潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの？
この世は全て催眠だ（７８）
〜説得は理論より感情に従う！〜
「説得」というと、普通私達は相手の意識に向かって働きかけようとしますね。データを取りそろえて損得を説き、筋論を展開して理性に訴えかけようとします。しかし、相手の感情を害した時など、意識はしばしば反抗し、猜疑心あるいは自尊心の防波堤を巡らして、頑強に説得をはねつけようとします。
しかし、そんな時も無意識のチャンネルは開いています。エリクソン博士は、このチャンネルにアプローチすることによって、見事に抵抗を排除し、良好なコミュニケーションを達成する手法を開発したのです。それは、城攻めにたとえると、城内部に手引き者がいて、夜陰にまぎれて不意に城門を開くようなものです。
初めてこのような事態を見た人は、本当に魔法が存在するかマジックに掛けられたように感じます。私も今から三十年程前、人生に行き詰まり何をどうして良いか分からず、完全な暗中模索に陥っていた時です。目の前で、とてもガンコな人間がまるで、飼い慣らされた犬のようにおとなしくなる現場に遭遇しました。今なら、見事な催眠誘導がなされ、心の法則通りに動いたと見抜けますが、その時は「すごい人心操作」だと思いました。そして、人生ままならないことばかりでしたので、「この手法を用いれば、個人の主観など無力極まりないものになり、人を思い通りに動かして、自分のやりたいことが出来るに違いない」と良からぬことを考えておりました。
確かに、若い時は周りの人間を自由自在に動かし、願ったままに“お金も運も思いのまま”になる術をほしいと、功利的な視点を拭い去ることは出来ません。そんな人の持つ情動の結果、昔から、人の心の操り方はないものかと、あらゆる手段がこうじられてきました。
＝人間の成功･失敗の鍵はコミュニケーションにあり！＝
欺瞞、威嚇、金銭、暴力、洗脳など、人間は色々な手法を使って他人を操作しようと試みてきました。しかし、それらは表面的・一時的な効果はあっても、本心から相手を変えることは出来ません。時間が経つにつれて、その様な行為は、かえって反感や怨恨を内攻させ、後に復習やしっぺ返しをする準備をさせることになるだけでした。
私は思うのですが、人の心は何をもってしても操作できないし、また、その様なことを考えることすらが邪(よこしま)な心です。昨今の書籍売り場を見ても「一週間で基礎英会話マスター」とか「一日10分の練習で楽器上達」などと、いかにも特別なやり方を体得すれば、何事もスイスイと習得できるかのような誤解を与えかねない表現で、人を惑わせるものが多く出回っております。
人間は、何があってもその人間の尊厳である意志を大切にしなければなりません。催眠誘導も「個人の意志を無力化」するからではなく、逆に最大限に「個人の主観を尊重する」ことにあることは、その手法をマスターするにつれ理解できて行くでしょう。従って、世間が、カルトや詐欺などを安易に「催眠商法」などと言うのは、それこそ無知蒙昧(むちもうまい)と言わざるを得ません。
我々人間の心にも、一定の法則が存在します。その法則は、人間の「無意識」に宿っており、そこには人が生きて行く上で必要な素晴らしい知性とエネルギーが、一定の決まりに従って働くように、神が我々人間を創造されたのです。従って、その知性とエネルギーを発掘し、活用することによって、人生はもっと可能性に満ちた輝かしいものになるのです。
催眠……それは心の科学なのです。相手の無意識に科学的に働きかけることによって、まるでマジックや魔法のような効果的なコミュニケーション（説得）が可能になります。現代社会は、まさにコミュニケーションが最も大切な時代と言っても過言ではないでしょう。コンピュータシステムが極度に発達し、情報量が増えても、それを判断し決断するのは人間であり、その最大の助けとなるのが人と人との直接的なコミュニケーションであることは自明の理です。
良好なコミュニケーションは、ビジネスに限らず、全ての人間活動を支える基本です。恋愛に至っては、コミュニケーションそのものが目的となっている最大の例でしょう。
心理学者のアドラーは「仕事で失敗する人の90％は、知識とか技能が劣っているからではなく、他の人間と上手くやっていく能力に欠けているからである」と喝破しています。
先回も申しましたが、勉強の出来ない子は、頭が悪いのではなく、「その勉強の意義が分からないから」です。その勉強の意義を知ろうとする心が生まれるかどうかは、まさに先生と子供のコミュニケーションの円滑化如何に掛かっているのです。良い先生＝コミュニケーション能力の豊かな先生に出逢った子供は、どんなに幸せなことでしょうか。
この続きは、また来週のお楽しみ……('-^*)/
