれば、顔から火の噴き出るような破廉恥な行為に走ったことがあります。それも、何の悪気もなしに……!また、やっかいなことにそのようなキャッチコピーは、欲望触発が主体になっているため功を奏し、多くの受講生が我が校の門を叩きました。(その時の受講生は、今はほとんど残っておりません)
 この世に、催眠商法などを用いて詐欺や詐欺まがいの事をやる人間がいるのは、そこに欲望のみで人生を送っている人間の多い証とも言えるのです。
 「石川や、浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」と京都南禅寺山門の大屋根の上で、この句を嘯(うそぶ)いた石川五右衛門は、しっかりと人間の情動のシステムを見抜いていたのです。
 
★★「自律神経」は、想像と現実の区別が付かない★★ 
 催眠のプロセスは、大前提として被催眠者に「何のために、催眠誘導するか!」という目的をしっかりと催眠者側が抱かないと、ただの見世物や人を欺す道具(手段)になりかねません。
 どんな人間でも、その生まれ育った環境や多くの出逢いの中で、感化や影響を受け、何らかの催眠状態(潜在意識に癖化している)にあります。それが、生活に支障をきたさなければ、その現象(状態)は単なるその個人の「特徴」で済まされますが、ずっとお話ししてきた、件の女性ヴァイオリニスト(お忘れの方はバックナンバーをご覧下さい)のように、練習(師匠)と恋愛(彼)の板挟みになり、ヴァイオリンを持つと身体に変調をきたすという自己暗示を無意識のうちに潜在意識にインプットしてしまいました。最悪を想定すると、音楽人生に終止符を打ち、その打った終止符が再び潜在意識に深い傷跡を残して、再び潜在意識にマイナス感性を埋め込むという負のスパイラルになることは多々あります。
 事の始まりは、ボーイフレンドの
 「俺とヴァイオリンとどっちが大事なんだ?」
という男のエゴとも独占欲とも言える嫌がらせ的問いかけを、信念を持って躱せなかったところにあり、それに、異性とのデートという青春期の誘惑(快)の虜になり、師との板挟み(ダブルバインド)からの脱出(サバイバル)の手段としてPTSDを発症したのです。その症状は、ヴァイオリンを持てば吐き気や目(め)眩(まい)がするというものでした。
 このような症状も厳密に言えば、環境や置かれた立場によって感化・影響を物から受けた催眠なのです。催眠は何も催眠術だけで導引される物ではありません。特に人間は他の動物と違って、想像力を天から与えられたため、想像と現実の区別が曖昧になってしまったのです。ですから、「思った(想像した)だけ」で、身体(神経系や筋肉)が実際に反応するのです。
 その顕著な例が、“お化け屋敷”です。よほど胆力や腕力を鍛え、訓練を積んだ人間は別にして、ごく普通の人間は、お化け屋敷に入ろうと言ったときに、多少とも怖じ気づくものです。分かっていても怖いのです。また、ベルトを「蛇だ〜!」といって急に投げつけられると、蛇だという言葉に我々の潜在意識は反応し、ただのベルトを蛇と認知してしまいます。
 ですから、言葉は人間しか話さないし、またその言葉で、我々人間はあらゆる事象をその言葉に従って想像し、それが自分にとって不快であれば、実際には何の事象も起きていないのに、腹が立ったり、恐ろしくなったり、嫌気がさしたりetc.とマイナス感情をわき出させるのです。
 ですから、大概の諍いは、それが些細な兄弟げんかや夫婦喧嘩から果ては人間同士が殺し合い国家の存亡を左右する戦争に至るまで、その始まりは言葉であることが大半です。
 催眠も“言葉”が持つ想像喚起力を利用し、人間の情動のシステムの第一義である「自律神経系は想像と現実の区別が付かない」ことで、誘導してゆく“心の科学”なのです。

この続きは、来週のお楽しみ……('-^*)/