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今週の喝 第141号(2007.12.31~2008.1.6)〜偉人に学ぶ……山岡鉄舟(8)〜

潜在意識の大活用・あなたが変われば全てが変わる
潜在意識ってどんなもの?

偉人に学ぶ……山岡鉄舟(8)

 山岡鉄舟は、次郎長以外の人物にも禅の指導をしています。その中で興味深いのが落語家の三遊亭円朝もその一人です。
 ある日、鉄舟の道場に招かれた円朝は、子供の時に聞いた「桃太郎」の話をしてくれと所望されます。当時すでに名人の域であった円朝ですが、一癖二癖ある鉄舟のことです。簡単に人の芸を褒めるような人間ではありません。
 しかし、やらない訳にはいかないので、仕方なく一席やると、「つまらん!ちっとも面白くない。子供のじぶんに聞いたおっかさんの方がよっぽど上手じゃった。だいたい、おまえさんは舌で喋るからいかんと、こっぴどくやられました。
 でも円朝も負けてはいません。
「舌で喋ってはいけないといわれますが、何で喋ればいいんです」
 と、問い返すと
「そこだ、そこが分からなければ、おまえさんも一人前の落語家にはなれねえ。分かりたかったら坐禅をせよ」と、円朝は押し入れの中に引っ張り込まれて坐禅をさせられたそうです。
 鉄舟は、円朝に芸というような人の表面に張り付いているメッキのようなものではなく、地金のようにどこまでいっても本物の内面を求めたのです。このあたり昔の師弟関係は、しっかりとした尊敬憧憬で結ばれていますので、円朝は鉄舟の言を真摯に受け止め、3年もの間、毎日坐禅をやり通し、とうとう真実の自分の心を見る「見性」を体得しました。
 そして、再び鉄舟に「桃太郎をやれ」といわれ、また桃太郎をやらされました。すると、今度は鉄舟もポンと手を打って、
 「それで良い。今日の話は実に面白かった」と言われました。

=何事にも真心を込めよ=
 「おっかさんの方が上手じゃった」という鉄舟の言葉は、何を言いたかったのでしょうか。それは、私たちは普段、言葉を使って人とコミュニケーションをとりますが、口先でばかり喋っても、そこに心が込められていないならば、それはただただ口からヒラヒラと散る「言の葉っぱ」、言葉の羅列に過ぎません。母にはがあり、その言葉で子供に一所懸命「桃太郎」を聞かせたのです。何かを言われまいとするプロの落語家根性など、本物の愛の前には太刀打ちのしようがないのです。
 我々の感覚器官は<眼・耳・鼻・舌・身体>の五官が、<見る・聞く・匂う・味わう・触れる>という五感を感じます。しかし、我々の心がその器官に無いときは、ただ単に外からの影響に過ぎず、その影響によって我々の行動や思考は翻弄されてしまいます。つまり、そこには「心」という添え木が無いため自分自身がただ単に事象に反応してしまい、反応や欲望の種になるに過ぎないのです。人以外の動物ならば、大自然のサバイバルに勝ち抜くという自然の掟があるため、これが大目的となり、ただの感覚器官も研ぎ澄まされた武器になりますが、文明を持ち、それを極度に発展させてしまった人間は、当面「生きる」という意志が無くとも生存できるから始末が悪い。
 人が人であるためには、生きる指針……つまり、目標となぜその目標に到達しなければならないかという目的意識をハッキリさせ、その生き様によって、周りの人たちを巻き込んでゆく力を発揮することが肝要です。
 それには、五感全てに心を込めて感覚器官に方向性を持たせることが必要なのです。そうすると<見る>は<観る>となり、自分の心で対象物を観察するエネルギーとなるのです。同様に<聞く>は<聴く>、<匂う>は<臭う>となり、自分の心が自分自身の行動指針と直結し、モティべーションの原動力と変身するのです。

 心こそ心惑わす心なり、心に心、心乱すな

  心こそ本物と偽物の分水嶺なのです。

  全てのものに心を込めて、平成20年を乗り切ってゆきましょう!


続きはまた来週……!